2011年7月発売
その夜ー。関沼慶子は散弾銃を抱え、かつて恋人だった男の披露宴会場に向かっていた。すべてを終わらせるために。一方、釣具店勤務の織口邦男は、客の慶子が銃を持っていることを知り、ある計画を思いついていた。今晩じゅうに銃を奪い、「人に言えぬ目的」を果たすために。いくつもの運命が一夜の高速道路を疾走する。人間の本性を抉るノンストップ・サスペンス。
轢き逃げは、じつは惨殺事件だった。被害者は森元隆一。事情聴取を始めた刑事は森元の妻、法子に不審を持つ。夫を轢いた人物はどうなったのか、一度もきこうとしないのだ。隆一には八千万円の生命保険がかけられていた。しかし、受取人の法子には完璧なアリバイが……。刑事の財布、探偵の財布、死者の財布ーー“十の財布”が語る事件の裏に、やがて底知れぬ悪意の影が!
亡き両親が残したビデオを見た智子は、かつて自分に特殊な力があったことを知る(「朽ちてゆくまで」)。わたしは凶器になれるー。念じただけで人や物を発火させる能力を持つ淳子は、妹を惨殺された過去を持つ男に、報復の協力を申し出る(「燔祭」)。他人の心が読める刑事・貴子は、試練に直面し、刑事としての自分の資質を疑ってゆく(「鳩笛草」)。超能力を持つ三人の女性をめぐる三つの物語。
青木淳子は常人にはない力を持って生まれた。念じるだけですべてを燃やす念力放火能力ーー。ある夜、瀕死の男性を「始末」しようとしている若者四人を目撃した淳子は、瞬時に三人を焼殺する。しかし一人は逃走。淳子は息絶えた男性に誓う。「必ず仇はとってあげるからね」正義とは何か!? 裁きとは何か!? 哀しき「スーパーヒロイン」の死闘を圧倒的筆致で描く!
青木淳子は常人にはない力を持って生まれた。念じるだけですべてを燃やす念力放火能力ーー。ある夜、瀕死の男性を「始末」しようとしている若者四人を目撃した淳子は、瞬時に三人を焼殺する。しかし一人は逃走。淳子は息絶えた男性に誓う。「必ず仇はとってあげるからね」正義とは何か!? 裁きとは何か!? 哀しき「スーパーヒロイン」の死闘を圧倒的筆致で描く!
一たんは魏王の爵位を受けた曹操であったが、奇策を駆使する孔明の前に敗色濃く、遂に漢中を捨てた。それを見るや諸侯もすべて降伏。蜀の勢いは大いに上り、「わが君はおん年五十をこえ、仁義のほまれ高く」と孔明、劉備に皇帝の位につくことをすすめる。
亡くなった文豪の伝記執筆を託された友人から、文豪の無名時代の情報提供を依頼された語り手の頭に蘇る、文豪と、そしてその最初の妻と過ごした日々の楽しい思い出…。『人間の絆』『月と六ペンス』と並ぶモーム(一八七四ー一九六五)円熟期の代表作。一九三〇年刊。
文化大革命末期の山西省呂梁山脈奥地の「小人村」。カシンベック病を患う村の男たちの「共有の嫁」の秦暖玉。彼女をねらう人民公社革命委員会主任の劉長勝とそれに反発する下放知識青年趙衛国。わずかな土地を受け継いだがために「富農」のレッテルを貼られた曹永福は、闘争にかけられる。追い詰められる、ことばを持たぬ村人たちの運命は。
十八世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から妊婦の屍体が消え、四肢を切断された見知らぬ少年の屍体が現われた。背後には稀覯本贋作をめぐる謎が……著者の新たな代表作となる歴史ミステリ
気まぐれなヘンリー八世治める十六世紀の英国。貧しい生まれのトマス・クロムウェルは、自らの才覚を頼りにのしあがっていく。ブッカー賞史上最高の売上を記録した、躍動感あふれる歴史文芸大作
時は清教徒革命から王政復古へいたる動乱期、 幽閉された伯父のもとへ、ひとりの若者が馬を駆るー ジョージ・エリオット14歳の筆になる、未完の歴史ロマンス。 作者のマリアン・エヴァンズ(1819-80)はのちに男性名のペンネームを用いて作家となり、小説(『サイラス・マーナー』『ミドルマーチ』など)、エッセイ・評論を執筆。「ジョージ・エリオット」という名はイギリス文学史に深く刻まれた。 本書では、第一部で『エドワード・ネヴィル』のテクストにC・アレグザンダー、J・マクマスター教授らによる詳細な解説を付した「ジュヴェニリア出版」版(オーストラリア)の翻訳を、第二部では『エドワード・ネヴィル』の主要登場人物のひとりヘンリー・マーテンと彼が生きた清教徒革命の時代、舞台となった場所などを詳しく紹介。大作家となる以前のひとりの少女の想像力と創作の過程を追う。 はじめに 第一部 『エドワード・ネヴィル』/マリアン・エヴァンズ著 ジュリエット・マクマスター他 編 はしがき ジュリエット・マクマスター 本文についての覚書 ボニー・ヘロン/タニア・スミス 『エドワード・ネヴィル』 マリアン・エヴァンズ(ジョージ・エリオット) 注解 ジュリエット・マクマスター 解説 ジュリエット・マクマスター 史的事実についての後記 タニア・スミス 引用文献および参考文献 第二部 『エドワード・ネヴィル』をめぐって/ 樋口陽子 著 第一章 『エドワード・ネヴィル』について 一 作者/二 未完の歴史ロマンス/三 ジュヴェニリア出版 第二章 副主人公ヘンリー・マーテン 一 親族/二 ヘンリー・マーテンと清教徒革命 第三章 ゆかりの地を訪ねて 一 チェプストウ教区教会とチェプストウ博物館 二 チェプストウ城とティンタン修道院/三 ピアスフィールド 四 ハンティンドン博物館/五 ケンブリッジ大学シドニー・サセックス・コレジ 参考書目 あとがき 年表
紀州藩で密やかに進行する陰謀と転生衆の存在を知った十兵衛。孤剣を抱き、魔人と化したかつての剣豪たちと対峙していくが、ついに最強の敵が立ちはだかる! 十兵衛は仲間を守れるのか。手に汗握る死闘の果てとは!
島原の乱に敗れ、幕府へ復讐を誓う森宗意軒は忍法「魔界転生」を編み出し、名だたる剣豪らを魔人として現世に蘇らせていく。最強の魔人たちに挑むは柳生十兵衛! 手に汗握る死闘の連続。忍法帖の最大傑作。
坂口刑事は急行「アルプス」で移動中、車の炎上を目撃する。乗務員と協力して車中の女性を助け出すが、女性は間もなく死亡。やがて乗務員が殺されていき……十津川の推理が冴える傑作鉄道ミステリ集!