小説むすび | 2012年12月発売

2012年12月発売

名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ

出版社

文藝春秋

発売日

2012年12月18日 発売

北関東のとある地方都市の一角、観音さまが見下ろす街、紅雲町で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づいていく人気シリーズ第三弾。今回は、お草さんが、コーヒーを仕入れるミトモ珈琲商会が、紅雲町のある街に出店を計画。ミトモでは、二代目の若手女性社長・令が紅雲町をリサーチしていた。珈琲豆の仕入れに不安を感じたお草さんは、懇意であるミトモ初代社長に相談へ行くが、社長になった娘の令と、彼女をサポートする井(い)との対応で、逆に三友から相談されてしまう(「長月、ひと雨ごとに」)。紅雲町の青果店に持ち上がった産地偽装問題を記事にしようと、意欲に燃えている新聞記者の萩尾。だが、事件の背景には、意外な事情があった。萩尾の元の雇い主で、お草さんのコーヒーの師匠であるレストラン「ポンヌフアン」であるバクサンこと寺田博三は、正義感が先行し、ややあぶなかったしい萩尾を心配して、青果店と同じ町に住むお草にお目付け役を依頼する(「霜月の虹」)。お草は、この事件を通して、草の友人である由紀乃のいとこのかつての夫で、萩尾の民俗学の師匠である勅使河原先生と、その娘の美容師・ミナホとも関わることになる。草から見る、萩尾とミナホの関係は、どこかギクシャクとした不思議な関係だった。そんななか、勅使河原先生に論文盗用の疑惑が持ちあがる。そして、論文盗用疑惑をきっかけに、三人の止まっていた時が動き出そうとしていた……。「萩を揺らす雨」でブレイクした著者が、お草さんと彼女をとりまく街の人々の生活を通して、四季を描きつつ、お草さんならではの機転と、ささやかな気配り、そして豊富な人生経験から、小さなトラブルを解決していく滋味あふれる短編連作小説集。

アンゴウアンゴウ

【2025年5月現在、新本が定価(2,200円+税)で購入可能】 「私は生き生きと悲しもう。」(「ふるさとに寄する讃歌」より) ほとばしる才気、あふれ出る詩情、青い安吾がここにいる。  坂口安吾の詩情あふれる初期の作品を中心に、これまであまり単行本に収録されてこなかった、埋もれた名作・佳作を集成。  散文詩を思わせる言葉の連なりが美しい「ふるさとに寄する讃歌」を皮切りに、狂気をはらむ親友の死を描いた「長島の死」、壮絶な恋愛小説「花火」、ユーモラスなどんでん返しが鮮やかな「無毛談」、妻と親友への疑心が意外な結末へとつながる感動の名作「アンゴウ」、安吾流ファルスの到達点ともいえる「保久呂天皇」など、29作品を収録した。 ※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。 ふるさとに寄する讃歌 〔翻訳〕ステファヌ・マラルメ──ヴァレリイ Pierre Philosophale 傲慢な眼 山麓 山の貴婦人 宿命のCANDIDE 長島の死 淫者山へ乗りこむ 流浪の追憶 母を殺した少年 お喋り競争 手紙雑談 山口修三宛書簡 夏と人形 南風譜 閑山 紫大納言 囲碁修業 探偵の巻 市井閑談 二流の人(抄録) 我鬼 花火 無毛談 アンゴウ 死と影 日月様 保久呂天皇 解説/七北数人

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