2015年2月発売
凍てつく冬の早暁、駒城下屋敷に銃声が轟き、凱旋式典の残滓を纏う皇都に軍靴の響きが。五将家の雄・守原が起ったのだ。皇宮を抑えた蹶起軍は玉体を手中にし市街を制圧。その“義挙”は完遂目前となった。唯一、暗殺者どもを撃退した近衛中佐・新城直衛を除いて…鮮血で刻まれる歴史がいま幕を開ける!書き下ろし短篇「我らに天佑なし」収録。
離婚して学生時代を過ごした町に戻った新聞記者ディクテ。彼女の誕生日を祝いオープンカフェで盛り上がっていた時、目の前の川に桶に入った赤ん坊が流れてきた。一方親友の一人が勤める病院では新生児が額にいたずら書きをされ、さらにそこで出産した別の親友の赤ん坊が誘拐された。ディクテは赤ん坊を巡る三つの事件の取材に奔走する。デンマークを舞台にしたライトミステリ。
没落貴族の娘・紅子が初めて恋した人は若鷹ー寺で修行中の優しく凛々しい貴公子。逢瀬を重ね、ついに口づけを交わすも、彼は政変のため宮中へと戻ることに。「約束する。必ず迎えにくる」三年後、なんと彼は帝となって、熱烈な求婚を!会えなかった時間を取り戻すように、初夜の儀から、甘く激しく愛されて…ただ一人の妻として溺愛される日々のなか、大貴族の姫が帝を誘惑!?まさか二人目の妃を迎えるの?それともー!?平安風味のスイーツファンタジー。
病院とは24時間365日、困った人がいれば手を差し伸べてくれる場所。この病院では、奇蹟が起きる。二度の映画化、二度の本屋大賞ノミネートを経て、一止とハルさんの物語は原点へ。
ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた一人の少女・イオ。彼女は「人の罪を映す」という不思議な目を持っていた。荒れた生活を送っていた酒問屋の跡取り息子・央介は、彼女の目をみたことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を購おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことに。しかし、イオの出生の秘密を知る侍が現れたことで、二人の運命は大きく動き始める…。感動のファンタジー時代小説。
たかむら画廊の青年専務・篁一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長期逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗の画廊で、一毎の絵に心を奪われる。画廊の奥で、強い磁力を放つその絵を描いたのは、まだ無名の若き女性画家。深く、冷たい瞳を持つ彼女は、声を失くしていたー。京都の移ろう四季を背景に描かれる、若き画家の才能をめぐる人々の「業」。『楽園のカンヴァス』の著者、新境地の衝撃作。
時田風音は新人小説家。猫と実家居候の中年男性だが、女性向け官能小説の賞を受賞、第二作を書くことに。だが担当編集の百山は大変厳しくダメ出しの嵐、ついにある日、業を煮やして訪ねてきた…。就きたかった仕事じゃない。悩んで迷って、でも前を向く!ダ・ヴィンチ文学賞&日本ラブストーリー大賞受賞作家が贈る、新人作家と編集者のドタバタ大バトル(&ラブ!?)エンタメ!
ペネロペ・クルス似と言われる美貌の女優、それが私だ。「あんた、顔が綺麗なだけなんだよ」。監督からの厳しいダメ出し。婚約者にそれを愚痴ると、同じ言葉で捨てられた。傷心のあまり泣くつもりで入った楽日座シネマ。人手不足に悩むその名画座でアルバイトすることになった溝口夏十は、持ち前の映画愛を炸裂させて集客大作戦を試みる。さまざまな映画蘊蓄&映画業界裏話満載。読めば、映画の観方がちょっと変わります!
若い頃に家を飛び出して裏社会に身を投じた飄六は、父の死をきっかけに実家に戻った。飄六の実家は札差・蓑島屋で、家業は飄六の実弟・伊兵衛が継いでいる。飄六は伊兵衛に請われて札差の店付き護衛・蔵闇師として働き始めた。ある日、伊兵衛の息子が誘拐され、伊兵衛は身代金を支払って息子を取り戻す。飄六は甥を誘拐した犯人を捕まえようと動きだすが…。変幻自在の得物“竜”を手に、飄六が江戸の闇を駆ける!
