2010年発売
最強と謳われる陸上自衛官・真田聖人の妻が惨殺された。妊娠六ヶ月、幸せの真っ只中だった。加害少年らに下った判決は、無罪にも等しい保護処分。この国の法律は真田の味方ではなかった。憤怒と虚無を抱え、世間から姿を消した真田は復讐を誓う。男は問うー何が悪で、何が正義なのか、を。本物の男が心の底から怒りをあらわにしたその瞬間…。残酷で華麗なる殺戮が始まった。
羽賀組はかつて博徒集団だったが、今は鳶職や家屋解体工を抱える会社だ。四代目組長を継いだ羽賀亮は、刑事を本業としているため、元博徒の彦坂成昭に会社を仕切らせ、堅気として生きている。が、父が事故死と見せかけて殺されたかもしれないという疑念を持ち始めた羽賀は違法と知りながら、裏社会の人脈を持つ彦坂を使って真相を探るが…。
福岡沖に建設された巨大天然ガスプラント『レガリア』。千五百億円もの予算がつぎ込まれた日韓共同の施設に火災が発生した。折から大型台風も接近しており、海上保安庁の「海猿」仙崎大輔は、施設の設計主任である桜木を連れて、『レガリア』に乗り込む。今日が結婚三周年の記念日であった仙崎だったが、巨大施設に起きた思いもかけない爆発で逃げ場を失ってしまう。果たして仙崎は無事に脱出できるのか。妻・環菜と長男・大洋の写真を胸に抱いて、最後の脱出を試みるのだった。映画とテレビで好評を博した超人気シリーズ「海猿」の最終完結編を完全ノベライズ。
“「死神」と呼ばれる殺し屋のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される”。特ダネを追うライター・陣内は、ある組長の死が、実は死神によるものだと聞く。事故として処理された彼の死を追ううちに、陣内は破天荒な天才投資家・本宮や、組長の仇討ちを誓うヤクザとともに、死神の正体に迫っていく。一方で、退官間近の窓際警部と新人刑事もまた、独自に死神を追い始めていた…。第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
神代エリカは、「正統な」吸血鬼の父を持つ女子大生。友人たちと行った年末の混み合うデパートで、突然起こった火事騒ぎに巻き込まれてしまう。どうやら、視線を向けるだけで火をつけられるという恐るべき超能力を持った女性のしわざらしいのだが…!?花の女子大生になったエリカたちが、怒れるおばさまパワーに挑む!?全三篇を収録した大人気シリーズ第三弾。
大型台風23号が接近。東京上陸はないとの気象庁発表。が、日本防災研究センターの玉城はコンピュータ・シミュレーションで24号と23号が合体、未曾有の巨大台風となって首都圏を直撃することを予知。要請により荒川防災の現場に入る玉城。設計担当者として建設中の超高層マンションに篭もる妻・恵子。残された子どもたち。ひとつの家族模様を軸に空前の規模で東京水没の危機を描く、災害サスペンス3部作、堂々の完結編。
原口泰三。非合法組織に追われる彼は、嵐が接近する沖縄那覇港に降り立ち、追手の目から逃れるためにうらぶれたホテルに投宿する。東恩納順子。ホテル経営責任者。以前は経営に情熱を燃やしていた彼女だったが、夫との死別で今は流されるままに生きている。泰三と順子はかつて愛し合う仲だった。交わることのなかった二人の人生が、緊迫した事態のなかで劇的に交錯する。傑作サスペンスロマン。
夏の朝、洞窟で若い女の全裸遺体と朽ちた古い遺体が2体見つかった。休暇中のパトリックだったが、妊婦のエリカを気遣いながらも捜査を指揮することに。検死の結果、新旧遺体は二十数年を挟んで全く同じ方法で惨殺されたことが判明、捜査線上に今は亡きカリスマ説教師の呪われた一族が浮上し…北欧の海辺の小さな町を震撼させた猟奇的殺人事件を作家&刑事が解決する大人気シリーズ第2弾。
