2010年発売
AVとテレビ、ふたつの世界がぶつかり、反目し合い、火花が散り、新たなうねりが生まれた!1990年代前半から21世紀の現在まで、「悩ましき人々」の群像がおりなす劣情と感動。業界の裏の裏まで知る著者が圧倒的な迫力で描ききった、ノンフィクションノベルスの金字塔、ここに堂々完結。
幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆず。わけありの道具を「見立て」、癖のある人々を「目利き」しながら、ふたりは少しずつ成長してゆくー。動乱の京都を舞台に、「道具」と夫婦愛を描いた佳品六篇を収録。
葉子の夫は失踪し七年、彼女の元に骨笛が届いた。謎は謎を呼び寄せ、運命は絡み合う。東京、福岡、四国、五島、ローマ、ヴェネツィア、パリを結ぶ愛と愛の不在の物語。
長く疎遠だった父、その遺品の整理中に見つけた大学ノートには、表紙に大きく「めぐらし屋」と書かれていた。困惑する娘の蕗子さんに、折も折、当のめぐらし屋を依頼する見知らぬ客からの電話が舞い込む。そして、父の独居暮らしに淡い輪郭が与えられるたび、蕗子さんの遠い記憶は小さくさざめくのだった。地方都市を舞台に、温かで端正な筆致で描く、飾りない人びとの日常光景。
ミスター・ボーンズは犬だ。だが彼は知っていた。主人のウィリーの命が長くないことを。彼と別れてしまえば自分は独りぼっちになることを。世界からウィリーを引き算したら、なにが残るというのだろう?放浪の詩人を飼い主に持つ犬の視点から描かれる思い出の日々、捜し物の旅、新たな出会い、別れ。詩人の言う「ティンブクトゥ」とは何なのか?名手が紡ぐ、犬と飼い主の最高の物語。
八重山群島に屹立する高層タワーは災厄への予兆なのか?超自然的な存在と交感するユタの血を引く女、暴力の歴史に身をおく島民の末裔たちによるテロル。蹂躙されてきた南島の時空間は正史の側にいる人間の愚行と悲哀を暴き、重層的な物語として未曾有のカタストロフへと向かう。21世紀の政治的混沌と内乱の緊張を刻み込む、著者の小説的達成。
父から「悪の欠片」として育てられることになった僕は、「邪」の家系を絶つため父の殺害を決意する。それは、すべて屋敷に引き取られた養女・香織のためだった。十数年後、顔を変え、他人の身分を手に入れた僕は、居場所がわからなくなっていた香織の調査を探偵に依頼する。街ではテログループ「JL」が爆発騒ぎを起こし、政治家を狙った連続殺人事件に発展。僕の周りには刑事がうろつき始める。しかも、香織には過去の繰り返しのように、巨大な悪の影がつきまとっていた。それは、絶ったはずの家系の男だったー。刑事、探偵、テログループ、邪の家系…世界の悪を超えようとする青年の疾走を描く。芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペンス長編。新たなる、決定的代表作。
イラストレーター森山由海(別名フジワラヨウコウ)氏のオリジナル・イラスト二点を渡された三人の小説家が、そのイラストが扉絵・挿絵になるような短篇小説を執筆。森山氏はそれぞれにあらためて三点目のイラストを描き下ろすー。「SF Japan」と「問題小説」の二誌にまたがって、三年間連載。二十四名の人気作家が集結し腕を揮った前代未聞の競作企画が遂に単行本化。まずは第一弾、「奏の1」の開演。
澁澤龍彦が「人獣交合の描写のエロティシズムとグロテスクぶりにかけては、この橘外男の『陰獣トリステサ』以上のものは、まだ世界のどこの文学にも現われていないようだ」と絶賛した表題作ほか、綺想の傑作『青白き裸女群像』『妖花イレーネ』を一挙収録。
中三の夏休み、転落事故がもとで七年間の記憶を失ってしまった涼。それから十年。失業の憂き目にあった涼は、産業スパイとしてある化粧品会社に潜り込まないかという危険な誘いについ乗ってしまう。ところが、潜入したその会社のイケメン社長、宮守はなんと前夜、街で出逢い抱かれた相手…しかも彼は涼の幼馴染みで、記憶喪失になる直前まで二人は恋人同士だったと言う…。欠けた真実か偽りの過去か…ミスティラブ。
