2007年発売
相沢深雪、十六歳。母と弟との三人暮らし。母の佐和子さんはJelly Beansという雑貨屋を営みながら、弟・月光と深雪の二人を育ててくれている(深雪と月光は父親の違う姉弟だ)。それだけでも複雑っぽさ十分なのに、佐和子さんが再々婚することになった。しかも相手には六人もの息子がいて、中の一人は元人気アイドル!?親友・泉ちゃんも巻き込んで、深雪のジェットコースターな日々が始まる。
「この先生はお嫁さんじゃなくて、私の娘だよ」いつもと変わりない笑顔で若林先生は答えたが、さすがに教室内は「くだらない嘘をつくな」という失笑に包まれた。そして、先生はALTの先生に英語で自己紹介を求めた。次の瞬間教室が凍りつくとは、誰も思ってもいなかったことだろう。「Hi,How do you do?こんにちは、私の名前は若林キャメロンです」。
祖母から聞いた、四国の森の奥深くに伝わる「壊す人」と「オシコメ」の創造の物語を、MとTという記号を用いて書き記す。時の権力から独立した、一つのユートピアがつくり出される奇想天外の物語は、いつしか二十世紀末の作家が生きる世界、われわれの時代に照応していく。海外で最も読まれている大江作品。
呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋“弁菊”。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出遭いながらも、持前のヴァイタリティで乗り切ってゆく。-戦中から戦後へ、激動の時代をたくましく生きた庶民たちの哀歓を、自らの生家をモデルにいきいきと描き出した、笑いと感動の下町物語。直木賞受賞。
恒例の「一人避暑」に行く父親と犬のミロにくっついて、五年ぶりに北軽井沢の山荘で過ごす小説家志望の「僕」。東京に残った妻には、他に好きな男がいる。危ういのは父親の三度目の結婚も同じらしい。-かび臭い布団で眠り、炊事に疲れてコンビニを目指す、アンチスローな夏の終わりの山の日々。ゆるゆると流れ出す、「思い」を端正に描く傑作小説。翌年の山荘行きを綴る『ジャージの三人』収録。
会社のOB会で拾う不満のタネ。退屈な隠居部屋でうごめく春機。必死で守り抜いた暮らしを全取っ替えしたい衝動ーある日を境に永年の職場を失った男たちが引き起こす生々しい事件と犯罪。諦めと寂しさ。執着と滑稽。彼らの孤独な姿を、懐かしい昭和日本の風景と共に見事に描き切った清張文学の真骨頂である。秀逸な短編を次々著した昭和30年代作品群の中から人生の晩節をテーマに選び抜いた、粒ぞろいの短編集。
日本最強のヒロインが活躍する「千里眼」シリーズが、装いも新たに角川文庫に登場!元航空自衛隊初の女性戦闘機パイロットにして、現在臨床心理士の岬美由紀。胸に大きな悲しみを抱えつつ、事件に立ち向かう等身大の女性の活躍を、よりリアルに、より繊細に、そしてよりダイナミックに描く。緻密な伏線と鮮やかなどんでん返しで累計400万部を超える人気シリーズ、伝説の新たな扉を開く書き下ろし最新作第1弾。
消えるマントが現実になる…。恐るべき機能を持った繊維が極秘で開発されつつあった。その繊維を被せられたトマホークが日本のある場所に向けられているという。一方、何者かに拉致された岬美由紀が気がつくと、そこは幻影の地区と呼ばれる奇妙な街角だった。重なるトラップをかいくぐり、ここから脱出せよ!見えざる武器を操る組織を阻止する、美由紀の秘策は?!新シリーズ怒濤の一挙3冊刊行、書き下ろし第2弾。