2014年12月発売
銀行は慈善事業じゃない!そう言い切る支店長に、銀行マンとしての矜持はあったのか。昭和から平成へ、バブル景気が崩壊し地価が暴落していた頃。町工場からマンション経営に転じた小さな会社に下った銀行の非情な判断。寝たきりの母親を抱える社長に僕が出来ることはあるのだろうか。表題作他5編収録。
一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、界隈で知らぬ者の無かった江戸娘三人組も早や三十路前。それぞれに事情と鬱屈を抱えた三人は、突如、仕事も家庭も放り出し、お伊勢詣りに繰り出した。てんやわんやの、まかて版東海道中膝栗毛!
息子輝久の日記を盗み見た野原実は衝撃を受けた。『てるくはのる』日記には赤裸々ないじめの告白があった。服の下の無数のミミズ腫れ。中心にいるらしい「帝王」とは誰か?夜の公園で繰り返される襲撃事件。息子は学校を大混乱させることを考えているらしい。叙述トリックの名手が用意した驚倒の結末とは!?
地方の高校演劇部を指導することになった教師が部員たちに全国大会を意識させる。高い目標を得た部員たちは恋や勉強よりも演劇ひとすじの日々に。演劇強豪校からの転入生に戸惑い、一つの台詞に葛藤する役者と演出家。彼女たちが到達した最終幕はどんな色模様になるのか。涙と爽快感を呼ぶ青春小説の決定版!
1970年代から現代までの、パキスタンのさまざまな土地と人々を鮮やかに描き出す連作短篇集。オー・ヘンリー賞受賞の短篇を含む8篇を収録した、全米図書賞とピュリツァー賞最終候補作品。チェーホフとマンローのような優雅さ、深遠さをあわせ持つ、パキスタン系作家による心を打つデビュー作。
謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。
メレディスはある小包を待ちわびて、不安を募らせていた。13年前に手放さざるを得なかった娘の成長を知るすべは、養母が送ってくれる写真しかないが、それが今年は届かないのだ。最悪の事態を考え始めたころ、突然玄関のチャイムが鳴り響いた。扉の前には、片時も忘れなかったニックー娘の父親の姿がある。もしかして、ようやく私に会いに来てくれたのだろうか…?たちまち封印したはずの愛がよみがえり、期待に胸が高鳴る。だが彼の瞳を見つめたとたん、メレディスは気づいた。二人が愛し合った記憶を、彼が失っていることに。
ネトゲ「エターナル・ホライゾン・オンライン」の世界で、巨大魔帝国の国主をつとめる美少女吸血姫“緋雪”に転生してしまった「ボク」。緋雪を崇拝する最強従魔たちに翻弄されたり、大陸の国々をうっかり傘下に収めたり…と、予想外に波瀾万丈な日々を過ごしている。そんななか、突然現れたゲーム内の有名プレーヤーたちが、次々に攻撃を仕かけてくるように。黒幕の存在が見え隠れするなか、大量の吸血鬼が大陸に発生してー!?「なろうコン大賞」を受賞した異色の大作MMORPGノベル、第3巻登場!
一八一二年初冬。パルチザン隊とナポレオン軍の攻防。解放軍突入の朝、ペーチャは若い命を散らす。その屍がピエールの目を奪い、耳には老兵プラトンへのとどめの銃声が残る。死者の川を渡り、いま生者の帰るべき先は?戦争とはー平和とは?全篇完結!
絵葉書に冗談で書いた文章が、前途有望な青年の人生を狂わせる。十数年後、男は復讐をもくろむが…。愛の悲喜劇を軸にして四人の男女の独白が重層的に綾をなす、クンデラ文学の頂点。作家自らが全面的に手直ししたフランス語決定版からの新訳。一九六七年刊。
さいたま市で治安悪化に対応する夜間緊急警備班が発足。班長の若林警部は、部下の失態で出世街道を外れた男。仕事の虫で部下を無能扱いする彼は、若手刑事から煙たがられる存在だ。ある夜、放火現場へ急行し、初動捜査にあたる。翌日、繁華街で発見された惨殺死体が、放火と関連があると睨んだ警備班は…。凶悪犯を追う熱い刑事魂をスピード感溢れる筆致で描く警察小説。待望の「検証捜査」兄弟編!
穏やかな交際を続ける明里と秀司。ある日「秀司の時計店を女が手伝っている」と教えられた明里は、店で骨董店の娘・郁実と出会う。東京での仕事を辞めて帰ってきたという彼女は、商店街のお祭り準備で秀司が不在がちの今だけ、店番をしているのだという。自分と境遇の似た彼女に共感を覚えつつも、秀司との関係に少しだけ不安を感じて…。切なく温かく、心を癒やす連作短編集、シリーズ第3弾。
十津川警部の妻・直子に、京都K女子大学同窓会の招待状が届く。同期の金井富美が、日本画の賞を受賞したお祝いだという。直子たちは、“椿の君”と呼ばれた富美をはじめ仲良し5人で、美女軍団と称していた。同窓会直前、仲間の三原敏子が殺害される。十津川警部は、同窓生から情報を得るため京都へ向かうが、また軍団メンバーが殺害され…。椿の因縁をめぐる謎を追って、東京、京都、福井を結ぶ推理行。
明治九年、廃刀令が発布され、銀座では牛鍋屋が大流行。『仮名読新聞』の仮名垣魯文の所に、朝鮮から完四郎が帰ってきた。警視庁の抜刀隊の指導者となった完四郎。そこに平将門首塚の祟り、銀座の辻斬り事件、煉瓦街の幽霊騒動が起きる。動機は新政府に対する士族の不平不満らしい。遠く九州では不穏な決起の気配が。完四郎は熊本鎮台襲撃阻止のため、元新撰組・斎藤一と共に乗り込む。怒涛の第5弾。
国王ルイ16世を断頭台に送り込み、共和政の道を歩み始めたフランス。しかし不況はとどまるところを知らず、対外戦争ではフランス包囲網が敷かれ戦況は暗転、国内ではヴァンデ県を発端に内乱が拡大する。国内外の脅威に無為無策ながら、政権を手放さないジロンド派がマラを告発したことで、マラを信奉するサン・キュロットら庶民の怒りが膨れ上がりー。民意が革命を暴走させる、第13巻。毎日出版文化賞特別賞受賞作。
天涯孤独で大金持ちのわがまま娘・ゆりと、横田基地に勤めるアメリカ軍人・ロバートは、何もかもまるっきり違っているけれど、心も体もぴったり馴染んだ恋人同士。怖がりで涙もろい純情青年のロバちゃんは、気分屋で素っ頓狂なゆりちゃんに翻弄されてばかり。周囲に呆れられてもへっちゃらで、いつもうさぎみたいに寄り添ってくっついている二人の日々を描いた、スイートでハッピーな連作集。
もう一度、甲子園を目指しませんかー。40代半ばの元高校球児、坂町は見知らぬ女性に突然、声を掛けられる。彼は高校時代、ある出来事が原因で甲子園への夢を絶たれていた。記憶の蓋をこじ開けるような強引な誘いに苛立ちを覚える坂町だったが、かつてのチームメイトと再会し、ぶつかり合うことで、再び自分自身と向き合うことを決意する。夢を諦めない全ての大人におくる感動の物語。