2009年発売
中央アジア共和国イリ軍管区の保護下にあるフェレシュテは、精鋭部隊の少女リューダの護衛の下、辺境のクルジャから北部の町へ移送されることになった。だが道中の2人を、マフディ教団の実権を奪取したレズヴァーンと配下の殺戮機械パリーサが襲撃、フェレシュテは連れ去られ、リューダは瀕死の重傷を負う。そんなリューダを救ったのは、西方から侵入してきた騎馬民族カザークの首領ゼキであった。教団の女信徒たちを自爆テロリストに仕立て上げ、共和国との永続的な準戦時体制を維持しようとするレズヴァーンに対し、イリ軍管区司令官ユスフはゼキとの同盟を締結、共和国からの独立を画策していた。古えの知性機械ミカイールに一度だけアクセスできる“階梯”たるフェレシュテをめぐり、複雑にからみあう各陣営の思惑は、中央アジアを大いなる動乱へと導いていく…『グアルディア』を凌駕する近未来の英雄叙事詩ついに完結。
麻布永坂町の高稲荷。蕎麦屋から少し奥に入った局見世の入口に、人の腕が落ちていた。それも二度も。まるで“羅生門”のように。誰が何のために捨てたのか(「茨木の腕」より)。幕末のお江戸で今日も一大事。芝神明の目明し万吉、果敢に挑む。冴えた勘と粘り強い聞き込みで人様から恐れられる岡っ引き。街の裏側にはびこる有象無象を相手に、江戸中を駆け回る人気シリーズ第三弾。
体面ばかりの武家勤めに、不満を持っていた、美濃恵那藩士、朽木三四郎。神君家康公から、下賜された茶碗が割れていた事故の罪を負い、藩を離れ千住宿で寺子屋を始めた。宿場の縄暖簾「小春」の若き女将、おはるや娘おさとたちとの人情あふれる生活に、人生の喜びを見出してはいたが、兄から帰藩を勧められ心が揺れ動いていた。そんなある日、兄妹に父の仇と間違われ三四郎は斬りつけられる。がしかし、その境遇に同情し仇を探す手伝いを始めると、事件は意外な進展を見せる「仇討ち兄妹」。他全四編を収録。人気シリーズ第2弾。
盛り上げ上手な乙女座さんは、ひとりの時間がなにより大事。はちゃめちゃ印の魚座くんも金の魚ならクールが魅力の天才肌…。人気作家と人気占星術研究家の夢のコラボがついに実現!12星座の女と男それぞれに星が与えた真のメッセージを、せつないラブストーリー&納得のホロスコープガイドで説く、初めての星座小説集。本当のあなたの姿と、気になる彼の秘めた心に迫ります。
「ああ、人間、人間ってやつは!」。湖で溺れていた夫婦を必死で助けたイワンは、いったい何を嘆くのか。「余計なことをべらべらしゃべるんじゃない!」。友人はなぜスミルノーフにきつく忠告するのか。怒り、後悔、逡巡…。晴れの日ばかりではない人生の、愛すべき瞬間をつぶさに写し取ったロシア最高の短編作家チェーホフ。ユーモア短編集第二弾、本邦初訳を含め、すべて新訳の49編。
日本から人がいなくなる!元日の午前零時、全国の初詣客が大量に消失し、同時に警視庁や県警本部が謎の集団に占拠された。それが日本絶滅計画の幕開けだった。計画を実行するのはそれぞれが特殊な能力を持った7人組“セブンス”。リーダー・タクトの指揮の下、彼らは日本中の人という人を次々と、大量に消していく。一体どうやって、そして何の目的で?2009年、全く新しいパニック・サスペンスの傑作がここに誕生。
マドレーヌを口した瞬間、少年時代の記憶が甦る奇妙な感覚。「私」の成長とともに描き出される、第一次世界大戦前後のフランス社交界の人間模様。それは「私」の失われた時を探し求める長い旅の始まりだった…。独自の時間解釈と記憶に対する見解を提示し、20世紀の文学・哲学概念を変革させた傑作大長編小説を漫画化。
「お母ちゃんな…笑い方、忘れてしもうた」親友をいじめた。誰からも助けてもらえなかったあいつは、自殺を図り、学校を去った。残された僕たちは、それぞれの罪を背負い、罰を受けて、一人の年老いた「かあちゃん」に出会ったー。母が子どもに教えてくれたこと、子どもが母に伝えたかったことを描く、感動の最新長編。
