2008年12月発売
この国が戦国で、この世が乱世であった頃ー。不穏な気配ただよう歴史の暗がりで、静かに命の火花を散らす者達がいた。その名も、真庭忍軍。“しのび”である彼らが、この時代を生き抜くために選ぶ新たな道とはー!?人外にして埒外の異能集団の伝説はここから始まる。豪華絢爛戦国図屏風。
骨董商の凌は香港の資産家、塔眞一族の三男・貴礪の伴侶。罠から始まった関係も、今ではすっかり揺るぎないものに…。そんなある日、長男の怜人から禁断の家宝、黒劉の謎を解いてみせよと挑まれた凌は、一族の秘密に深く関わることになり、遂に会社を辞めパートナーとして生きる決意を…。二人の甘く迸る愛を縦軸に、側近である王と石動のスリリングな出会いも明らかに…。艶めくウエディングミステリー書き下ろし。
極道の恋人を持つ若きテーラー、榎田ーある晩、たまたま店を訪れていた弁護士の諏訪と共に何者かに拉致され、檻の中に監禁されてしまう。そこは中国マフィアたちが密かに人身売買を行なう屋敷。恋人の芦澤と敵対する男の企みによるものだった。榎田の目の前でクスリを打たれ、淫獣と化す諏訪…。一方、罠と知りつつも屋敷に乗り込んでいった芦澤と側近の木崎は…。制御不能!デンジャラスハードラブ書き下ろし。
大学生の蒼一は、内定を貰った企業の若き専務と瓜二つだったため、突然失踪してしまった専務の身代わりとしてミラノで開かれるパーティーに出席する羽目に…。だが、美貌の実業家、カルロに迫られ、つい逃げ出してしまい…。旧公爵の家柄のカルロは会社にとって重要な取引先。蒼一は、すべてお見通しのカルロから、専務本人が現れるまで屋敷で自分の相手をしろと威圧的に命じられ…。身分違い★ゴージャスLOVE。
証券会社の辣腕営業マン・伊地岡勇と電機メーカーの窓際送・野呂久作は高校の同級生。正反対の性格ながらなぜか気が合う二人が、ベッド会社のセールスマンに揃って転職。学歴・経験・年齢、一切不問のシビアな世界で生き残るには何が必要か?経済小説の巨星がユーモラスに活写する傑作サラリーマン小説。
福原遷都を強行した清盛だが、頼朝の伊豆挙兵を機に、各地で源氏が蜂起、また富士川の合戦前夜には平家軍が戦わずして無残に敗走、と憤懣やるかたない日々が続く。わずか5ヵ月で京へ都返り、それから程なく原因不明の熱病により、ついに清盛は力尽きるー栄華を極めていた平家の、没落への序曲を描く著者畢生の大作、第3巻。
日本軍二万人、米軍三万人という未曾有の戦死傷者を出した太平洋戦争末期の激戦地、硫黄島。栗林忠道中将率いる第一〇九師団が、物量に劣りながらも米軍側に多大な損失を与えることが出来たのはなぜか。多数の硫黄島生還者に取材し、戦争の非情さを再現した著者渾身、文字通り「魂の記録」である。
インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて…戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が、詩句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。
詩人でありフランス文学の名翻訳者である堀口大學の青春回想記の形を取った一大ロマン。二十歳の大學は外交官である父の任地メキシコに呼ばれた。彼の地で起こった革命のただ中を颯爽と生き、大統領の姪である美少女フエセラに一瞬で心を奪われるが、この恋の行方は…。一千枚が疾走し続ける豪快極まる傑作歴史絵巻。
無銘の古刀に名匠の偽銘を切って高価な刀剣にみせかける鏨師。その並々ならぬ技術を見破る刀剣鑑定家。火花を散らす名人同士の対決に恩愛のきずながからむ厳しい世界をしっとりと描いた第41回直木賞受賞作「鏨師」のほか、「神楽師」「狂言師」「狂言宗家」など、著者が得意とする芸の世界に材を得た初期短編集。
「大事な人の死は、たぶん決して忘れることはできませんー」ラジオ局で深夜の番組を担当する快活な妹・和貴子と、卒業後も大学に籍を置き続ける勤勉な姉・菜穂子。北の街を舞台に対照的な二人の微妙な距離が丁寧にたどられていく。掛け違ったままのそれぞれの想いの行き着く先はー。清冽な感動を呼ぶラスト。
東シナ海に浮かぶ伊栗島に駐屯する自衛隊の基地で、訓練中に小銃が紛失した。前代未聞の大事件を秘密裡に解決する任務を負い、防衛部調査班の朝香二尉とパートナーの野上三曹が派遣される。通信回線というむき出しの「神経」を、限られた人員で守り続ける隊員達の日常。閉鎖的な島に潜む真犯人、そして真実はどこに。
3人の老婦人が立てつづけに惨殺される事件が発生、犯人は14歳の少年だった。5年後、少年院を退院した彼が何者かに襲われる。殺人犯の息子を恐れる母、その母親を担当する女性カウンセラー、事件に関わりつづける刑事と雑誌記者、そして少年と同世代の被害者の孫たち…事件周辺の人々の心の闇が生んだ慟哭のミステリー。
染み抜き屋のつるのもとに、今日もわけありの染みが舞い込んでくる。様々な染みに宿る人生と向き合うつる。たまの息抜きは、長屋の住人たちが通う「ちぎり屋」の暖簾をくぐること。明治から大正に移り変わる北の街を舞台に、消せない過去を抱えた人々が織りなす人間模様。心に染み入る連作短篇全五篇。
幼なじみのロージーとアレックスは何でも話せる親友同士。友情が愛に変わる一線を越えられぬまま、大西洋の両側、ボストンとアイルランドに別れて生きることになる。その後もメールやチャット、手紙で近況を伝えあうふたりだが、近づこうとするたびに運命のいたずらに翻弄され、その距離はなかなか縮まらない。妊娠、就職、結婚、子育て、別れ等を経ていつか四〇年を越える歳月が流れるが…。ふたりの交流が残した記録を通じて描かれる新形式のラヴストーリー。『P.S.アイラヴユー』で鮮烈なデビューを飾ったC.アハーン、前作以上の感動を呼ぶ待望の第二作。二〇〇四年に出版、アイルランド、イギリスでベストセラーとなり、読者投票による二〇〇五年度の独・コリーネ賞を受賞。
嵐の夜、仲間からはぐれて逃げ込んだ小屋で、オオカミのガブとヤギのメイは出会う。暗闇の中、二匹はお互いの姿を見ることもなく、夜通し語り合い、心を通じ合わせる。「嵐の夜に」の合言葉を決めて、翌日、会うことになった二匹だったが、白昼の下、自分たちが「食うものと食われるもの」であることを知る。それでも魅かれ合うガブとメイだったが、天敵同士のオオカミとヤギの群れは二匹に非情な命令を下すのだった。三百万部のベストセラー絵本の著者が、新しいエピソード、異なる結末で描いた小説。
パンクバンド・死怒靡瀉酢の美少女ヴォーカリスト・ミシンは、竜之介の追悼ライヴで最後の曲を歌ったらギターで撲殺するよう傘子に頼む。が、彼女の鈍臭さが原因で死に損なう。死に損なったミシンはバンドを再開、人気は異常なまでにヒートアップするが、ある日のライヴで死人が出たためバンドは休止に追い込いやられる。最高にクールなバンド・ノヴェル。