オースティン『高慢と偏見』×スタンダール『赤と黒』、ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』×フローベール『ボヴァリー夫人』、ナイポール『ある放浪者の半生』『魔法の種』×ウエルベック『素粒子』…イギリス小説とフランス小説が理屈抜きにどれだけ面白いか?19〜20世紀の古典的作品でこれぞというものをぶつけあい、読み比べてみたらどうだろう?文学者・翻訳家として活躍するふたりが12の名作を読解し、その魅力を語り尽くす。読むことの生き生きとした愉しさを伝える文学対談。
シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト、永嶺修人。彼に焦がれる音大受験生の「私」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、指にピアニストとして致命的な怪我を負い、事件は未解決のまま30年の年月が流れる。そんなある日「私」の元に修人が外国でシューマンを弾いていたという「ありえない」噂が伝わる。修人の指に、いったいなにが起きたのか。鮮やかな手さばきで奏でる“書き下ろし”長篇小説。
アトランはローダンの80年計画に対抗して、心理戦を展開することにした。銀河系のあらゆる宙域に投入してきたマルティ・サイボーグを使って世論操作をし、自身の政策の支持者を増やそうというのだ。そうしたマルティ・サイボーグのひとり、スモルクは、過酷な自然環境の惑星ユピスでさまざまな困難にたちむかっていた。相棒とともに調査活動をしている最中に突然、これまで経験したことのない不思議な感情に襲われたがー。
400年来の宿敵として対立してきた甲賀・伊賀の忍法二族。彼らは服部半蔵の約定によって、きわどい均衡を保っていた。だが慶長19年、家康によってついにその手綱が解かれる。三代将軍の選定をめぐる徳川家の紛争を、両里から選ばれた精鋭各10名に代理させようというのだ。秘術の限りを尽くし、凄絶な血華を咲かせる忍者たち。だが、そこには流派を超え、恋し合う2人の名も含まれていた…。山風忍法帖の記念すべき第一作。
晩春の夜更け、聖ミカエル病院に瀕死の女性が担ぎこまれた。女はかつて病院で看護師を務めていた森弓子で、昇汞を呑んでしまったという。千明医学士は手当てを始めるが、弓子の肢体に数条のみみず張れを発見する。直後、弓子の夫が同じく昇汞を呑んで自殺。夫婦に何が起こったのか?刻一刻と弓子の様態が悪化する中、驚愕の真相が明らかになる…(『虚像淫楽』)。探偵作家クラブ賞受賞の表題作を含む初期ミステリー傑作選。
2006年。アルカイダ幹部が逮捕劇中に死亡、そのパソコンからテロ計画書が発見される。世界を未曾有の恐怖に陥らせる大規模テロ。だが、米英謀報部がどれほど手を尽くしても詳細は不明だった。そこで、1人の男に白羽の矢が立つ。マイク・マーティンーかつて湾岸戦争の際にバグダッドへ潜入し、任務を成功させた褐色の元SAS将校が再び敵地へと送り込まれることになる!円熟の著者が放つ、軍事スリラーの金子塔。
アルカイダという閉鎖的組織への潜入を成功させるために取られたのは、替え玉作戦。現在は収監中のタリバン戦士、イズマート・ハーンに成りすまし、アラブ世界へ身を投じたマイクは、着々と進行するテロ作戦の実行部隊の一員となる。潜り込んだ先は、船。この船で一体、どんなテロを起こそうとしているのか?折しも、豪華客船に各国要人が集うG8の開催日が近づいていた…。混迷の現代社会に警鐘を鳴らす、超一級の物語。円熟の著者が放つ、軍事スリラーの金字塔。
1942年、ナチス・ドイツ占領下のポーランドで猟奇殺人が発生。唯一の目撃証言はドイツ軍人、それも将軍クラスの人物による犯行を暗示していた。ドイツ軍防諜部のグラウ少佐は、容疑者を3人の将軍にまで絞り込み捜査を進める。しかし軍という巨大組織の隠微な刃が、グラウ自身にも迫ろうとしていたー。大戦の狂気と正義を求める心の闘争を描いた群像サスペンスの名作、半世紀の時を経て、瑞々しい新訳で登場。
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなるー。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。