父の急死で二億円の相続税が…。窮地に陥った医薬品メーカーの次男、佑紀に無金利・無期限で融資すると申し出たのは、親友の兄で事業家の真崎恭一。そして、その担保条件は、真崎家に住んで恭一の花嫁役を演じること。一度は断った佑紀だが、今度は会社乗っ取りの危機で…条件を飲むはめに。実は恭一にとって佑紀は初恋の相手…だが、何も知らない佑紀は契約婚と思い込んで…。健気な花嫁新婚ステップアップエロス。
講談社BOXの無謀な挑戦! ついに“青字システム”も発動!! “赤き真実”に続き、ついに“青き真実”も発動! 『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07が描く、“思考の深層”をめぐる冒険!! 「……六軒島へ……。…………私の、……いや、……みんなの運命を変えた、1986年10月4日の、……六軒島へ…………。」 忌まわしい事件から12年後。六軒島からただ1人生還した右代宮絵羽(うしろみやえば)が、息を引き取った。彼女に育てられ、右代宮家の財産をすべて相続することになった戦人(ばとら)の妹・縁寿(えんじぇ)は、家族を失い、自身を孤独に追いやった事故の真相を知るべく、六軒島へと向かうーー。一方、幻想世界で繰り広げられる魔女“ベアトリーチェ”との闘いも、いよいよ第4のゲームへ。そして、勝負に負け続ける戦人の前に、彼の味方だという謎の少女が現れるが……!? ※本書は、2008年発表の同人ゲーム『うみねこのなく頃に Episode4』のシナリオをもとに著者である竜騎士07氏自らが全面改稿し、小説化したものです。
源平戦乱の余燼さめやらぬ鎌倉初期、京都の摂関家・藤原基房の娘伊子を母に、村上源氏の流れを汲む名門家の歌人・久我通具を父に生まれた道元は、瞳が二重の「重瞳の子」のため天下人か大聖人になるとの予言を受ける。幼少のうちに母を失い世の無常を身に染みて感じた道元は、真実の道を求めて出家。建仁寺で栄西の弟子・明全に師事したが、正法を求める思い止み難く宋へと向かった。仏教の革命者の全生涯を描いた初の大河小説。第三十五回泉鏡花文学賞・第五回親鸞賞。
宋の天童寺で念願の師・如浄和尚に出会い修行に励んだ道元は、心身脱落の境地を得て嗣書をさずかり印可を受けた。帰朝すると、ひたすら坐禅を行なう只管打坐によって悟りを目指すその教えを慕い、のちに永平寺二世を継ぐ懐奘らが入門してくる。道元は安嘉門院邦子内親王らの援助を得て、京都深草に興聖寺を建立。初めて自らの道場で、多くの弟子や信者を前に説法をするのだった。執筆九年、日本曹洞宗開祖の実像に迫る記念碑的作品。第三十五回泉鏡花文学賞、第五回親鸞賞。
弁道生活は順調に流れ、「正法眼蔵」の執筆も進んだ。が、男女や身分による差別を否定する教えに、比叡山の弾圧は日に日に激しくなる。道元はついに京を去って、越前志比庄に下ることを決意。新たに建てた修行道場を、この国に真の仏法が第一歩を記したことを意味する「永平寺」と名づけた。日本曹洞宗の開祖・道元の人間と思想の全貌に迫り、その生涯を描ききった記念碑的大河小説。永平寺建立・「正法眼蔵」大成にいたる長編小説完結篇。第三十五回泉鏡花文学賞・第五回親鸞賞。
榛葉が講師のクッキング教室が開催されることに!!ところがそれを妨害せんとする企みが…!?椿たち生徒会メンバーが、学園の秩序を守るために動き出す!!小説化第2弾は生徒会が主役!!ボッスンたちの出番はあるのか。
結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とはーー。いまもっとも旬な作家・道尾秀介が思いを込めた「傑作」、ついに文庫化。