2013年10月発売
恐怖に駆られた町民たちが引き起こしたパニックで死者が続出。軍は障壁の外側から、ドーム破壊のためのミサイル攻撃を計画する。そんな中、一人の男が立ち上がった。その名はビッグ・ジム。町を牛耳る権力者。彼は混乱に乗じて警察力を掌握、暴力による支配を目論む。逃げ場のないドームの中で、絶対的恐怖政治が開始された!
世間には知られていない、一風変わったふしぎな職業についた人々に光を当て、その仕事の詳細を聞いた「架空」のインタビュー集。ひょっとしたら世界のどこかに、あるかもしれない……、知られざる「わたくし」たちの物語。クラフト・エヴィング商會と、写真家・坂本真典氏が紡ぎだす「ひと」と「仕事」にまつわる19人の肖像。
「こっこ」こと華原琴子、早生まれの8歳、小学校3年生。好きな言葉は「孤独」。 狭い公団住宅に、中華屋から譲り受けた赤い大きな円卓で食事をする華原家は、頑固で文字好きの祖父、明朗快活な祖母、ハンサムで阿呆な父と美人で阿呆で素直な母、それに中2の美人の三つ子の姉の8人家族。みんなこっこがかわいくてしょうがなく、何かと構うが、こっこは反骨精神豊かに「やかましい!いろいろと」「なんで、て聞くなやボケが」と心で思う。 こっこの尊敬する人物は、祖父の石太と、同じ公団に住む同級生のぽっさん。ぽっさんの吃音を、こっこは心から美しいと思う。吃音や眼帯をした同級生のものもらい、韓国人の同級生の不整脈をかっこいいと憧れ、それを真似したときに、「こっこはなんでそんな風なんや」と大人に怒られてしまう。しかしこっこは感じる。なぜかっこいいと羨んでやったことがいけないのか。こっこはぽっさんに相談し、人の痛みや言葉の責任について、懸命に「いまじん」するのだった。そうして迎えた夏休みの祖母の誕生日。ぽっさんにも「言わない」出来事がこっこに起きてーー。 世間の価値観に立ち止まり、悩み考え成長する姿を活きのいい言葉でユーモラスに温かく描く。2014年に芦田愛菜主演で映画化され話題に。
本所の貸本屋・辰巳屋文三が辻斬りに襲われたところを、新内流しの門付け芸人であるおれんに助けられた。おれんは義父の刀匠・呉羽暁斎の遺言で、彼が呪いを込めて打ってしまった邪剣四振の行方を追っているという。おれんは文三の助けで邪剣を探し当て、邪剣に魅せられた者たちと死闘を繰り広げていく。話題の清張賞受賞作家、幻のデビュー作。
警視庁捜査一課OBの岡田利夫と、特急『きのさき5号』で名刺交換した宝石外商員の北野敬が、城崎温泉で殺害された。一年前には、鳥取県の三朝温泉と島根県の玉造温泉で愛人のために北野から宝石を買おうとした地元の名士が不審死している。岡田とともに事件を追う十津川の前に立ちはだかる巨悪とは!?
世界初?たまごかけご飯専門店にようこそ!「限界集落」に暮らす村人たちを、俺が元気にしてやんべ!養鶏農家でお人好しの二郎は「たまごかけご飯専門店」を開くと決意した。しかも、限界集落からさらに山奥に入った森のなかで。このあまりにも素っ頓狂な計画に、村人たちは大反対するが…。小さな山村に暮らす愉快な面々が繰り広げる、笑って泣ける物語。
天下の声望を集める徳川家康に対し、反旗を画策中と噂される石田三成。風雲急を告げる世情のなか、弁之助は豪族・上の東江家の当主にして、手裏剣術の達人である然茂ノ介とともに武者修行に出る。ふたりを待ち受けるのは硬軟自在の武芸者・秋山兄弟、そして彦山一帯で猖獗を極める山賊ー。壮絶な命の遣り取りを経て、やがて弁之助は佐々木小次郎と運命の再会を果たす。比類なき傑作エンターテインメント大河待望の第三巻!
