2011年8月発売
中国人ばかりを狙った惨殺事件が続けて発生した。手がかりは、死体の脇の下に残された刺青だけ。捜査に駆り出された新宿署の刑事・佐江は、捜査補助員として謎の中国人とコンビを組まされる。そこに、外務省の美人職員・由紀が加わり、三人は事件の真相に迫ろうとするが…。裏切りと疑惑の渦の中、無数に散らばる点と点はどこで繋がるのか。
連続殺人を中国政府による“反政府主義者の処刑”と考えた警察上層部に翻弄される佐江たち。一方中国は、共産党の大物を日本に派遣し、事件の収束を図ろうとする。刑事、公安、そして中国当局。それぞれの威信と国益をかけた戦いは、日中黒社会をも巻き込んだ大抗争へと発展する…。かつてないスピードで疾走するエンターテインメントの極致。
シャルラトの力を借り、ついにエレールを倒したナムルとエリシュティシュタルは、バラバラにされたシャズを復元してアッシュールを脱出する。一方、シャムシ=アダド率いるアッシュール軍は隣国マーリ攻略に向けて進撃、ラルサのリム=スィーンもやはり隣国イスィン征服に向けて動き出す。四方世界の王をめざす両雄の激突が刻一刻と迫っていたー。
昭和最大のミステリー、グリコ・森永事件。その指名手配の絵、キツネ目の男が、事件から数年たった今も、わたし達をおびやかす。じゅうたん工場で働く女工たちの文字に託した思いを描く「恋もみじ」。家を出た奥さんになりかわった偽物の綾小路夫人の純情を描く「少女煙草」。破天荒な世界観とユーモアで紡ぐ、表題作ほか二篇。
第二次大戦下、親元から疎開させられた6歳の男の子が、東欧の僻地をさまよう。ユダヤ人あるいはジプシーと見なされた少年が、その身で受け、またその目で見た、苛酷な暴力、非情な虐待、グロテスクな性的倒錯の数々-。
十七世紀、チリの首都サンチャゴで引き裂かれたままそれぞれ最後の時をむかえようとしていた男女がいた…絶後の名品「チリの地震」他、天災/人災を背景にした完璧な文体と構成による鏤骨の作品群、復活。
浪人武士の民谷伊右衛門は、妻の岩との仲を裂こうとする四谷左門(岩の父)を殺害する。だが復縁後、岩は病気がちになり、生活に苦悩するようになった。そんななか、隣人である伊藤喜兵衛に、出世の道をそそのかされた伊右衛門が岩を裏切ったことから、壮絶な復讐劇がはじまるー。江戸時代から語り継がれる、日本三大怪談のひとつを漫画化。
曹操の策略に落ち入り、さしもの豪傑関羽も落命。だが曹操の夢には夜毎に関羽が現れ病篤く、跡を曹丕に托して死を迎える。張飛は部下の恨みを買って寝首をかかれ、劉備もまた二弟の亡霊が自分を招いているのを見て、死の近いことをさとるのだった。
高名な初老の作家アシェンバハは、ある日旅の誘惑に駆られ、ヴェネツィアへと旅立つ。そこで彼が出会ったのは、神のごとき美少年タジオだった。その完璧な美しさに魅了された作家は、疫病が広がり始めた水の都の中、夜となく昼となく少年のあとをつけるようになる…。官能の焔に灼かれて朽ちていく作家の悲劇を、美しい筆致で描いた文豪マンの代表的傑作。巨匠ヴィスコンティの名作映画原作。
望川貴は幼稚園で出会った日仏混血の少女・万里枝プティに心を奪われ、二人は永遠の絆で結ばれていると確信する。小中高大学と同じ学校で過ごし、大学でも同じ文学サークルへ入会するが、そこで出会った大財閥の御曹司が万里枝に急接近する。貴は凡庸な容姿の自分とは違い、驚くほどの美貌を誇る異父兄・木村晴彦に、万里枝を誘惑するよう依頼する。貴の計画は成功するかに見えたがー。錯綜する愛憎。はたして真実の絆はどこに。
事件簿の奥の奥まで読み込み、その背景にある歴史や文化を語り尽くす。さらに、事件簿の地を訪ね、映像作品で名探偵の活躍を堪能。新しい発見と論旨に基づく項目でホームズの世界の醍醐味を解説する、物語をますます楽しむための事典。
思春期まっさかりの中学2年×20人、男女それぞれの“ままならぬ想い”を描く連作短篇全20話。一口に片思いと言っても、その想い方はさまざま。10代ならではの不器用なアプローチに胸が熱くなること必至。カップルであってもお互いの気持ちにすれ違いが生じていたり…。巻末に、20人の想いの方向が見える“恋の相関図”付き。
裕福ではあるが厳しく威圧的な祖母の屋敷で、母と暮らすジェーン。父に似た自分を祖母が疎んじていることを感じながら孤独な日々を送っていた彼女に、ある日、衝撃のニュースがもたらされる。死んだと思っていた父が生きていると…。戸惑いながら父に会うために訪れたプリンス・エドワード島には、まったく新しい輝ける世界への扉が待っていた。エゴや誤解に打ち克つ究極の愛を描くモンゴメリの人気作を新訳でおくる決定版。
都営団地で母親とふたり貧しく暮らす篤のもとに、知り合ったばかりの中国人美少女、リーホワが突然訪ねてきた。甥のフェイが何者かに誘拐されたという。身代金は2千万円。篤は、中国人三世の先輩、尾崎に頼み込み、リーホワと3人でフェイの救出に乗り出す。裏切りの連続と二転三転する真相。待ち受けていたのは、衝撃の結末だった…。裏社会に生きる人間たちの生き様と、格差社会の現実を克明に描いたノンストップ傑作長編。
伝説の傑作『殺人鬼』、降臨!!’90年代のある夏。双葉山に集った“TCメンバーズ”の一行は、突如出現したそれの手によって次々と惨殺されてゆく。血しぶきが夜を濡らし、引き裂かれた肉の華が咲き乱れる…いつ果てるとも知れぬ地獄の饗宴。だが、この恐怖に幻惑されてはいけない。作家の仕掛けた空前絶後の罠が、惨劇の裏側で読者を待ち受けているのだ。-グルーヴ感に満ちた文体で描かれる最恐・最驚のホラー&ミステリ。
東京郊外の大型ショッピングセンター「タイニー・タイニー・ハッピー」、略して「タニハピ」。商品管理の事務を務める徹は、同じくタニハピのメガネ屋で働く実咲と2年前に結婚。ケンカもなく仲良くやってきたつもりだったが、少しずつズレが生じてきて…(「ドッグイヤー」より)。今日も「タニハピ」のどこかで交錯する人間模様。結婚、恋愛、仕事に葛藤する8人の男女をリアルに描いた、甘くも胸焦がれる、傑作恋愛ストーリー。
失踪した父の車が、長野県大町市で見つかった。その発見現場で息子の一成は深雪という地元女性と出会う。ある理由で一緒に父親の足取りを追う2人だったが、何者かにより妨害される。父にはこの地に秘密があったのだ。手がかりは「タケル」という名前と「カクネ里」という地名のみ。果たして、父は何者だったのか?早世後刊行された、大ヒットデビュー作『ファントム・ピークス』の著者が遺した、珠玉のサスペンス・ミステリ。