2005年4月発売
闇に悲鳴が轟いた。南町与力の青柳剣一郎が駆けつけると、別れたばかりの同僚が斬殺されていた。これが、八丁堀を震撼させる与力殺しの幕開けだった。さらに二人、三人と与力ばかりを一刀のもとに斬り伏せる居合の達人とは何者か?風烈廻りから急遽探索の長に抜擢された剣一郎だが、息子の剣之助までが囚われ、絶体絶命の窮地に!人気シリーズ第三弾。
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していくー。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
ススキノのクラブ「ユリアンヌ」に時折現れる謎めいたプロモーター白井。彼が一人で飲んでいる夜に限って、店に白井宛の電話がかかってくる。ママにとっては妙に気になる客であった。一方、浅見光彦が捜索を依頼された失踪人・戸田は、その白井の身辺を探っていた。戸田が残した不可解な盗聴テープに興味を惹かれ、浅見は札幌へ飛ぶ。次第に姿を曝す北海道開発の巨大な黒い利権、タブーに近付く浅見光彦にも危機が。
北大植物園とひかり公園。二つの殺人事件を探る浅見は、刑事局長である兄陽一郎に、プロモーター白井の調査を依頼する。だが、いつになく歯切れの悪い陽一郎…。浅見に事件から手を引くよう真剣に忠告する兄は、何を知っているのか?サッポロドーム計画の裏に蠢く欲望と疑惑。開拓者達が抱いた高邁な理想を裏切り、清新な北の大地を蝕んできた歴史的巨悪。浅見光彦の壮大な闘いを描く傑作ミステリー。
財前有利子は、ふたば証券に勤める投資アドバイザー。ペイオフ解禁を機に、個人金融資産の貯蓄から投資へという流れの中、個人客の投資相談に取り組んでいる。「自分の顧客には絶対に損をさせたくない」という信念で、上司や先輩社員も一目置く存在だ。ある日、一人の老人が持ちかけた「二五〇〇万円を一週間で倍にしてほしい」という相談に、有利子の答は…。個人資産運用の世界を描くコミカル・エンターテイメント経済小説。
竜の被害に悩む隣国の要請を受け、伝統ある竜退治の騎士がグラールを発った。あかがね色の髪の乙女フィリエルは騎士を守ろうと心に誓い、ひそかに後を追う。しかし胸の奥には消えた幼なじみルーンへの想いが秘められていた。-母国のはるかに南の土地で、竜騎士団とフィリエルが出会ったものとは!?長篇ファンタジー、南方冒険篇。
大手観光バス会社をリストラされ、超弱小“すずめバス”にガイドとして再就職した町田藍。初仕事はなんと“本物の幽霊を観に行く”怪奇ツアー。実は藍は霊感体質。ガイドを担当したツアーで目的地の寺に見事に(?)幽霊が出たため、“すずめバス”の怪奇ツアーは大人気!藍は毎晩とんでもない謎と怪奇に挑戦することに…。“霊感バスガイド”が大活躍する異色シリーズ第一弾。表題作ほか全五篇を収録。
惚れた女を救うため、負った八十八の刀傷。江戸・呉服町で仕立て屋を営む男は、その傷から「斬られ権佐」と呼ばれていた。権佐は、救った女と結ばれ、兄貴分で八丁堀の与力・数馬の捕り物を手伝うようになる。押し込み、付け火、人殺し。権佐は下手人が持つ弱さと、その哀しみに触れていく。だが、体は不穏な兆しを見せ始めてー。一途に人を思い、懸命に生きる男の姿を描いた、切なくも温かい時代小説。
こんな結婚しなきゃよかったー三十歳にして家庭生活に絶望した綾は、子育てを放り投げ、「出会い系」にのめり込んだ。見つけた相手は自称作家の中年男。ついに不倫を体験した綾は、自分が飢えていたのは、愛でも性でもなく、危険な刺激だと気がついた。夫を困らせること、いっぱいしたいー屈折した形の復讐は、万引き・詐欺・AV出演とエスカレート。そして禁断の遊びは、究極の犯罪へ…。
妖魔の司野と迎える初めてのクリスマス…。彼の下僕である予備校生、正路は、二人でささやかなお祝いをしようと張りきっていた。ところが、そんな正路の前に、司野の宿敵、カギロイがふたたび…。彼のもとに来ないかという誘いを突っぱねるや、なんと正路は5歳児の体にされてしまった。この呪を解かないことには、毎週恒例の“司野の餌になること”もできず…。お待ちかね!妖僕シリーズ、甘切なくドキドキの第5弾。
バリバリのキャリア…なのに、出世欲ゼロの“規格外”刑事、棚橋が、とある殺人事件の取調べで出会った相手は…高校時代の同級生、橘だった。十年前、二人は恋人同士だったが、棚橋の浮気癖に業を煮やした橘が彼のもとを去っていったのだ。偶然の再会で、再び燃えだす二人の欲望の熾火、忘れがたい想い…。そんな折、自首してきた犯人が供述を覆し、捜査は意外な方向に…。書き下ろしサスペンスフル・ラブ。