2013年発売
眠りに就くと猫の身体に乗り移れるという、不思議な能力を持つ小学六年生のぼく。町で起きた女児襲撃事件の謎に、猫のジェニイの身体を借りて挑むことに。スリル満点、はじめての冒険の結末はー。子どもが大人になるために大切なことを教えてくれる、あったかくて、少し切ないファンタジック・ミステリ。
新学期、横浜にある女子高の特進クラスで上杉小春は碓氷優佳という美少女に出会う。おしゃべりな小春とクールな優佳はやがて親友にー。二学期の中間試験で、東海林奈美絵が成績を急上昇させた。どうやら、夏休み中にできた彼氏に理由があるらしい。だが校則では男女交際は停学処分だ。気をもむ小春をよそに平然とする優佳。奈美絵のひと夏の恋の結末を優佳は見切ったようで…(「夏休み」)。教室のどこかで、生まれ続ける秘密。少女と大人の間を揺れ動きながら成長していくきらめきに満ちた3年間を描く青春ミステリー。
ANAグループ機内誌『翼の王国』の人気連載、待望の文庫化!二度目の失業でつらい思いをしていた時に、目に飛び込んできた憧れの人の姿。結婚も意識していた7年越しの恋人に別れを告げられ、ひとりで訪れた異国の街ー。人生の大切な一場面をあざやかに切り取った短編12本と、作家が仕事でプライベートで訪れた、国内外の印象的な場所を描く11編のエッセイ。あたたかく心にしみる作品集。
佐藤善幸、外食チェーンの正社員。身に覚えのない女性問題が原因で左遷された先は、6年半一度も帰っていなかった故郷の町にある店舗だった。淡々と過ごそうとする善幸だが、癖のある同僚たち、女にだらしない父親、恋人の過去、親友の結婚問題など、面倒な人間関係とトラブルが次々に降りかかり…。ちょっとひねくれた25歳男子の日常と人生を書いた、第23回小説すばる新人賞受賞作。
16歳の夏、なにもかもが嫌になって家出をした徹平。もう戻らないと心に決めた旅立ちだった。丸2日、夜行列車に揺られて降り立ったのは北海道は十勝の無人駅。たまたま知り合ったおばちゃんの家に泊まり、20トントラックに乗せてもらうことに。道中、ヤザワ好きの運転手に心をゆるし、打ち明け話をする。そして彼と別れ、ひとり礼文島に渡るー青春ロードノベル、著者初の文庫書き下ろし。
禁酒法下のアメリカ南部バージニア州では、「不死身」とうたわれたボンデュラント三兄弟が密造酒の製造・販売をおこなっていた。しかし、当局の締め付けが厳しくなっていき、やがて血で血を洗う抗争に発展、州を揺るがす裁判事件となる…。実話をもとに、著者の実の祖父であるジャックと二人の兄弟の絆と逞しい生き様を描き、アメリカの原風景を活写したと世評の高い、物語性豊かな傑作長編。
地方都市・波山市の市議会議長が殺された。当直明けの夜、波山署の刑事・本宮宣親は遺体が安置されている病院に向かう。亡くなった議長の妻と娘は何かを隠しているようだった…。事件当時、被害者宅付近で聞こえた男女の声を手掛かりに、本宮は県警本部の若手女性刑事・平原優子と組み、事件の足取りを追う。捜査を進めていくうちに、奇しくも、本宮自身が封印していた高校時代の苦い思い出と事件が絡み合いー。時代に翻弄された人々の哀しみを丁寧に描いた感動の警察小説。
異世界に存在する大陸ミュールゲニアー魔人レイグル王率いるザーマイン軍の侵攻も、冬の訪れとともに小休止を迎える。一方、サンクワールでは、春の到来を願う「星祭り」が催されていた。レインとシェルファも、街へ出て祭りを楽しんでいたが、そこへ二人を狙う傭兵ロイが立ち塞がる!「レイン」シリーズ本編第7巻。
「約束するよ。いつかきっと、ぼくがきみを助ける」優は、臨に誓うように言った。--医師をめざす少年・臨の家に同居することになった、弱気で引っ込み思案の従兄弟・優。しかし臨の家庭も、かつて交通事故で兄・律が亡くなったことが影を落としていた。それでも明るく振る舞う臨だったが、その限界を迎えた時、思わぬ出来事が起こり、冒険の旅に出ることに……。▼「コンビニたそがれ堂」や「花咲家の人々」「竜宮ホテル」シリーズなどで人気の著者による、少年たちの勇気と友情が、温かい感動とさわやかな興奮を誘う冒険物語、開幕。
始皇帝暗殺を企てる荊軻と高漸離、彼らと永遠に結ばれる春娘が織りなす友情愛。『ティエンイの物語』のフランス作家による、古代劇のごとき三声のドラマ詩小説。
戦国の世でうだつの上がらない日々を過ごしていた若きサムライ・クロウは、旅の途中で見知らぬモンスターたちが徘徊する異世界に迷い込む。そこでクロウは神々の戦争ゲームに勝ち残り、国々を支配して血を残す『執行者』となる使命を与えられるがー。トリップ系国盗り戦記。
尼子家再興を目指す山中鹿之介の前に、お国という謎の少女が現れる。お国は脈がなく心の臓も動かない。鹿之介の少年時代にも瓜二つの少女に会った記憶があるが、すでに十数年も前だ。一方、敵方・毛利家から遣わされた奇怪な忍法を操る鉢屋衆が出現、鹿之介ら尼子残党に襲いかかる。絶体絶命の鹿之介たちを助けたのは風魔の女忍び井筒。井筒は、年を取らぬお国の正体と鉢屋衆の恐るべき目的を語り始めるが…。
メンジーズ博物館の怪事件で顔を合わせて以来、わたしはモリス・クロウの捜査手法をつぶさに見てきた。事件は彼の持論をなぞるように起こり、また現場から犯罪の意図を読み取る術に長けているがゆえに、クロウは捜査官の手に余る難件をもたちどころに解決する。そのおかげでグリムズビー警部補は出世街道まっしぐら、今日もクロウへの橋渡しを頼みにわたしを訪ねてきたが…。
弁護士ボブが事務所でパートナーの死体を発見した。警察は自殺と判断したが、ボブはどうしても納得できず、ルーシーに調査を依頼。一方、元司書のミス・ティリーの九十歳の誕生日に町を挙げてのパーティを開くことが決まり、当然ルーシーもこき使われることに。思春期の娘や大けがをした夫の世話に、新聞記者の仕事、殺人事件の調査にパーティの準備、主婦探偵は今日も大忙し。
家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園で起きる、不可思議な事件の数々。行き止まりの階段から夏の幻のように消えた新入生、少女が六人揃うと“七人目”が囁く暗闇のトンネル…子どもたちが遭遇した奇妙な事件を解明すべく、保育士の北沢春菜は日々奮闘する。過去と現在を繋ぐ六つの謎、そして全てを結ぶ七つ目の謎に隠された驚くべき真実。第18回鮎川哲也賞受賞作。
保育園は予測不能のことばかり。保育士になって五年の小川美南と定時退社しやすい部署に異動し、子育てに奮闘する志賀隆平。園内の事件や行事を通して美南と隆平は気づき、育んでゆく、本当に大切にしたいものを。家族と恋の物語。