2005年6月1日発売
経理係の横領で二〇〇〇万円もの負債を抱えたペーターは、ある日奇妙な事件に巻き込まれる。見知らぬ女から強引に、ある会社社長に届け物を頼まれるのだが、その中身は足の親指。女から執拗な嫌がらせを受けていた社長に借金返済を約束されて、ペーターは探偵役を引き受ける。だが、いつのまにか女が仕掛けた巧妙な罠にはまっていた…。緊迫の追跡劇を描きながら、亡き父親の温かみが忘れられず、母親から疎外された痛みを抱える主人公の内奥をも克明に書き込んでいく。『喪失』で話題を呼んだ北欧ミステリー界の女王ー鮮烈なデビュー作、ついに登場。
時は天保。蝦夷地では、情けを忘れた武士や利に溺れる商人が、民を苦しめていた。森に大河に血涙が流れる。彼らの非道、断じて許さぬ!青年は起ちあがった。闇色の装束を身にまとい、栗毛の駿馬を操り、悪党どもに鞭をふるう。瞳に宿すは、破邪の炎。北の果て、つむじ風の如く駆けめぐる、黒頭巾。彼が蒔いた正義という名の一粒の種は、荒野に実るのか?痛快時代小説、見参。
麻薬とワインの飲み過ぎで恋人と泥酔状態に陥った女子大生ブレット。気がつくと恋人は全裸で何者かに刺殺されていた。現場には血まみれのナイフと財布。彼女は殺人罪で逮捕されるが、かたくなに無実を主張する。ブレットの叔母の辣腕弁護士キャロラインは、姪を助けるため23年ぶりの帰郷を決意したが、彼女を待ち受けていたのは、思いもよらぬ事件と秘められた過去の愛憎劇だった。
ブレットに対する予審がいよいよ始まった。検察側が突きつける一見隙のない論証を、キャロラインは水際に立った弁護で次々とひっくりかえしながら、独自の調査をもとに着実に犯人を追い詰めていく。しかし、捜査が進むにつれ、彼女が23年間封印してきたある記憶がよみがえってくる。永遠に故郷を捨てることを決意した、あの悪夢の事件が…。サスペンスの巨匠による最高傑作登場。
父親のダーク・ピットと奇跡の対面を果たしたダーク・ジュニアとサマー。二人は早速、NUMAの一員としてカリブ海に赴く。海面は広範囲にわたって褐色の汚濁物質に覆われ、おびただしい生物が死滅していた。物質の発生源はニカラグアの沖合。この国では、ある複合企業が中国の資金提供を受けて国家横断鉄道の建設を進めているー。最強の父子が地球の危機に挑むシリーズ第17弾。
鉄道に見せかけた長大な運河の建設目的を知ったNUMAの面々は戦慄する。それが開通すれば海流は向きを変え、メキシコ湾流の水温が劇的に低下。ヨーロッパ全域はシベリア並みの極寒に苛まれる。焦眉の急を悟ったヒットはジョルディーノとともにニカラグアに向かった。複合企業の黒幕の正体は?中国の隠された狙いは?警備の厳重な地下の掘削現場で、二人は壮絶な闘いに臨む。
母は家を出、父は死んだ。たった一人の妹は余命三か月の宣告を受けている。十二歳の少年スンウは、妹ヨンヒの最後の望みをかなえてやろうと、彼女の手をとり、母を捜す旅に出る。そこに忽然と現れたのが、組織を裏切って命を狙われているヤクザのナルチだった。幼い薄幸の兄妹と冷血漢。三人の奇妙な旅の果てに待っていたものは…。感動のラストシーンに涙が止まらない。今、韓国で最も人々の心をとらえている作家、チョ・チャンインの渾身の最新作。
謎を秘めて妖しく輝く火星に、ガス状の大爆発が観測された。これこそ6年後に地球を震撼させる大事件の前触れだった。ある晩、人々は夜空を切り裂く流星を目撃する。だがそれは単なる流星ではなかった。巨大な穴を穿って落下した物体から現れたのは、V字形にえぐれた口と巨大なふたつの目、不気味な触手をもつ奇怪な生物ー想像を絶する火星人の地球侵略がはじまったのだ。
両国から浅草、吉原と数日の間に夜鷹(街娼)が斬殺される事件が相ついだ。いずれも辻斬りの仕業と思われ、被害者は袈裟懸けで一刀のもとに殺られていた。本所吉田町で夜鷹の会所を営む菰の十蔵に、用心棒として雇われている馬庭念流の剣客・鳴海九重郎は、ある夜、偶然にも辻斬りを目撃した。遠い暗がりで刀を揮ったのは、同じ会所の用心棒、小野川頼母に似ている侍だった。友への疑念を打ち消した九重郎だったが、その頼母は姿を消し、首には賞金がかかろうとしていた…。
日米両国に最新鋭空母が就役した。日本は『あさま』、アメリカは『ジョージ・ブッシュ』。グアム島沖で対抗演習をすることになった両空母だが、異変はそこで起こった。濃霧に包まれ通信が途絶し、コンピュータの日付は1944年6月18日を表示。日米の空母は太平洋戦争の最中に飛ばされてしまったのだ。『ブッシュ』司令のキンバリー長官は、あくまで米海軍は米国のためにあると、スプルーアンスの第5艦隊に味方することを決断する。一方、『あさま』は史実で大敗を喫した帝国海軍第一機動艦隊を援護すべく行動を開始した。決戦の火蓋を切ったのは『ブッシュ』だった。日本艦隊に襲いかかるF/A-18ホーネット。それを迎え撃つ『あさま』のF-35J。太平洋戦争の天王山マリアナ沖海戦を舞台に、日米の新旧艦隊が機略を尽くす熾烈な戦闘の行方は?才能を惜しまれつつ急逝した著者の最後の書下ろし。
「空の要塞・B17」の出現に衝撃を受けた帝国陸軍が、苦難の末に完成させた四発高速重爆があった。「火龍」である。機体の頑強さを利用し、対地対艦攻撃用に重火器を搭載した「空挺砲艦」は、改良型「三式重襲撃機」に至り脅威の進化を遂げた。この「超・空挺砲艦」は緊急出力1万馬力超のパワーが生む高速性と、戦闘機の火力では撃墜困難な重装甲で、敵重巡をも撃ち抜く火力を備えていた。「超・空挺砲艦」は、海軍の「特型陸攻」、反跳爆撃で対艦戦闘に猛威を振るう「火龍改」と並び、米空母機動部隊を攻撃し、多大な戦果を挙げる日本軍の航空戦力の要となった。米軍はこの「火龍一族」を殲滅すべく、急遽“火龍殺し”の「ガン・スリンガー」を開発した。B17の出力を強化し、大口径機関砲を多数搭載した空挺砲艦である。究極の進化を遂げた日米の「空の要塞」が激突、マリアナ沖で殲滅戦を繰り広げるが、最後に勝ち残るのは果たして…。