2014年5月発売
手軽でお洒落。若者たちの間で流行っている薬「アイスキャンディ」の正体は覚せい剤だった。密売ルートを追う鮫島は、藤野組の角を炙り出す。さらに麻薬取締官の塔下から、地方財閥・香川家の関わりを知らされる。薬の独占を狙う角、香川昇・進兄弟の野望…。薬の利権を巡る争いは、鮫島の恋人・晶まで巻き込んだ。鮫島は晶を救えるか!?直木賞受賞の感動巨編!長編刑事小説。
蛟堂ー江戸時代より続く漢方薬局兼雑貨屋。その陰には、大金と引き換えに依頼人の恨みを晴らす、「報復屋」としての姿があった。蛟堂のあり方を巡って対立する辰史と丑雄は、決着をつけるために思念世界へと入る。もはや互いの心に親族としての情はなく、あるのは、憎しみのみ。天才陰陽師と異能者に待ち受ける運命はー最終話「黒塚」累計38万部突破!報復にかかわる妖しく愛しい人間模様を描いた大人気陰陽師シリーズ文庫版、堂々の完結!
父の蒸発。女手ひとつで息子2人を育てた母。そんな両親のもとで育ったジローは若くして結婚し3人の娘に恵まれた。必死で働いた。蒸発した父が戻ってきた折には世話もした。娘3人が成人した今、ジローは酒場でふと思う。「俺の人生はどんなだったのだろうか」。父と息子の関係を軸に家族とはを綴る酒場エッセイの名手による処女小説。
ある晩、中学3年生の愛川広樹は、目の前で恋人の中野美幸をレイプされた。数日後、美幸は自殺する。周囲から“恋人を売った”と責められ、失意のまま高校に入学した広樹は、美幸をレイプした犯人が元クラスメイトだと知る。高校で出会った少女・赤嶺由奈とともに、広樹は元クラスメイトへの復讐を開始したー。
「おまえは今日から七代目の夜這い屋だ」。郷里に帰省した大河内和夫は、父親から唐突に告げられる。村の平和は女たちの身体を鎮めることからという考えのもと、庄屋の末裔である大河内家の当主は代々「夜這い屋」という裏稼業を担っているというのだ。否応なしに跡を継いだ和夫だったが、実は未だに女を知らぬ身で…!?日刊ゲンダイで圧倒的支持を得た人気連載、待望の書籍化。
山で野生児として育った虎が、ある日村人に捕まってしまう。その窮地を四郎という少年に助けられる。天草四郎と虎の出会いだった。当時、島原と天草では切支丹迫害が苛烈を極め、蜂起が企てられつつあった。他方、老中・松平信綱は、幕府という権力の箍を締め直そうとしていた。父の邪心で切支丹の旗頭にされた四郎。純真な心で四郎の護衛役となった虎。乱を欲する、心の闇にとらわれた信綱。交錯する三人の思惑。時代が大きく動きはじめたー。「島原の乱」新解釈、衝撃の歴史長編!
この愛は、何という呪いだろうか。友人同士を、そして愛する者と愛される者を仲たがいさせるとは。医師コンスタンスへの愛と、深く帰依するグノーシス主義の掟との間で引き裂かれるセバスチャンことアッファド。彼の苦悩を軸に、死の儀式を告げる手紙、迫り来る殺人者などサスペンスの要素も加わって、物語はスリリングに展開する。
手と手を取り合って房州館山から江戸に駆け落ちしてきた三次とおとせ。掏摸にあい、公事師に騙され、おとせに代わり妓楼の女主人に買われた三次。料理屋の女将となったおとせは、「おらもあとから逃げる」という三次の言葉を信じて、ひたすら待ち続けた十年の月日。強引に林之助に口説かれたその日、偶然三次に会えたおとせの心はなぜか二人の間で揺れて…。(「恋情の果て」より)。見栄、嫉妬、未練、欲望…静かに熱く葛藤する女たちを描く、珠玉の時代小説短編集。
ストーリーを追うだけではなかなか見えてこない原作の面白さを、児童文学専門の著者が、章ごとにポイントを徹底快読して伝えます。村岡花子の最初の翻訳がどういう点で「すごい」のかも明らかにし、『赤毛のアン』の世界が10倍楽しめます!
唐宋伝奇の源流は六朝時代の怪異譚に求められるが、唐代になると、意識的に奇異なものを追求して曲折に富む複雑な筋立てにし、修辞も凝るようになる。こうして文学と呼ぶにふさわしい創作ジャンルが確立する。武田泰淳は、これを、ヨーロッパの近代的短篇にも劣らぬ、常に新しさを失わぬ芸術品の結晶であるといった。
監督のユニークな指導で、のびのび野球に徹する大代台高校。一見、いい加減なようだけど、いつのまにか選手たちの自主性が育ち、力がグンとついてきた。さあ、目標はただひとつ、甲子園初出場だ!万年一回戦敗退の公立校が大躍進を遂げる道のりを描く、青春小説三部作の第二弾。
「この子は近い将来、自殺する」。初対面の少女の運命をなぜか私は知っていた。少女に出会った瞬間意識を失った私は、心肺停止から奇跡的に蘇生するが、見るのも聞くのも全て昔のものだ。もしかしたら私は未来から来た人間なのか。私は少女を自殺から救うべきなのか。時空の螺旋が絡み合う安藤シリーズ第二弾。
その少女は、私ー浅倉幸恵が高校時代に一度だけセックスをした直樹にうり二つだった。少女はすでに妊娠中で、子供の名前を直樹とつけると決めたという。過去の出来事と未来の出来事の奇妙で不可解な一致。二人の直樹は同一人物なのか?『記憶の果て』と対をなす、「私」という謎の迷宮を彷徨うミステリ。
怪異と闘う己の特殊な力を、奇妙な老人・聊異斎に促され、度々繰り出すものの、死に別れた郷里の女・志津を思い出しては哀しみに胸を引き裂かれる浪人・半四郎。刺客・桟崎を神がかり的な技で倒し、結界に守られた魔物を妖刀・鬼鍛刀で斬る!しかし江戸は強烈な妖気に取り囲まれ始めていた。
多様化する現代犯罪に対応するため、新設された警視庁科学特捜班、略称ST。繰り返される猟奇事件、捜査陣は典型的な淫楽殺人と断定したが、ST青山は一人、異を唱える。プロファイリングで浮かび上がった犯人像の矛盾、追い詰められた犯罪者の取った行動とは。最強チーム警察小説シリーズ第1作、新カバー版。
2011年3月11日。日本から遠く離れた南太平洋のバヌアツにも、地震による津波警報が出されていた。旅行ガイドや通訳をしながらこの島に暮らす伊都部彩実は、そのしばらく後、実父の訃報を受けて一時帰国する。放射線被害について海外メディアが報じる危機感に反比例するかのような日本の実像、また、相変わらず保守的な家族たちの思考と言動に噛み合わない思いを抱きながら日々を送るうち、「アオイロコ」という奇妙な風土病の噂を耳にする。父の遺言で、母が亡くなった後に父が交際していた女性に、代々の土地家屋を明け渡すことになり、思いのほか動揺する彩実。国に縛られない自由な生き方を望んで海外に飛び出したはずなのに、戻る場所を求めている自分に気づく。そんな折、口中の腫瘍が悪性と診断され、即刻入院となり、期せずして日本に留まることになるのだったー。