2012年12月発売
遠藤周作には、代表的長篇小説が多くあるが、それぞれの長篇には、源泉となる短篇作品がある。遠藤文学の核となる名短篇十二篇と単行本未収録の一篇。遠藤周作の文学・人生・宗教観がすべてわかる短篇集。
男と女の出会いと恋愛の機微を永久の時間のなかで紡ぎ出す短篇小説の魔術師・木山捷平。その鮮麗なる筆致は読む者すべてを魅了する。「村の挿話」「猫柳」「空閨」「増富鉱泉」「男の約束」「落葉」「回転窓」「留守の間」「口婚」「好敵手」「七人の乙女」を収録。 男と女の出会いと恋愛の機微を永久の時間のなかで紡ぎ出す短篇小説の魔術師・木山捷平。 その鮮麗なる筆致は読む者すべてを魅了する。 ※本書は『木山捷平全集』(講談社刊)を底本としました。 村の挿話 猫柳 空閨 増富鉱泉 男の約束 落葉 回転窓 留守の間 口婚 好敵手 七人の乙女
仕事は別に苦じゃないけど、一生を捧げたいってわけではなし。 そろそろ結婚もしたいけど、彼氏が運命の人って感じもしない。 『勝手にふるえてろ』『かわいそうだね?』に続き、微妙な年頃の女性の行き場のない感情を独特の文体と飄々とした可笑しみで描き出す連作集。「しょうがの味は熱い」「自然に、とてもスムーズに」の二篇を収録。 「しょうがの味は熱い」彼氏の絃ともう半年同棲している。就職以来、いつも仕事に押しつぶされそうに疲弊している絃と、大学院生として学校に通いながら家事をする早希。夕ご飯を済ませ、電気を消した部屋でニュースを見て、布団に入る。並んで横たわる二人の思考はいつの間にかどんどんかけ離れてゆき……。「同棲は結婚に続いていないみたいだ」そんな“真理”にはたと気づいた早希の選んだ道とは。 「自然に、とてもスムーズに」彼氏の絃とはもう三年同棲している。営業の仕事を淡々とこなす彼と、短大を出てから一緒に暮らすようになった奈世は、最近ではもう結婚していないこと忘れてしまうくらいだ。疲れて帰ってくる彼にサプライズで花とケーキと婚姻届を用意してみたら……。思いもよらぬシビアな拒絶に打ちのめされた奈世は二人の家を出て故郷へ。一人娘の帰還を訝りつつも歓迎する両親との暮らしの中で結婚への執着を失くしつつあった奈世のもとに絃が訪ねてくるが。 「草食系」だけではくくれない、煮え切らない男と煮詰まった女の、現代の同棲物語。とほほと笑いつつ何かが吹っ切れる、未婚/既婚すべての女性、そしてすべての迷える男性に贈る一冊です。
父・清隆を銃殺した杉山と帰宅後鉢合わせした塔子は、重傷を負わされてしまう。半年間の昏睡状態に陥ったのち、一命を取りとめ、奇跡的に目覚めた。犯人・杉山への判決に得心できない塔子に、事件担当刑事の犬伏は、「捜査に強い圧力がかかった」ことを告げる。さらに犬伏は、警察も捜査できない事件を扱う文目屋なる殺しの集団の存在を塔子に明かすのだった…。
尖閣諸島近海で中国海洋局の漁業監視船と海上自衛隊の哨戒艇が武力衝突した。これは環太平洋全体の自国経済圏化を狙った中国の覇権主義の第一歩で、続いて沖縄、台湾の制圧を目論んでいた。国家主席の習近平は、大陸沿岸に中距離弾道弾を配備させる。一方、米国のNSA(国家安全保障局)は軍事衛星を使い中国の動きを日本側に通報し、日米両国はミサイルによる邀撃作戦を展開することになるが…。
インテリアデザイナーの沙良、36歳は、母の駒子61歳とふたり暮らし。「あなたが心配だから」という名目のもと、チャンスさえあれば、娘を支配したくてたまらない母。善意がベースとわかってはいるものの、母の言葉に、嫉妬心やライバル心を感じることがある。家賃はなし、家事もすべてお任せという夢のような環境と干渉を天秤にかける娘。結婚のこと、老後のこと、娘と母の思惑は錯綜する。
同棲していた彼氏とケンカして、家出した茜。民宿を経営する叔父夫婦のもとに転がり込むが、そこはラブホテルに替わっていて…(「海風」)。結婚して10年。ずっとうまくいっていた妻との間に、大きな悩みを抱えてしまった航。久しぶりに戻った故郷で、昔傷つけてしまった女性と再会しー(表題作)。海辺の街を舞台に、人生に迷い立ち止まる6人の男女の再生を描く、ほろ苦くも心温まる小説集。
大坂西町奉行所に型破りな奉行が赴任してきた。名は大邉久右衛門。大食漢で美食家で、酒は一斗を軽く干す。ついたあだ名が「大鍋食う衛門」。三度の御膳が最優先で、やる気なしの奉行に、与力や同心たちはてんてこ舞い。ところが事件が起こるや、意外なヒラメキを見せたりする。ズボラなのか有能なのか、果たしてその裁きは!?食欲をかきたてる、食いだおれ時代小説。
