2009年発売
ゴーラ王イシュトヴァーンは、わずかな兵を率いてクリスタルを訪れ、リンダに結婚を迫った。リンダは、すでにアル・ディーンとの婚約が成立しているとしてイシュトヴァーンの要求を退けるが、彼はしばらくクリスタルに滞在することになる。さらにイシュトヴァーンは、フロリーとその息子の居場所をヴァレリウスから聞き出そうとする。ヴァレリウスは密かに対応策を講じるのだが、そこへケイロニアから火急の知らせが入る。
カリフォルニアの空の下、21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイは孤独な人々に出会うー“マイケルにさようならと伝えて”アーロンの今度の仕事は自殺した女性の最後の言葉を伝えることだった(「ハンバーガーの土曜日」)、郊外の食堂で電話中の少女が凶弾に倒れる現場に居合わせたアーロンが通話相手の依頼を受ける(「時には星の下で眠る」)等、青春の切なさとハードボイルドが見事に融合した青年探偵のシリーズ全11篇。
大金持ちの有名人、ハイディ・ブラッドショーがスペンサーを訪れ、娘の結婚式で自分のそばについていてほしいと頼んできた。奇妙で曖昧な依頼を怪しみつつも、スペンサーはスーザンとともにマサチューセッツ沖のハイディ所有の孤島へと赴く。豪華な顔ぶれの招待客が島に集まってくるなか、スペンサーは思いがけない人物を見かける。かつてスペンサーを殺しかけ、のちに協力しあったこともある因縁のガンマン、“灰色の男”であった。華やかな結婚式にはそぐわない殺し屋の存在に不吉な予感がみなぎる。ハリケーン級の嵐が荒れ狂うなかで式は強行されたが…。式がクライマックスにさしかかったそのとき、招かれざる客・灰色の男はマシンガンで武装した部下を率いて現れた。銃撃、誘拐そしてスーザンを守ることを最優先したスペンサーを残し、灰色の男は大型ヘリコプターで逃走する。灰色の男の彼らしからぬ劇的な犯行。また、依頼人ハイディは非常事態に取り乱した様子もない。灰色の男が現われる場所にスペンサーが呼ばれていたのは本当に偶然なのか。不審を抱いたスペンサーは、独自に調査を開始した。死闘を演じた過去にもかかわらずお互いを理解し合ったかに思われたスペンサーと灰色の男。やはり相容れぬ敵同士でしかありえないのか-。謎の男の核心へ分け入るスペンサーの調査は、意外な真実へとたどり着く。
刑事畑一筋の一流刑事に共通するものがあると思った。捕まえてナンボ、というだけではない、何かがある、と。一流のデカは、人間学の権威だ。人間をよく知ってるんだ。これが本物の捜査だ。元エース刑事が描きつくすノンフィクション・ノベル。
日本国憲法の前文には、わが国の周囲には『平和を愛する諸国民』しか存在しない、と書いてある。だから軍隊は必要ないと。ほかの国には普通にある交戦規定は、自衛隊には存在しない。存在しないはずの日本の破壊を目論む軍事勢力。イーグルのパイロット風谷三尉はミグによる原発攻撃を阻止していながら、その事実を話してはならないといわれるのだった。
小伝馬町の牢屋敷に捕らわれていた盗っ人の巳之介は、牢抜けを唆され、恋女房の元へと逃げ出した。しかしそれは、老中・松平定信からの頼みで、同心・鏑木十左が仕掛けた探索ー江戸城内から持ち出された大御所家康の遺品と事件の背後に潜む失脚した田沼意次の配下たちーの始まりだった。手下の八十助とお庭番の紫乃らとともに真相を暴く。
透明な涙を流せないオレは代わりに、セリの中に濁った体液を流した。親父とオレが殺した兄貴が愛した、女の中で、オレは泣いた。渋谷、月曜、夕方。生い立ちも仕事も違う6人の男が、雑踏の裏通りをさまよいながら、懸命に生きてゆくー。
八雲が消えたー!?15年前に起きた猟奇殺人事件の現場で、ビデオカメラに映り込んだ、恐ろしい形相をした女性の幽霊。八雲は相談を受けるが、その映像を見たとたん、なぜか突然姿を消してしまう。一方、時効成立間近に姿を現した、殺人事件の容疑者を追う後藤刑事までもが行方不明に。いったい2人はなぜ姿を消し、何処へ行ってしまったのか!?今、晴香の命をかけた八雲捜索が始まるー大人気シリーズ、緊迫の第5弾。