日常のなにげないひとこと。その言葉をふと拾ってみれば、酩酊をさそう25の物語がゆらりとあらわれる。不気味な話、怖い話、しみじみする話、苦笑いする話、不思議な話、にやりとする話、呆然とする話、あざやかな話、びっくりする話、泣ける話、笑うしかない話、感動する話…。百花繚乱!長野まゆみワールド。
サンフアン島の美しい海沿いの街フライデー・ハーバーで、マギーは小さなトイショップを開いている。ある日、マークが姪のホリーを連れて店を訪れた。母を亡くした姪を励まそうと一生懸命で誠実な彼の眼差しに、思いがけず目が離せなくなったマギー。この日の出逢いから、3人は家族のような温かい関係を深めていった。悲しみに覆われて頑なだったホリーの心は、そっと寄り添うマギーの愛情で次第に明るさを取り戻していく。マギーもマークの魅力的な人柄や情熱に触れ、会うたびに惹かれていくが、しかし彼には美しい恋人がいたー2年前に夫を亡くして以来、誰かを愛することに臆病になっているマギーは、自分の気持ちにどうしても素直になれないまま、やがて街にはクリスマスが訪れて…。
アンティーク雑貨の蒐集に夢中になるあまり、かわいい息子が楽しみにしていた学校行事を台無しにしてしまったジェーン。心を入れ替えて母親業に専念しようとした矢先、オー刑事から緊急の連絡が入った。妻クレアが逮捕されてしまったので、捜査に協力してほしいというのだ。クレアといえば、プロのアンティーク・ディーラー。そんな彼女が古い屋敷で見つけた、この世に二つしかないと言われる幻の「ひまわり箪笥」を、同業者の男が「偽物」と糾弾したのち刺殺されたため、真っ先にクレアが疑われたらしい。ジェーンは拾い屋に母親に探偵ー三役も無事にこなせるのか不安に思いながらも、事件の手がかりを追ううちに、奥深くて奇妙なアンティーク業界の裏側に迷いこんでしまい…!?
天真爛漫な居酒屋の娘・晴は就職活動に軒並み失敗。ひょんなことから受けたパイロット試験で資質を見ぬかれ合格する。ドジなところもあるが、天性の明るさと“立ち直りの速さ”で仲間を増やし、厳しい訓練を乗り越え成長していく。そして教官の国木田への恋はーー。航空ドラマ史上初の女性パイロットドラマ。
虚無とアイロニーをまとい、人生の不条理を見つめ続けた異色の戦後派作家、梅崎春生。『桜島』『日の果て』で戦時の極限下における心象を、『蜆』『ボロ屋の春秋』で市井にひそむ人間の本質を描いた著者が、過去の戦争と現在の日常とを 緻密な構成でゆるぎなく繋ぎあげた、晩年の集大成。芸術選奨受賞作。
大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、その生涯は未だ多くの謎に包まれているー。期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは…!?小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。
資産家の独居老人が火事で焼死した。何故か死の直前、株式を売却していた事実が判明。それに事件の匂いを嗅ぎ取った鳴海署刑事佐脇は捜査を開始する。その前に浮上する岡山・兵庫での独身男の不審死に、奇妙な火災事件。すべての陰には謎の美女の姿が。そんな折、鳴海に戻ってきた女がいた。佐脇の元婚約者・結城晶子。彼が悪漢刑事になるきっかけとなった女だった…。
渡り用人・唐木市兵衛は、知己の蘭医・柳井宗秀の紹介で人捜しを頼まれた。依頼主は江戸東郊の名主で、失踪した代官所の手代・清吉の行方を追うことに。一方、北町同心の渋井鬼三次は、本来、勘定奉行が掛の密造酒の調べを極秘に命じられる。江戸で大人気の酒・梅白鷺が怪しいというのだ。やがて二つの探索が絡み合った時、代官地を揺るがす悪の構図が浮上する…。
武家の泣き寝入りをみこして、旗本や御家人の妻女を誘拐陵辱する事件が頻発した。定町廻り同心並木真之介は単身内偵を始める。幼馴染みの小坂志穂が襲われたのだ。だが、世間体の壁は厚く、真相は薮の中だった。そんな折り、花岡紗季が探索に協力すると訪ねてきた。なぜ旗本の姫が?やがて紗季の深い懊悩を知った時、真之介の怒りは天を衝いた!妖艶の時代官能小説。
ガキの頃から金に目敏いろくでなし。そのくせどこか抜けていて、懐はいつもぴいぴいの本所界隈一のバカ侍ー幕末の雄、勝海舟の父小吉は積年の悪行のせいで実家の座縛牢へ幽閉された。ところが無頼の顔役は、反省どころか悪友の早川又四郎に市中を騒がす怪事件の数々を集めさせた!江戸の座敷牢探偵が私欲のために謎を解く、痛快時代小説の傑作!