小説むすび | 2007年3月発売

2007年3月発売

湘南アイデンティティ湘南アイデンティティ

出版社

小学館

発売日

2007年3月1日 発売

湘南に住み湘南ライナーで通勤する三十代、独身エリートの五人の男達のまえにあらわれた、ふるいつきたくなるような美女。彼女の口から奇妙な申し出が…。週に一度、彼女のマンションでともに一夜を過ごして欲しい、という。ただし、セックスぬきの関係。五人の男達がそれぞれ月曜日から金曜日まで“一夜同棲契約”を結ぶ。男達は謎の女の意図をはかりかねながらも、その魅力の虜となってゆく。待つのは、禁断の蜜のるつぼか、はたまた逃れられない蟻地獄か…。セックス抜きのやりとりに耐えかねた男達は共謀して彼女を襲う計画を立て始める。なんの不足もない社会生活を営んできたエリートたちの周辺に波風が立ち始める。まるで、穏やかな湘南の海が様相を変え牙をむきはじめたかのように。男達の一人の周辺で殺人事件が起こり、男達の間に反目、諍いが起きる。殺人捜査に乗り出した十津川警部も頭をひねった謎の女の真の狙いとは…。西村ミステリー四〇〇冊の金字塔後の新境地。結末には、驚愕のどんでん返しが…。異色ミステリー長編。

新しい人よ眼ざめよ新しい人よ眼ざめよ

神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。 <いま現在の僕とイーヨーの共生の意味があかるみに浮かびあがる。> 神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。 リービ英雄 『新しい人よ眼ざめよ』は、innocence(無垢)の危機から始まる、ともいえる。(中略)ブレイクのinnocenceとexperience(経験)の歌が、おり交ぜている、という以上に、語りの言葉の一すじとなる、fatherとsonの詩が、「父親」たる語り手によって読まれている、だけでなく、読まれていること自体が物語の一主題となってゆく。このような「引用」のめざましい活かし方を一言で描ける文芸用語を、ぼくは知らない。--<「解説」より> 無垢の歌、経験の歌 怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって 落ちる、落ちる、叫びながら…… 蚤の幽霊 魂が星のように降って、あし骨のところへ 鎖につながれたる魂をして 新しい人よ眼ざめよ 著者から読者へ

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