2014年11月11日発売
高校生のころに、父が死んだ。祖父の田畑を勝手に売り払い、母とぼくを捨てて出奔した親父を、憎まずにはいられなかった。-あれから十数年。日本には、各家庭に一台、携帯型対空ミサイル(略称:オーデン改)が配備されている。安曇平市役所の電算課電子文書係で働くぼくの仕事は、故人となった市民の、ネット内の人工人格=アバターを消去することだ。しかしある日、ぼくの目の前に、死んだはずの親父の人工人格が現れたー。
川崎長太郎には、小田原の花街・宮小路を舞台とした“小津もの”と称される一連の作品がある。スター的映画監督・小津安二郎と三文文士・長太郎が、ひとりの芸者を巡り対峙する。長太郎に勝ち目はない。ひたすら“純情”を武器に、小津の独身貴族的不誠実を衝く。小津自身に読まれることを見越した如く書かれた挑戦的な戦前・戦中作九篇に、ヒロインのその後を辿る戦後作を加え全十篇を収録。半数は単行本未収録。
二世紀末、後漢王朝が崩壊する。群雄割拠の時代、魏、蜀、呉は「三国時代」に突入。千年の時を経て、膨大な「三国志」物語群、資料を整理・編纂し、さらに、史実と虚構を巧緻に交錯させ成立した、驚異の物語世界『三国志演義』。本巻は、劉備の蜀攻略、劉備と曹操の漢中争奪戦、関羽の戦死、張飛暗殺、蜀の大敗と劉備の死を描く。一大巨編の転換点。
マジメだけど不器用、悩める女医が拾ったのは、患者の心の「○○」が聞こえる聴診器。患者とともに、“もうひとつの人生”を生き直すことになるがー!?女性から圧倒的な支持を受ける著者が描くヒューマン・ドラマ。
広島県在住、高校2年生、高木政弘、彼女なし。唯一の友人は、後ろの席の白井。おたくな俺に近寄る物好きな女子は、もちろんいない。だけどそれだけで狭い世界で生きる男と判断されちゃ困る。学校の奴らは誰も知らないけれど、深夜になれば全国のラジオリスターが俺のネタを待っている(ハズ)。俺のラジオネームは「ガルウイング骨折」。今日も深夜ラジオに下ネタを轟かせるぜ!全世界のラジオ好きの皆へ捧げる青春爆笑小説!第15回小学館文庫小説賞受賞作。
贈賄の罪が明るみに出る前に失踪した男と、その妻、姉、娘、浮気相手。考え抜いたそれぞれの胸の内からこぼれでた“たった、それだけ”のこと。本屋大賞ノミネート作『誰かが足りない』の感動ふたたび。人の弱さを見つめ、強さを信じる、著者の新たなる傑作!
ついに始まった「警視庁武術試合」は、新興勢力の講道館と、古流柔術各派との争いになった。肉体と精神のどんづまりで、漢たちの汗が、血が、涙が散る!講道館の名は世に轟いた。だが、門下生が謎の男「梟」に次々と襲われる。鍵は秘伝の武術「御式内」にあると聞き、保科(西郷)四郎は孤高の武術家、武田惣角のもとへ向かった。
身体のあらゆる部位を必殺の武器となす琉球の武術「唐手」。二度目の「警視庁武術試合」で、保科(西郷)四郎の相手は唐手の使い手に決まった。しかし強さの頂点に迫る中で四郎は「闘うことがこわい」と告白する。骨が砕け、肉が潰れ、魂が軋む死闘をへて、苦悩の末に下した決断とはー。明治の武道界に嘉納治五郎が起こした革命の物語「天の巻」感動の最終巻。
誘拐事件が連続して起きていた。しかし数百万程度の身代金を払えば子供が無事帰ってくるため、泣き寝入りのケースが多く、警察は誘拐があったことに気づかない。ネット上で“ジーニアス”と自ら“天才”を名乗り、闇に身を潜める卑劣な犯人を炙り出す。警視庁の影の捜査チームに招集がかかった。だがその時、メンバーの一人、武藤隆は、托鉢中に知り合った男のために、別の誘拐事件に巻き込まれていたーページを繰る手がとまらない、面白さ抜群のシリーズ第2弾!
