2013年発売
若き日のヘミングウェイと、彼を物心両面で支えながら共にパリに渡った最初の妻ハドリー。1920年代のパリ、ふたりは貧しくとも愛に溢れた日々を送っていた。だがフィッツジェラルド夫妻らをはじめ、裕福で奔放な友人との交遊の中で、ふたりの絆はやがて葛藤と裏切りに塗れてゆく…。運命の出会い、出産、そして背信…。史実と大胆な想像力をもって描かれたスリリングな恋愛長編。
判事ジョージ・メイソンは苦悩していた。世論が厳罰を望む悪質な暴行事件には、法手続き上の穴があったのだ。第一審どおりの刑を科すべきか、あるいは出訴期限の超過を理由に被告人を放免すべきか?裁くことへの苦悩の果てに、メイソンは忘れかけていた自身の暗い記憶と直面することになる…。『無罪INNOCENT』で翻訳ミステリー大賞を受賞したリーガル・サスペンスの巨匠が、またも放った傑作。
商人の町・大坂がもっとも華やかな時を迎えていた元禄時代。日本一の豪商と呼ばれる丹生屋の四代目・重兵衛は放蕩の限りを尽くしていた。その姿を息子である理兵衛は、苦々しく見つめていた。しかし、重兵衛の散財には理由があった。数多の大名に大金を融通し、隠然たる力を持つに至った丹生屋を疎ましく思っていた幕府の大老が、丹生屋を取り潰し、その血を根絶やしにするため、様々な策を弄して丹生屋を陥れようとしていたのだ。大坂商人の意地を賭け、幕府へ反旗を翻した丹生屋二代にわたる大立ち回りが始まった…。
独自に開発した「霊感検定」をより実践的にグレードアップするべく日々奔走する自称心霊研究家・馬渡。その馬渡を会長とする心霊現象研究会=通称“霊研”にゆるやかに集う九条高校と新宿東第一高校のメンバーたち。強い霊感をもつ羽鳥空、夏目歩、伐晴臣、鎌々ながらも馬渡の助手バイトに励む藤本修司や、霊をまったくよせつけない筒井遙ら個性豊かな彼らのもとへ、ひとつ、またひとつ、さらにもうひとつ、と新たな霊的相談が持ち込まれていくー。
股間に激痛を感じた赤石宣夫は、病院へ向かった。警察に誤認逮捕され人間不信に陥った彼はその後何年も引きこもり生活だったが、背にタマは変えられない。ところが、病院への道中で殺人現場に遭遇してしまう!「警察なんか行きたくない!」と現場を後にするが、警察の捜査の手は赤石を徐々に追いつめてゆき…。運に恵まれない男が奈落の底へ落ちていく、究極の不幸スパイラル事件小説!
菊村直は元刑事。巣鴨でバーをやっている。雇った中国美女・小梅華と恋人気分でいたのも束の間、彼女は有り金を持ってトンズラした。それでも諦めない菊村は彼女の生まれ故郷へ。現地の警察官と命のやりとりまでしたが、彼女の行方はつかめない。帰国後、この中国人警察官が菊村の前に現れた。女の居場所を教えてやるという。その代わり…。
1768年。革命前の爛熟したパリで、女の惨殺死体が発見された。かつて美貌の青年侯爵サドとの醜聞で、パリ中に名を知られた娼婦をいったい誰が殺したのか。パリ警察で、放蕩貴族を監視する特殊任務につく私服警部マレーは、事件の真相を探るべく、奔走するが…。歴史ロマン×警察小説の革命的融合!ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』の著者の原点にしてライフワーク作、登場!
少し大人びた少年リツ君12歳。つむじ風食堂のテーブルで、町の大人たちがリツ君に「仕事」の話をする。リツ君は何を思い、何を考えるか…。人気シリーズ「月舟町三部作」番外篇。
京に暮らし、二世夜半亭として世間に認められている与謝蕪村。弟子たちに囲まれて平穏に過ごす晩年の彼に小さな変化が…。祇園の妓女に惚れてしまったのだ。蕪村の一途な想いに友人の応挙や秋成、弟子たちは驚き呆れるばかり。天明の京を舞台に繰り広げられる人間模様を淡やかに描いた傑作連作短編集。
“隠居の彦八”と呼ばれる元盗賊が江戸に舞い戻ったという。処刑された頭・木更津の酉蔵の一周忌の法要を行う目的らしい。一方、酉蔵の娘の周囲では、蝮の藤兵衛の一味が様子を探っていた。盗賊同士、どんなかかわりがあるのか。南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、手下とともに盗賊どもを追い詰める。大好評シリーズ第18弾!
名探偵リンカーン・ライムに持ち込まれたプロの殺し屋による殺人。だが現場には犯人の痕跡が何もなかった。「犯人は犯罪の現場に必ず微細な証拠を残す」という原理を裏切る難事件を描く「ロカールの原理」他、多彩なドンデン返しであなたを驚愕させる16の物語。だまされる快感を満載した巨匠の短編集。
長崎・平戸に中国人5人の射殺体が難波船に乗って漂着した。船内には元自衛官の指紋が。麻布署警備課長の青山は、同期たちと情報を共有し、日本の原発技術から永田町までをも巻き込んだ中国国内の大きな権力闘争に気付く。そして浮上する意外な共犯者、流出する機密…。どこまでもリアルな書き下ろし警察小説シリーズ第4弾。
里香の主治医、イケメンにして天才心臓外科医の夏目吾郎。性格の悪さと奇妙な優しさで裕一は翻弄されどおしだが、その夏目の青春時代が明かされる。「病人って面倒くさそう」と嘯く、臨床ではなく研究志望の野心家が、地方病院でワガママな子供相手に格闘するようになった陰には、最愛の恋人にして妻、小夜子の存在があった。
怪奇・恐怖・神秘を主題に、澁澤龍彦によって選ばれ翻訳された珠玉のフランス短篇小説群をオリジナル編集。『澁澤龍彦訳幻想怪奇短篇集』の続編。子供を何人も連れ去って一緒に住む奇妙な紳士を描いた『ひとさらい』のシュペルヴィエルは、澁澤がコクトーの次に熱中したと語った詩人で、文庫版初出。ほかに、マンディアルグやカリントンなど、意表を突く展開と絶妙な文体が愉しめる傑作選。
お気楽弱小吹奏楽部に新しくやってきた変人顧問“ミタセン”。超個性的なメンバー揃いのダメダメ吹部を立て直し、1年で全国大会出場、なんて豪語してるけど…そんなの無理に決まってるってば!全国500万人の吹奏楽ファンに贈る、心が元気になる青春ノベル。
日本画の大家・野々村白仙の養女、美貌で才気溢れる薔子がクリスマス・パーティの席上、シャンパン・グラスを掲げての乾杯直後、中毒死。事件の後、心因性の不調に悩む高校生の義弟の郁哉に、スクール・カウンセラーの薬師寺香澄は、桜井京介という不思議な男性を紹介する。桜井は、郁哉に「君は僕に、なにを望むのですか?」と訊ねるが…。(『黄金の薔薇を手にして』)ほか、魅惑的で美しい謎と小さき者への慈愛を描く傑作短編4編を収録。