書店経営に絶望したオーナーが店を閉めたため、エンジェルは職場を失った。新たな就職先は、出版エージェント。新人作家を発掘し、原稿の修正から売り込みまでを仕切る、まさに本を産む現場の仕事だ。読書家の彼女には最適な職場のはずが、女性社長の暴君ぶりに振り回される日々。それでも才覚を発揮しはじめたエンジェルのもとに、不審な匿名原稿が届く。彼女自身をモデルにした小説で、内容はエスカレートし、ついに殺人が!…出版界で奮闘する女性を描き、熱い支持を得た業界ミステリー。
19世紀初頭のロンドン。5代エリントン伯爵トリスタンは8年前に母を殺され、最近父を事故で亡くした。ある晩、妹エミリーが彼に反抗し家出をする。貧民街に迷い込んだらしいという情報を得た彼は、その界隈に詳しいとされるロザビィ子爵夫人ディアドリの邸を訪ねた。彼女はトリスタンの姿を見てひどく驚く。彼は8年前、彼女も一役買った殺人事件で殺された婦人の息子だったのだ。が、彼の魅力的な容姿に心のときめきを覚えた。一方、トリスタンも彼女の美貌に戸惑いを感じていた…。
訪日中のスィナーン王国第一王子、カシムの心を掴め!-アラビア語に堪能で楚々とした美人…という条件にドンピシャの晶は、代議士の父の命令で女装させられ王子のお相手を…。傲慢だけど真面目で頭の良い王子は猛烈に魅力的で、たちまち一目ぼれの晶だったが、招かれた王子の部屋で正体を暴かれ、強引に抱かれてしまう。たった二日間…濃密な愛の一時が忘れられず晶は…。砂漠の押しかけ花嫁、甘露な切なラブ。
偶然出会った二人の男…飛鷹と鳴海の策略により、悠は親友、瑛太の負った莫大なクルマのチューニング費用をその身で肩代わりするはめに。獣のような男・飛鷹に犯され、抜けることのできない深みに堕ちてゆく悠。しかしその反面、闇を駆ける男たちの世界に、そして飛鷹にも惹かれてゆき…やがて、飛鷹と鳴海のねじれた関係が悠をも巻きこんで…。渇望する獣たちが求めるものは…!?書き下ろしバイオレント・エロス。
キャバクラ、居酒屋、マッサージ、あらゆる仕事をたくましくこなすリツ。暴力団の愛人という地位を受け入れ、自ら抱く野望を叶えようとする麗美。忽然と消えたリツを探し始めた大学生・比嘉翔太の前に現れた不思議な女。出自も国籍も違う女二人のしたたかな人生がクロスしたとき、悲劇は起こった。組織の隙間を泳ぎながら、新宿歌舞伎町のアンダーグラウンドでそれぞれの野心を抱いた二人の女の切ない結末は?書下ろし長編サスペンス。
将軍の食事を調理する御膳所御台所人の三男坊。ゆえあって、恋女房と町家で暮らし一膳飯屋を営む。庖丁さばきも鮮やかに供する料理は逸品揃い。ひとたび剣を抜けば、無海流の遣い手。-山谷堀を舞台に、江戸の味と人情がたっぷり香る最新作。
弁論術学習に特化した超エリート校「雄弁学園」。6歳から演説、議論、陳述研究の訓練に励み、大人も太刀打ちできないほどの技術を持つ高校生たちが、新担任・能瀬雅司着任の日に三つの難題を投げかけた。議論混乱をきっかけに前担任を休職に追いやった生徒たちを前に、これまで要領のよさだけで生きてきた能瀬の回答は???第62回日本推理作家協会賞「短編部門」最終候補作「パラドックス実践」をはじめ、初等部、中等部、高等部、大学を舞台にした四つの学園小説。
<鬼振袖(おにふりそで)>とは薹(とう)の立った娘の振袖姿のこと。浮世絵師国芳を父に持つ侠風(きゃんふう)な美少女登鯉にも、いつの間にか甘やかな娘時代は過ぎてゆく。初恋の男の凄惨な自死、遠島になった最愛の男との思いがけない再会とその恋の行方、しがらみに縛られて素直になれない若親分への淡い想い……。 一方、相変わらずの即席頓智(そくせきとんち)で発禁覚悟の諷刺画を描きまくって世間の喝采を浴びていた国芳は、遠山が奉行を勤める南町奉行所隠密廻りによって、要注意人物として行状を密かに探索されることに……。昔なじみの金さんがなぜ? 『侠風むすめ』『あだ惚れ』が絶賛された、シリーズ第3弾!
<この小説に描かれている「あの時代の広島の青春」は、今でも日本一の若者文化だったと自負している。 何故って? それは僕「吉田拓郎」が作り上げ、世に送り出した時代背景が「そこ」にあったのだから。 多少、手前味噌でありましたかな?>--吉田拓郎 1960年代半ば、まだまだ戦争の香りが色濃く残る広島で、東京への憧れと反発を抱きながら、バンド活動に打ち込んでいた若者たち。やがて日本の音楽シーンに革命を起こしたひとりの男を中心に描かれる、熱く悩み多き日々。