2014年発売
唐宋伝奇の源流は六朝時代の怪異譚に求められるが、唐代になると、意識的に奇異なものを追求して曲折に富む複雑な筋立てにし、修辞も凝るようになる。こうして文学と呼ぶにふさわしい創作ジャンルが確立する。武田泰淳は、これを、ヨーロッパの近代的短篇にも劣らぬ、常に新しさを失わぬ芸術品の結晶であるといった。
監督のユニークな指導で、のびのび野球に徹する大代台高校。一見、いい加減なようだけど、いつのまにか選手たちの自主性が育ち、力がグンとついてきた。さあ、目標はただひとつ、甲子園初出場だ!万年一回戦敗退の公立校が大躍進を遂げる道のりを描く、青春小説三部作の第二弾。
「この子は近い将来、自殺する」。初対面の少女の運命をなぜか私は知っていた。少女に出会った瞬間意識を失った私は、心肺停止から奇跡的に蘇生するが、見るのも聞くのも全て昔のものだ。もしかしたら私は未来から来た人間なのか。私は少女を自殺から救うべきなのか。時空の螺旋が絡み合う安藤シリーズ第二弾。
その少女は、私ー浅倉幸恵が高校時代に一度だけセックスをした直樹にうり二つだった。少女はすでに妊娠中で、子供の名前を直樹とつけると決めたという。過去の出来事と未来の出来事の奇妙で不可解な一致。二人の直樹は同一人物なのか?『記憶の果て』と対をなす、「私」という謎の迷宮を彷徨うミステリ。
怪異と闘う己の特殊な力を、奇妙な老人・聊異斎に促され、度々繰り出すものの、死に別れた郷里の女・志津を思い出しては哀しみに胸を引き裂かれる浪人・半四郎。刺客・桟崎を神がかり的な技で倒し、結界に守られた魔物を妖刀・鬼鍛刀で斬る!しかし江戸は強烈な妖気に取り囲まれ始めていた。
「五百年生きた虎が人の姿をして町中にいる」伝説の虎に喰われ、その手先となって少女を攫った?鬼の告白に、秦の港町・琅邪はたちまち大騒ぎに。さらには神木の下で見つかった死体が消え失せ、果ては始皇帝の観光台までが崩壊する……。相次ぐ怪事件に徐福の弟子たちが異能を駆使して挑むミステリー長編。 「五百年生きた虎が人の姿をして町中にいる」。伝説の虎に喰われ、その手先となって少女を攫ったちょう鬼(き)の告白に、秦の港町・琅邪(ろうや)はたちまち大騒ぎ。さらには神木の下で見つかった死体が消え失せ、果ては始皇帝の観光台までが崩壊する……。相次ぐ怪事件に徐福の弟子たちが異能を駆使して挑むミステリー長編。 一、さらう 二、おどす 三、ひそむ 四、はしる 五、ころす 六、ほえる 七、ゆらす 八、さそう 九、くらう 十、まよう 十一、つぶす 十二、うめる 十三、たたる 十四、かなう 十五、かかる 十六、くるう 十七、あかす
史上最強の科学捜査部隊、第1の事件! ST初登場編新装版。多様化する現代犯罪に対応するため、新設された警視庁科学特捜班、略称ST。繰り返される猟奇事件、捜査陣は典型的な淫楽殺人と断定したが、ST青山は一人、異を唱える。プロファイリングで浮かび上がった犯人像の矛盾、追い詰められた犯罪者の取った行動とは。最強チーム警察小説シリーズ第1作、新カバー版。 能力抜群の5人のスペシャリストの見事な捜査、ここに始まる! ST初登場編新装版。 史上最強の科学捜査部隊、第1の事件! 多様化する現代犯罪に対応するため、新設された警視庁科学特捜班、略称ST。繰り返される猟奇事件、捜査陣は典型的な淫楽殺人と断定したが、ST青山は一人、異を唱える。プロファイリングで浮かび上がった犯人像の矛盾、追い詰められた犯罪者の取った行動とは。最強チーム警察小説シリーズ第1作、新カバー版。 ST 警視庁科学特捜班 Episode1