自然科学の世界に魅了され、将来を嘱望される、若き科学者ヴィクトル・フランケンシュタイン。創出と生命の原因を突き止めた彼は、生命を持たぬものに魂を吹き込むことに成功する。しかし、想像を絶する怪物の姿を目にした途端、恐怖におののきその場から逃げ出してしまう。絶望の淵に突き落とされ、故郷へ戻ったヴィクトルを待ち受けていたものは、自分が創造した怪物の復讐だった。産業革命最盛期に執筆された傑作が甦る。
大名の側室となり、国許から江戸へ出た、庄屋の娘・もみじ。藩主の寵愛を受け幸せに暮らしていたが、男児を産んで以来、正室の態度が一変する。その後、国許の村は怪しい気配に包まれた。化け物退治を得意とする京嵐寺平太郎は、藩主からの懇願を受け、妖刀茶丸を携えて、三つ目入道、白狐のおきんら妖怪仲間と村に向かう。そこで平太郎は哀しい事実を知ることとなるー。切なさが胸に迫る、書き下ろしシリーズ待望の第5弾。
自治体アシスタントとしての勤務もあとわずか。宵原秀也は朧月市に留まるか、それとも希望していた新たな土地に赴くか迷っていた。そんな中、“揺炎魔女計画”と、市政の掌握を狙う朽方が企む、恐ろしい計画が実行されようとしていた。次々と封印を解かれる凶悪妖怪たち。秀也は職員の誇りを胸に、最後の現場に向かうが…!?妖怪課の存亡、ゆいとの恋の行方、そして朧月市の運命は?お仕事妖怪エンタ、感動の最終業務!
北海道・旭川の冬。僕・正太郎は、櫻子さんと親しい薔子さんに頼まれて、旭岳にある別荘に行くことに。別荘の持ち主の遺品整理のためだ。驚いたことに、骨と謎にしか興味のないはずの櫻子さんも一緒に。さんざん雪山で遊んで別荘に戻ると、暴風雪のせいで停電がおきてしまう。しかも暖炉の中から、熊の手の骨に紛れて、人間の指の骨が見つかって…(「凍える嘘」)。美しく甘い冬の謎たちを閉じ込めた、大人気キャラミステリ!
県警捜査一課から所轄への異動が決まった澤村。その赴任署にストーカー被害を訴えていた竹山理彩が、出身地の新潟で無惨な焼死体で発見される。同時に理彩につきまとっていた男も姿をくらましていた。事件を未然に防げなかった警察の失態と、それを嘲笑うかのような大担な凶行。突き動かされるように新潟へ向かう澤村だったが、今度は理彩の同級生が犠牲になってしまう。冷酷な犯人を追い、澤村の執念の追跡が始まるー。
北アルプス、漆沢渓谷。獣や鳥の“瞑りの楽園”に突如起こった地滑り。過去に子供を失った梶間夫妻、毎年この山を訪れる磯崎老人、山小屋の経営者久作らは、山のいつもとは違う不吉な気配に戦いた。蝙蝠や蜻蛉の大量発生、幽霊の目撃談、写真に写り込んだ見知らぬ男。次々と起こる不可解な出来事、ついに死者が。パニックに襲われた登山客を襲うさらなる怪異。そして、山に秘められた陰惨な過去が次第に露わになる…。
街の片隅に佇むペットショップ“夢幻楼”。謎めいた店主・雅が営むこの店では、どこか不思議でなぜか懐かしい、自分だけのペットと出会えるという。人生のどこかに置いてきてしまった大切な想いや、封じ込めたはずの悲しい記憶ー“夢幻楼”で出会ったペットと過ごすうちに、人々は忘れていた過去を少しずつ思い出していき、やがて…。あたたかなペットのぬくもりが過去と向き合う勇気をくれる、やさしい癒やしの物語。
将軍綱吉の跡継ぎを巡り、女たちの思惑が渦巻く大奥。警護の御広敷伊賀者が負傷した事件に、礼儀指南役の山科の配下が関わっているとの噂が流れた。将軍の命により、表御番医師から御広敷に職を移した矢切良衛は、真相究明を託され、将軍の側室である伝の方と接触することに。だが、その矢先、良衛に対するいくつもの魔手が忍び寄ろうとしていたー。良衛は度重なる窮地を乗り切れるのか。書き下ろし時代小説シリーズ第5弾!