ファッション雑誌編集者の藍は、ある日ゴールデンレトリバーのリラを飼うことになった。恋人の浩介と一緒に育て始めたものの、仕事が生きがいの藍はは、日々の忙しさに翻弄され、何を愛し何に愛されているかを見失っていく…。浩介が去り、残されたリラとの生活に苦痛を感じ始めた頃、リラが癌に侵されてしまう。愛犬との闘病生活のなかで、藍は「本当に大切なもの」に気づきはじめる。“働く女性”と“愛犬”のリアル・ラブストーリー。
男子サッカー部がインターハイ優勝を決めた帰り道、マネージャーの奈美は、先輩の由佳から突然言いつけられる。「私たちも“女子サッカー部”をつくるのよ!!」。しかし部員のあては無く、有望なGKと紹介された香織も入部を拒絶。女子サッカー部を諦めたくない由佳は、香織の入部を賭けて、初めてのPK勝負に挑む。
帰る家を探す智子、駆け抜ける俊敏な馬を見落とす陽平、午後四時の只中に立ち尽くす詩子、電気椅子で死刑執行を待つ滝也。交錯する四人を描く美しき文体の表題作。他に、敬愛する作家へのオマージュとも言える「美代子の満開の下」収録。今、もっとも注目される気鋭詩人の初小説、純文学に期待の大型新人登場。中原中也賞詩人が描く交錯する男女のかなしさ。
公孫樹の枯葉がふりそそぐ十二月、中学時代の同級生・竹田寛子が、ラブホテルで殺害された。高校二年生の木村時郎は、寛子の最近の様子が気にかかり、彼女の高校の同級生を訪ねた。そして寛子が、“プラスチック・ラブ”という謎の言葉を残していたことを知る。その帰り、時郎は事件を取材している柚木草平と出会うー。四季の移ろいと事件を綴った、青春私立探偵シリーズ番外編。
冬の白い眠りから目覚めた晩春の尾瀬で、拳銃で撃ち抜かれた男女の死体が発見された。男は現職の刑事、女は水商売に従事していた。2人は心中か、それとも…。捜査一課長の特命を受けた香月功は、ただちに捜査を開始。やがて女の背後に暴力団の存在が浮かび上がるが、直後、行方を追っていた容疑者の男が熱海で死体で発見された!事件に巨大な陰謀を感じ取る香月。警察手帳を持たない“顔のない刑事”の捜査の行方は。
少し感覚のずれている女の子、旅行先で出会った理不尽なガイド、笑いながら人を陥れようとする男……誰もが現実に出遭い、体験しうる恐怖を『ぼっけえ、きょうてえ』の実力派が描く、現代の百物語!
「結婚してやる。ちゃんとしてやんなきゃな」と恋人に得意げに言われ、ハナは「なんかつまんねえ」と反発する。共同経営する下北沢の古着屋では、ポリシーを曲げて売り上げを増やそうとする親友と対立し、バイト同然の立場に。結婚、金儲けといった「ありきたりの幸せ」は信じにくいが、自分だけの何かも見つからず、もう37歳。ハナは、そんな自分に苛立ち、戸惑うが…。ひたむきに生きる女性の心情を鮮やかに描く傑作長編。
感染したら死に至る奇病“ドゥーム・ウィルス”。日本にそれが蔓延するなか、あるはずのない特効薬が貰えると奇妙な噂がネットに広がる。感染した母親を持つ田村直人は、半信半疑で集会場所へ赴くが、特効薬はトライアスロンを完走しなければ貰えないという!スタート地点のお台場からテレビで生放送されるレース、残酷なトラップに脱落していく選手たち。愛する者を救うため、直人は最悪のデスレースを走りきれるのか。
N女子学園にやってきた、時期はずれの編入生、棚原弥生を見て、担任の竜野は激しい衝撃を受けた。その仕草や表情が、20年前の彼女に似ていたから…。弥生に両親はいない。母は5年前に他界し、そして父は4ヶ月前、あの片山刑事を狙った銃弾で不慮の死を遂げていたー。N女子学園での不穏な情報を得た片山は、弥生と再会する。弥生の周辺で次々と起こる事件に、三毛猫ホームズの面々が立ち向かう!シリーズ第32弾。
元桜ヶ丘FCのチームメイトは、それぞれの道を歩み始めた。地元の中学校サッカー部に入部した武井遼介は早くも公式戦に抜擢される。同じ学校に通いながらJリーグのジュニアユースチームに入った星川良は新しい環境に馴染めずにいた。サッカーから離れていく友は「なぜサッカーを続けるのか」と遼介に問いかける。競技スポーツの入り口に立った13歳の少年たち。多くの熱い支持を集める、感動の青春スポーツ小説、第2弾。
みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが…。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。