2010年発売
イギリスで名探偵の推理を推理する!古都ウインチェスターで発生した三つの事件現場に足を運んで「ソア橋」の真相に迫り、「椈屋敷」の場所を探し出し、消えた競走馬を追って、最初の事件の屋敷を推定する記録簿。
立ち並ぶ工場が次々と倒産し、人々が去ったゴーストタウン。迷路のようなこの町に殺人犯の金山が潜んでいた。片山たちとともに捜査にあたった笹井は、金山と間違えて同僚の若原を撃ってしまう。その現場を金山が見ていた!笹井は脅され逃亡の手助けを約束させられる。金山は笹井の娘・亜季子にも近付く。何も知らない彼女は、殺人犯に惹かれていくのだったー。
「馬の胎から産まれた少年」アディは、新教と旧教が争う三十年戦争の戦地を渡り歩きながら育った。略奪に行った村で国王にも金を貸すほど裕福な宮廷ユダヤ人の息子イシュアと出会う。果てない戦乱のなか傭兵となったアディは愛してはいけない女性に思いを寄せ、イシュアは権謀を巡らし権力を握ろうとする。二人の友情を軸に十七世紀前半の欧州を描く傑作歴史小説。
京都観光を楽しむカップルが、次々と謎の死を遂げ、古都への情死行が流行の兆しを見せ始めた。しかし、これは心中ではなく、他殺なのだ!確信を持って、捜査にあたった十津川警部は、嵯峨野の名刹・直指庵に辿り着いた。若者たちの真実の声を伝えるノートが、事件の鍵を握る。一二七万部のレコードを記録し、光文社文庫史上最大のベストセラーとなった傑作長編推理。
錺職人の夫が急逝し、家を追い出された後添えの八重。実の親子のように仲のいいおみちと日本橋に引っ越したが、向かいには岡っ引きも手を焼く猛女お熊が住んでいたからたまらない。しかも、この鼻摘み者の息子におみちがほの字の様子。やがて、自分たちを追い出した義理の息子が金の無心に現われる。渡る世間は揉め事ばかり?健気に暮らす母娘の明日はいかに。
いぼ俣軍兵衛と名乗る、疫病神のような男。風貌、性格ともに憎めない男だが、彼に金を貸した後家貸しの奈津が斬殺され、奈津の亡夫の秘密を握る男も川に浮いた。さらに北町奉行所与力の葛篭桃之進にも、鎌槍を持つ凄腕の刺客が迫る。やがて、いぼ俣も殺されるに至り、幕府の御用金をめぐる壮大な陰謀が判明。役立たずの“のうらく侍”桃之進が、怒りの剣を揮う。
自らも登山を行う、怪談専門誌『幽』で活躍する著者が山で訊き集めた数々の怪談実話。真夜中の野営地、吹雪のテント…外界でありながら閉ざされた地となりうる、山という「異界」の怖さに背筋が凍る珠玉の短篇集。
2カ月の結婚生活で、夫は召集、ノモンハンの戦場に倒れる。筑後平野を舞台に、戦争の時代を、懸命に生きた人々の魂の叫び。-夫を、父親を、戦争に奪われた農民一家の苦闘と、父の姿を求め、苦悶する姿を描く自伝的物語。
名古屋、奥松島で起きた殺人事件を繋ぐもの。それは名古屋の名家に伝わる古い仙台箪笥だった。事件解明を依頼された浅見光彦は、箪笥から見つかった謎の漢詩に注目し、その意味するところを解こうとする。そんな中、ある閃きが光彦を襲う。
地球がブラックホールにのみこまれる日が近づいた。本能的な死の恐怖におびえるアフィリカーたちは、あらゆる手段を講じて宇宙船を手に入れ、地球脱出を試みようとする。ところが、謎の薬物“ピル”を常用する人々は、目前に迫った恐怖も忘れ、おだやかな日々を過ごしていた。薬物の正体はなにか。出どころは?“ピル”の秘密を探るために、レジナルド・ブルは中国イーシェンに飛ぶ。そこで、驚くべき事実が判明した。
警視庁捜査一課の香月功は、警察手帳を持たない刑事として特命を帯びている。ある時、かつての同僚・菊岡の死体が野尻湖に浮かんだ。菊岡は暴力団捜査係の刑事だったが、黒い噂がたっていた。事件の捜査を開始した香月。直後、蝶の谷と名高い茅ヶ岳山麓で、蝶蒐集家の死体を発見、その妻は広域暴力団幹部の愛人でもあった。やがて、香月は愛人に近づくが、逆に組に捕らわれてしまった。決死の脱出を試みる香月の運命は。
ひき逃げに遭って病院に運ばれたオークラ製薬の青年営業マン長生太郎は、強烈な違和感に目を覚ます。自社の研究室で全身の血液を新開発の薬品に置き換えられ、痛みを感じない「生きている死体」として蘇ったのだった。新薬を開発した大学教授の失踪に危険を察したオークラ製薬は、太郎を東京に逃がす。平凡な毎日から一転、危険のただ中に放り出された太郎だったが、恋人の麻美を思う気持ちがさらなる危険に向かわせる…。
10歳の時に父親が原因不明の病になり、モナは「止めること」を始めた。唯一続けたのは木をノックすること、そして数学。父の病は癒されず、世界は色を失いながら彼女は大人になった。20歳を過ぎたある日、小学校で算数を教えることになったモナ。個性ばらばら、手に負えない子供たちと交わりながら、閉じていた彼女の世界が否応なく開かれてゆくー。現代アメリカ文学の明るい、新たな可能性が垣間見える、著者初の長篇傑作。
夫の彦馬に逢いたい。その想いを抑えられず、お庭番を抜けて逃亡中の織江は、変装して彦馬の家にほど近い妻恋坂を歩いていた。ある日、怪しげな男が落とした奇妙な形のものを拾う。それが新たな追っ手の罠だとは、知るよしもなかった。さらに織江は、彦馬が美しい女性と歩いているところを目撃、次第に心を乱されてゆく。そのころ彦馬は、占いによりある運命を予言されるのだがー。大きな予感に満ちた、シリーズ第7弾。
完全な密室に拉致された男女5人。机の上には1台のPC。残された酸素は12時間。制限時間までにマスターから出題されるクイズに答え、ゲームに勝ってここから脱出せよ。間違えれば即刻死が待っているー!不条理な極限状況に投げ込まれた男女が難問に挑みながら息詰まる心理戦を繰り広げるサスペンス・ホラー!予測のつかないラストが大きな話題を呼んだ鬼才の鮮烈デビュー作、ついにホラー文庫化。