2011年3月11日。日本から遠く離れた南太平洋のバヌアツにも、地震による津波警報が出されていた。旅行ガイドや通訳をしながらこの島に暮らす伊都部彩実は、そのしばらく後、実父の訃報を受けて一時帰国する。放射線被害について海外メディアが報じる危機感に反比例するかのような日本の実像、また、相変わらず保守的な家族たちの思考と言動に噛み合わない思いを抱きながら日々を送るうち、「アオイロコ」という奇妙な風土病の噂を耳にする。父の遺言で、母が亡くなった後に父が交際していた女性に、代々の土地家屋を明け渡すことになり、思いのほか動揺する彩実。国に縛られない自由な生き方を望んで海外に飛び出したはずなのに、戻る場所を求めている自分に気づく。そんな折、口中の腫瘍が悪性と診断され、即刻入院となり、期せずして日本に留まることになるのだったー。
暗闇から抜け出ようとするその列車のように、私もまた暗い二十歳から抜け出ようとしていた。北海道の炭鉱町から東京に集団就職した私。だが工場の同僚との諍いで、職を失ってしまう。やがて私は石川啄木の足跡をたどり、ふるさとへ向かうー1976年度文藝賞受賞の文学史に輝く伝説的名作。
大農場の陽気な赤毛の娘アルヴィーネ、その思慮深き兄ヤーコプ、がっしりした実業家タイプのヴィルヘルム、大きな水色の目をしたきまじめなハンナ、文学を愛するレオナルト、活動的で美しく聡明なテレーゼ…。1939年夏、共に過ごした幸福な時間は終わり、戦争が始まろうとしていた。不可解な殺人事件を追うひとりの巡査、50年の時をこえてよみがえる戦時下の出来事。ドイツ・ミステリ大賞第一位。気鋭の女性作家による静かな傑作。
とある冬の日、タチアオイ図書館でいつものように和む皆のところに、黒服姿の小手川オーナーが姿をあらわした。宮本は彼女から、図書館がいまの場所に建てられたいきさつを聞くことになるーオリジナルストーリーで明かされる、「タチアオイ児童図書館」設立秘話ー無愛想だけど、一流の青年司書ととっておきの一冊。
「あなたには、もう小鳥は売りません」行方知れずの夫の帰りを待ちながら、鳥を商う店「ことり屋」を営むおけいは、突然店に現れた美しい娘が、鳥にまったく興味がないにもかかわらず、紅雀、相思鳥、十姉妹と次々ともとめていく様子を不審に思う。娘が鳥を買い続ける理由とは…?おけいの元へ持ち込まれる鳥にまつわる不思議な出来事と、その裏に隠された恋模様を描く連作時代小説。
このノートに名前を書かれた人間は死ぬー死神が落としたノートによって引き起こされた“キラ事件”を、大きな代償を支払い解決に導いた名担偵L。だがその後、Lの前に更なる難事件が立ちはだかった。残された時間は23日間。事件の鍵を握る少女を守るため、Lは再び動き出す。孤高にして至高の名探偵は、世界を変えることができるのか。人気コミック『DEATH NOTE』のもうひとつの結末がここに!
両親の離婚以降、月に一度祖父と会うようになった彗子。母の再婚を機に会うことをやめる二人だったが……。表題作ほか、5つの物語からなる短編集。世の中は色々なデートで溢れている。(解説/吉田伸子)
師の坪内逍遙たちと、日本に新劇の運動を起こした早稲田大学教授・島村抱月。彼らがはじめた演劇学校の一期生に合格した松井須磨子。彼によって内に秘めた非凡な才能を見出された彼女は、カチューシャを演じ、ノラを演じるごとに見紛うほど美しい女優へと化身していく。二人の間には愛が芽生え…。近代演劇の夜明け、スキャンダルな愛に一途に燃えた抱月と須磨子を描いた著者入魂の長編小説。
大坂庶民の夏の楽しみといえば、天神祭と鱧料理。だがこのところ、刀ばかりを狙う賊徒が横行し、東西町奉行所の与力や同心たちは祭どころではない。能天気なのは食い道楽の奉行・大邉久右衛門のみで、騒ぎをよそに料理方の源治郎に鱧の骨切り修業を言い渡す始末。その目的が噴飯ものでー(「地車囃子鱧の皮」)。他、極上の献立が彩る2編を収録。鍋奉行の名裁きが魅せる食いだおれ時代小説第3弾。
29歳で急死したキャリアウーマンの多絵子。自由奔放に男性と関わり、相手によって態度を変えたが、誰も彼女の本当の顔を知るものはいなかった。何が彼女をそうさせたのか? 傑作長編。(解説/谷村志穂)