死んだ当日、彼女は私に何かを打ち明けようとしていた…。小田切可憐は、食事を約束していた女性が飛び込み自殺をしたと知って絶句する。彼女と出会ったパチンコホールは、本名すら知らない女性達との気楽な関係と大当たりの時の高揚感が、可憐自身を救ってくれる場所だった。その中で最も美しく飾り立てて、充実した生活を送っていたように見えた彼女は、なぜ死んだのか?次々と明らかになっていく、嘘と虚飾に満ちた人間関係の真実と絡み合った欲望。現代社会で彷徨う女性達を息詰まる筆致で描いた傑作長編。
職を失った木崎淳平は、鬱屈した心を抱えてハワイ島にやってきた。長期滞在型のホテル・ピーベリーは小さいけれど居心地が良く、他に四人の日本人旅行者がいた。だが、ある夜、客の一人が淳平に告げる。「楽しみにしてろよ。今におもしろいものが見られる」不吉な予感の通り、客の一人が溺死し、やがてもう一人ー。様々な気候を併せ持つハワイ島の大自然と、人生の夏休みに絡め取られた人々の心の闇。巧緻な筆致で衝撃の真相へと導かれる。一気読み必至の傑作ミステリー。
鎌倉の山中に庵を結ぶ僧に、謎めいた旅の男が語り聞かせる驚くべき来歴ー数奇な運命により、日本人でありながら蒙古軍の間諜として博多に潜入した仁風。本隊の撤退により仲間とともに取り残されるが、やがて追われる身となった一行を、邪神「窮奇」に仕える巫女・鈴華が思いのままに操りはじめる。(第一話「異神千夜」)元寇に際して渡来した一匹の獣。姿形を変え、時に悠然とたたずみ、時に妖しく跳梁する。古より潜むものたちの咆哮を、瞠目の幻視力で紡ぐ、傑作ダークファンタジー四篇。
たとえ互いの距離は遠くとも、心は近くにいられるのが家族。長い年月を過ごせば、色々とあるけれど、けっきょく家族の繋がりは、かくも強くしなやかでたくましい。-本書には八つの家族のかたちが。大学入学で上京する息子の素っ気なさと、見送る側の親の寂しさ。そのギャップがもどかしく、一計を案じる母親の姿を描いた「笑えよな」など、くすり、ほろりの珠玉の短篇が揃いぶみ。読むほどに“家族が見えてくる”大人気シリーズ第7弾!
銀行の合併によるシステム統合は簡単ではないー。サーバーダウンやATMに表示されるエラーメッセージ。次々に起きるトラブルに立ち向かうエンジニアたちの苦悩や葛藤、仕事に対する思いやそれぞれの生き様を描く、リアル・ビジネス・エンターテインメントの快作。仕事上の悩みも、これで解決?かも!-つまずいたら、再起動!
ある日の昼下がり、平和な高校がテロリストに占拠された。テロリストたちは謎の生物兵器を所持しており、重傷を負ったテロリストの女リーダー、鬼灯は、生物兵器のウィルスを自らの体に注射させた。それは、自衛隊すら侵入を躊躇させる危険なものだったーテロリストと高校生による、命がけの戦いが始まった!!
夢のない人は嫌い、と恋人に言われたことから、片桐慎也は大学卒業後、ミュージシャンを目指す決心をする。芸能プロに準社員扱いで入った慎也にとって、雑務や営業活動に加え、得意先の女性と身体を交えるのも重要な仕事の一つとなる。肉弾接待のほか、毎朝濃厚な性的サービスをしてくれるデスクや所属タレントと肉体関係を結ぶ慎也だが、いつも心には音信不通となった恋人の影が浮かんでいた。長編癒し系エロス。
同じ町内で、季節外れの幽霊が出た。鎧武者の幽霊、美女の幽霊、金色の猫の幽霊…。ただ、出現した場所や時間は微妙に異なり、互いの関係もまるでわからない。竜之助に探索命令が下ったその晩、奇妙な殺しが起きた。はたして、幽霊騒ぎとの関係は?大好評「新・若さま同心」シリーズ、いよいよ最終巻!
女医桂千鶴のもとに重い下痢を訴える商人三人から立て続けに往診依頼が入る。流行病かと思いきや、全員、茶漬け屋の女将おつるに売りつけられた“霊水”を飲んでいたことが判明。涙ながらに潔白を主張する妖艶なおつるに不審を抱く千鶴。やがて、おつるの背後に蠢く乱倫な男関係が思わぬ事件を呼ぶ。稀代の悪女に隠された忌まわしくも哀しい過去とは?超人気シリーズ、待望の第十弾!