模索と発見の小説黎明期。違和感も陶酔も、いま触れるすべてが新しい。明治二二年から三五年に発表された、逍遙・鴎外・一葉・鏡花らの一二編を収録。
第二輯 序 1 三人連れのサン=ニコラの代訴人見習 2 フランソワ一世陛下のご禁欲 3 ポワシーの修道女たちの楽しき夕べの語らい 4 アゼ=ル=リドー城館由来記 5 偽りの娼婦 6 事知らずも程々に 7 明日なき恋の一夜 8 ムードンの司祭の最後のお説教 9 淫夢魔裁判録 10 望みなき恋 跋 付 録 系図 地図
純文学作家屈指の文章家が描ききる、女のがらんどうの心 女はどこか知らない町で何者でもなく生きようと、一人北国へと逃れる。がらんどうで妖しい実存的生を描き切るまったく新しい純文学。
「黄金郷ヒライズミ」の地図を入手したシュリーマンは、一攫千金と名声獲得の野望を抱き来日。髭を伸ばして蝦夷に変装し、偽者を横浜に置いて平泉に上る。それを阻む修験者と謎の黒装束集団の争いが勃発。険しい山中をさらに分け入るシュリーマンは、秘宝を目前にしてついに短筒を構えた。
戦乱の世、上州の小領主の次男として生まれながら、武人としてより兵法者としての道を選び、「剣聖」となった漢がいたーー。剣の修行に明け暮れていた少年は、過酷な立切仕合を経て出会った老齢の師から「己の陰を斬る」ための陰流を皆伝される。だが己自身の奥義はまだ見つからない。大型歴史巨編開幕! (講談社文庫) 剣聖 剣士の真髄とは心刀身一如なり。 時は戦国、孤高の兵法者として道を究めた漢(おとこ)の「剣」と「心」と「修行」を描いた圧巻巨編! 戦乱の世、上州の小領主の次男として生まれながら、武人としてより兵法者としての道を選び、「剣聖」となった漢がいたーー。剣の修行に明け暮れていた少年は、過酷な立切仕合を経て出会った老齢の師から「己の陰を斬る」ための陰流を皆伝される。だが己自身の奥義はまだ見つからない。大型歴史巨編開幕! ※本書は、2005年11月に新潮文庫より刊行されたものを上下に分冊しました。 序の舞 降 臨 A.D.1508. Province Kouzuke,The Castle "KAMIIZUMI". 其の壱 邂 逅 A.D.1563. Province Ise,The Chateau "KIRIYAMA". 其の弐 南 都 A.D.1563. Province Yamato,Primary Capital "NARA". 其の参 鹿 島 A.D.1521. Province Hitachi,The Shrine "KASHIMA". 其の四 立 切 A.D.1524. Province Hitachi,The Shrine "KASHIMA". 其の伍 皆 伝 A.D.1530. Province Kouzuke,The Castle "KAMIIZUMI". 其の六 水 月 A.D.1545. Province Yamato,Primary Capital "NARA".
「納得いかない。たった一回の無銭飲食で、もう一週間もこき使われている」 異世界で勇者に倒されたはずの魔王。 しかし次の瞬間、彼はなぜかアメリカの荒野、 しかもハンバーガーダイナーの前に立っていた! さらにひょんなことからその店の手伝いをすることになりーー!? アメリカの旧国道ルート66、 その道沿いにひっそりと建つハンバーガーダイナー「ROUTE66」。 その店をたった一人で切り盛りしていた少女と、彼女の作る極上ハンバーガーが、 戦うために生み出された魔王に変化をもたらしていく……? 常識知らずの天然魔
貧しさにたえかねて一片のパンを盗み、19年を牢獄ですごさねばならなかったジャン・ヴァルジャン。出獄した彼は、ミリエル司教の館から銀の食器を盗み出すが、慈悲ぶかい司教の温情が、彼を目ざめさせる。
青年マリウスは、美少女コゼットに恋をした。彼女への思いをつのらせる彼だったが、革命騒ぎのただなかに巻き込まれ、絶体絶命となる。そのときコゼットと一緒にいた男、ヴァルジャンと再会しーー。
雨の黄金郷で戦人は待つ。悲しき魔女の心が房るのを。ベアトリーチェと戦人が不在のゲーム盤上では、ラムダデルタ・ベルンカステルの二人による第五のゲームが進んでいた。あくまでも金蔵の死を隠す夏妃を、ベルンカステルの手が追い詰める。その攻撃の切っ先は、ついに夏妃が守る六軒島の幻想へ届く。