2013年2月発売
地獄変の屏風絵を画くために娘に火をかける異常の天才絵師が描いた「地獄変」、映画「羅生門」で一躍世界に名を馳せた「藪の中」などの表題作のほかに、「道祖問答」「六の宮の姫君」「二人小町」などを収める。王朝物とよばれるこれらの作で、芥川は古い物語の中の人物を見事に近代に蘇らせた。
「裏に一本の柘榴の木があって、不安な紅い花を点した」(小川未明「薔薇と巫女」)。何を視、どう伝えるのかー日露戦後の新機運のなか、豊饒な相克が結ぶ物語。明治三八ー四四年に発表された、漱石・荷風・谷崎らの一六篇を収録。
「お読みに為って、お笑い為さっては如何?」素朴な金銀細工師の不屈の恋、代官・領主・大元帥の智恵比べ、枢機卿をも夢中にさせた高級娼婦の有為転変。いつの世にも変わらぬ大胆で滑稽な愛の諸相を、雅な言葉でほろりと綴った、文豪会心の艶笑譚。図版多数。
理由もなく、当たり前のように会えていた日々や、無条件に一番近い場所にいて、気軽に誘い合っていた日々は、何をどうしたって戻らない。卒業は学校だけのものじゃない。様々な「その瞬間」を描きとる13ストーリーズ。
北アフリカの港町モガドールで若い娘ファトマが投げかける謎めいた眼差し、町の人々のあいだで交錯する生と性の予感…。メキシコで最も権威ある文学賞「ハビエル・ビジャウルティア賞」受賞作。
社会の中でもがき苦しむ人々の絶望を抉り出す、魂を揺さぶるミステリー小説の傑作に、驚きと感嘆の声。人間の尊厳、真の善と悪を、今をいきるあなたに問う。第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
明日、あなたの身に降りかかるかもしれない“リアルしばり”の本格サイバーセキュリティ小説!ネット上のささいな悪意を集約させるという「殺人販売サイト」ギデス。いったい誰が作り、広めているのか。君島がたどり着いた先はー。
突如襲われる眩暈。それは異界の扉が開く瞬間なのか?作家の日常に散在する“アンバランスゾーン”への入口。廃神社の鈴の音、閏年に咲く狂い桜、深泥丘三地蔵、ラジオ塔、そして深泥丘病院…。この京都、面妖につき取り扱いにはご注意を。-どこから読んでも、いよいよ深まる謎。綾辻版『ウルトラQ』ともいうべき、読みきり連作短篇、待望の第二集。
昭和30年代の新宿、珈琲店の二階に住む美しき青年・水上櫂が開いたその探偵社は、「雨の日だけ営業する」そう噂されていたー。櫂のもとに、大家で幼馴染の和田慎吾が「最近、自分の店子の会社で、郵便物の間違いが多くて、応対する受付の女性が困っている」と訪れる。慎吾が櫂に相談した三日後、その女性は失踪して…(表題作)。友人の死を悼む女性の真意を見抜く「沈澄池のほとり」、破格の条件が用意された学生カメラマン採用試験の謎に迫る「好条件の求人」など四作品を収録した連作短篇集。
生来の男性嫌悪症のため、全寮制の私立女子校・星城学院へ転入してきた主人公・秘芽留。「お嬢様」独特の世界に最初は戸惑いながらも、次第にクラスメートたちとも距離を縮め、学園生活を楽しみ始める。しかし、そんな矢先に、学院にとっての魔の季節・クリスマスがやってくる。なんと、その日は、学園の中から生贄の処女を一人選び、隣の男子校・珀陵高校に捧げなければならないという信じがたい儀式が毎年行われていたー!?クリスマスイブの当日、学院内で繰り広げられる男子生徒と女子生徒の必死の攻防。その闘いの最中に、驚愕の真実が明かされる…。
“騙し・騙され”の壮絶なゲームの果てに嘲笑うのは誰か!?詐欺師の意地とプライドを賭けた闘いが、いま始まるー最後にカネを掴んだ者が勝ち!大阪の裏社会を舞台に、疾風怒涛で駆け巡るアウトロー小説の極北。
高度なコミュニケーション社会の発達の行く末に失望し、失われた人間性を取り戻すため、立ちあがった四兄弟。大舞台の幕が今、上がる…夢想家の長男、実務肌の次男、兄に忠実な三男、ミステリアスな四男ー彼らが語るのは、脱力と失笑を誘う、ただの世迷い言か?それとも、人と人とが本当につながる夢のような世界なのか?戯曲を模した小説、その小説のノベライズという、まさかの手法で生み出した、二つのトゥルーストーリー。隠れた名作「この世の、ほとんどすべてのことを」も友情収録。
二匹の名は、いい孤独・ソリチュードと悪い孤独・ロンリネス。恋人に暴力をふるうDV男、好きでもない男と契約結婚する女、整形して過去を捨てた青年。貰われる先々で二匹は、寂しさで破裂しそうなヒトという生き物を見つめる。ふたつの「孤独」から、生きる真理を問いかける。心揺さぶる、最新長編小説。
農薬散布中のラジコンヘリが小学生の集団に墜落した!撤き散らされる薬剤、痙攣する子供、散乱するミツバチの死骸。若手養蜂家、農薬の開発責任者、農水省の女性キャリア、それぞれの戦いが始まる。この国の農業に、起死回生の道はあるのか?農薬は「悪」なのか?米国企業の密かな戦略、中国の挑発、仕組まれた罠。待ち受けるのは絶望か希望か。「沈黙」の果てに示される未来はー。
疾風のごとく生きるとは、ひとより先を歩むこと。高杉晋作ー時代を変革した男は生き方すべてが新しかった。詩と女を愛し、敵をも魅了した英傑の奇策に富んだ嵐の生涯!満を持して世に送る本格歴史長編。
在日のお見合いをしきる「お見合いおばさん」福のもとを訪れる親子の婚活の実態と家族の裏事情。青春・恋愛・夫婦・子育て・介護…イタくてせつない現実をタフに生き抜く老若男女の姿を活写する。R-18文学賞受賞作+書下ろしを収録する連作長編小説。