2005年発売
給料日前に懐が寂しくなるサラリーマンの小津健吾に突如、三千万円の遺産が贈与されるという話しが舞い込む。贈与者は、小津が二年前に別れた中江香織の叔母であった。遺言には、香織に遺産の話を内緒にしてよりを戻してほしいとあった。小津は今、白坂千鶴という女とつきあい、結婚話しすら切り出されようとしていた。遺産を取るか女を取るか、揺れ動く小津が双方の体と心を行きつ戻りつするうちに…。
大物政治家の豪邸で開かれたパーティ会場で、毒殺事件が発生した。殺されたのは、政治家の長男・芳樹。彼は父親の地盤を継いで次の選挙に出馬する予定だったが、以前から匿名の脅迫状が送られていたらしい。芳樹の妻・順子の友人としてパーティに招かれていた女性刑事・島野理絵が現場に立ち会っていた。捜査陣は順子に疑いをかけたが、理絵は納得がいかない。先輩刑事・八木沢とともに真相解明に乗り出す-。
あたしは主人公にはなれないー。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。
新田次郎賞作家が描く書き下ろし時代小説。大相撲黎明期を綴る三つの物語。 「雷走る」 相撲に志を抱くも、八百長相撲ばかり取らされてきた雷権太夫は、幕府により禁止されていた勧進相撲を復活させようと町奉行所に掛け合うが──。 「谷風吹きまく」 最強の座を追い、圧倒的な強さで勝星を重ねる谷風、その最大の好敵手・小野川、そして伝説の力士・雷電ー。江戸相撲黄金期に繰り広げられた名勝負。 「陣幕立つ」 明治政府の欧化政策により勢いを失っていた相撲界。陣幕久五郎はその再生のために力士顕彰事業を思いつく。番付最高位“横綱”誕生の秘話。 舞の海氏推薦! 「清く争い勝を制すーー大相撲の真髄がここにある!」 雷走る 谷風吹きまく 陣幕立つ
2004年映画公開されて人気を博した『下妻物語』の完結編である。ダメ親父のバッタもの商売が原因で尼崎を追われ、茨城県の下妻に引っ越してきたロリータ少女・竜ヶ崎桃子は、絶滅寸前のヤンキー少女・白百合イチゴと出会い、親友となった。桃子の大好きなブランド、BABY THE STARS SHINE BRIGHT でイチゴがモデルをやりだしてから、ふたりは連れだって代官山へ行くようになっていたが、ある日いつものように高速バスに乗ると、殺人事件が起こる。殺されたのは歌舞伎町のヤクザの幹部。イチゴに容疑がかけられ、桃子探偵は真犯人捜しを始めるが……。アガサ・クリスティの名作からトリックを借用。ミステリーのスパイスをほんの少しふりかけた、友情と仁義と笑いの最新作。映画化は未定。
亭主が出ていった、二人の子供を抱えて、家賃も払えない…不幸?いいや、ディア、そんなものは、人生のちょっとした煩いみたいなものさ。伝説の女性作家にしてアメリカ文学のカリスマ、待望の第一作品集。
「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件。妹を信じてはいけないし許してもいけない。人の心は死にたくなるほど切なくて、殺したくなるほど憎憎しい。三島由紀夫賞最終候補作品として議論沸騰、魂を震撼させたあの伝説の小説がついに刊行。
人気コラムニストのタンジィは、セックス・アピール満点の負け犬29歳。結婚したがる軟なヒツジ型より、ホットな情事を楽しめるオオカミ型の男を求めている。そんな彼女の前に現れた超ダサ、ヘタレのオタッキー君。こいつが放つビビビ閃光は何?彼はヒツジかオオカミか?笑って泣いて一気に読んで、ルンルンしてくる恋愛小説。
かつての皿洗いの少年ガリオンは今や正統なリヴァ王の後継者として“珠”に認められ、西の諸王国に君臨することになった。王女セ・ネドラとも婚約し、人々に祝福されていたかれだが、ある夜、人知れず邪神が統べる東の国々へと旅立つ。それは、“予言”に定められた対決に挑むためであった。かれの身を案じるセ・ネドラが西の諸王国の連合軍を指揮し、戦争が始まった。神々をも巻きこんで、ふたつの運命がついに激突する。
劇的な出会いを果たしたハリエットとピーター卿はようやく結婚にこぎつけた。記者やうるさい親族を遠ざけて、新婦の故郷近くへハネムーンにでかけたものの、滞在先の屋敷には鍵が掛かり、出迎えるはずの屋敷の主人の姿は見あたらない。やがて、主人が死体で見つかると、甘く楽しいはずの蜜月の旅は一転、犯人捜しの様相を呈し…本格ミステリ黄金時代を築き、後世の探偵小説に絶大なる影響を与えた著者の代表作。
八月の熱気の中、女刑事が自動車に乗り込んだ瞬間、爆炎があがったー刑事だった妹が、非業の死を遂げた。上院の調査監視分科委員会で働く兄のベンジャミンは、真相を探るために帰郷する。だが分科委員会から受けた密命を遂行せねばならず、思うように真相究明はならない。やがて謎に満ちた妹の私生活が徐々にあきらかになるが…。サスペンスの巨匠の醍醐味を詰め込んだ、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
ヴィクトリア朝ロンドン。主人、鷲見新平の旅行中、留守を預かる藤十郎は金欠で下宿を追い出され途方に暮れていた。トラファルガー広場でため息をつくこと十三回。ところが、そのため息が原因で、赤眼鏡の公爵に連れられて、報酬と引き換えに“十二人の道化クラブ”で起きた怪事件の調査を引き受ける事に。クラブの奇妙な風習や魔女伝説に隠された真実とは?古き良き探偵小説の香り息づく本格ミステリ。