小説むすび | 2012年10月発売

2012年10月発売

ペガサスの挽歌ペガサスの挽歌

【2025年5月現在、新本が定価(2,400円+税)で購入可能】 「激しく、罰せられている。私は、罰せられている。」(「黄泉の女」より) 燦爛(さんらん)たる幻想。自由への憧れ。性の冒険。狂気と孤独。貴重なデビュー前の児童小説を含む、待望の1970年代単行本未収録作品集。皆川文学誕生の秘密がここにある。  「私の中に巣喰う狂気が、さまざまな夢を見させる。文字に定着してしまえば、未だ寒々と貧しい世界。いつか華麗な狂気の世界を、文字の上にもあらわしたいと、一枚、二枚、書きつづけています」  小説現代新人賞受賞の言葉でそう語った皆川博子は、初めから、恐ろしいほどに完成されていた。同人誌発表のシュールな詩のような児童文学4篇を含む、単行本未収録作品12篇を収録。皆川文学の妖美な特色は、むしろ未収録とされた作品のほうに色濃くあらわれている。 ※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。 初期児童文学作品  花のないお墓  コンクリ虫  こだま  ギターと若者 地獄のオルフェ 天使 ペガサスの挽歌 試罪の冠 黄泉の女 声 家族の死 朱妖   解説/七北数人

都市は何によってできているのか都市は何によってできているのか

本作は深い内省と探求から生まれた8つの短編で構成されていますが、それらは、独立した物語でありながら、同時に1つの長編小説のようにつながり合い、互いに共鳴し合っているのです。 【全部読まねば「都市」が見つからない。パク・ソンウォンワールドの八篇のストーリー】 この作品には短編集『キャンピングカーに乗ってウランバートルまで』と『都市は何によってできているのか』の小説が同名2作目まで収録されており、「キャンピングカー」にでてくる「僕」が「都市はー2」にも登場するという、ユニークな構成になっています。二つとも違う背景の作品ではありますが、「僕」が家族を通して追求していた幸せの理想は「何」なのかが淡々と語られ、遊牧民のような「放浪生活」をし続けていく「僕」の話は私たちの話でもあるような気がします。軽いタッチで書かれたパク・ソンウォンワールドの「放浪」をお楽しみください。  姉と僕は誕生日が数日しか違わない。そんな姉を姉とよんでいいのかどうか、僕は昔から何とも判断が付きかねている。早い話が僕は父の隠し子だ。それも本妻と同じ時期に妊娠させたというから、その手際の良さには舌を巻く。父はたぶん当時から遊牧民気質を持っていたのだろう。  -「キャンピングカーに乗ってウランバートルまで」から

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