2015年6月発売
冬休み、母とケンカをして家出した女子高生こずえは、ひょんなことから鍵師の淀川と知り合い、彼の家で数日間の居候生活を送った。今は母とも仲直りし、週末だけ淀川の仕事を手伝いに行っている。かつての依頼人から謎の荷物が届いたり、こずえを心配する母・夏帆がこっそり様子を見に来たり、必死の形相で女の子が飛び込んできたりー鍵屋は今日も忙しくて…?
成人式前夜。大学生の桃木沙良は、電車に乗っていたはずが、ふと気付くと母校・蔵院高校の校庭にいた。そして沙良と同じように集められた、かつての一年A組の元クラスメイトたちは、ウサギのキグルミを着た何者かに次々と惨殺されていき…。鎖された学園で繰り返される、悪夢のような惨劇。容赦のない裏切り。その裏に潜む真相とは!?学園サバイバル・ホラー!
北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開くー。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。
モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。19世紀から20世紀にかけて活躍した美の巨匠たちは何と闘い、何を夢見たのか。彼らとともに生きた女性たちの視点から色鮮やかに描き出す短編集。(解説/馬渕明子)
山梨の裕福な菓子商の末っ子として生まれた万亀は児童文芸誌「赤い鳥」を愛読する少女だった。勉強がよく出来た万亀は、女専に進み東京の華やかな生活を知るも、相馬に行き教師となるのだがー。進学、就職、結婚のたびに幾度も厳しい現実の波に翻弄されながらも、いつも彼女のそばには大好きな本があった。大正から昭和にかけての激動の時代、常に前向きに夢を持ち続けたひとりの女性の物語。
花火には、二つしかない。一瞬で消えるか、永遠に残るか。幼い頃、花火工場の爆発事故で両親を亡くした昇一は、高校を卒業後、一人東京で暮らしていた。ある日、祖父から電話があり、四年ぶりに帰郷する。そこには花火職人として修業中の風間絢がいた。十二年前に不幸な出来事が重なった。それぞれが様々な思いを抱え、苦しみ、悩み、葛藤していく。花火に託された思いとはー。希望と再生の物語。
本所に住む貧乏御家人・松平残九郎。表ざたにできない罪人の介錯を副業としていることから、ついたあだ名が「斬九郎」。腕はめっぽう立つのだけれど、酒と女、そして何より79歳になる美食家で大食漢な母親にはからきし弱い!ふつか酔いの今日も尻をたたかれ、依頼の仕事に駆けつける。江戸の町から東海道、京都まで、事件の裏の謎を解く短編10作と中編5作を収録した、型破りな傑作時代小説。
1944年ベルリン。ユダヤ人の元敏腕刑事オッペンハイマーは突然ナチス親衛隊に連行され、女性の猟奇殺人事件の捜査を命じられる。断れば即ち死、だがもし事件を解決したとしても命の保証はない。これは賭けだ。彼は決意を胸に、捜査へ乗り出した…。連日の空襲、ナチの恐怖政治。すべてが異常なこの街で、オッペンハイマーは生き延びる道を見つけられるのか?ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞作。
大恐慌後のアメリカ。ノースカロライナ州の山奥で、製材会社を友人と経営するペンバートンが結婚した。新妻セリーナは美しく、天涯孤独で、謎めいたところがあった。彼女の影響で彼の周辺は少しずつ変化しはじめ、次第に強い我欲と支配欲に取り憑かれていく。渦巻く陰謀、そして殺人…。マクベス夫人をも連想させる悪女セリーナの姿を通じて、人間の業の怖ろしさを描き切った渾身の大作!
謎を解く鍵はー“キス”高校1年生の美鈴は神社の跡取り娘。そんな美鈴の家には、厳しい掟がある。それは“初めてのキスの相手と生涯を共にすべし”というもの。ところがあるとき、美鈴は謎のイケメン男子に唇を奪われてしまう!おまけに「カケル」と名乗るその男子は、なんとユーレイで!?
航空機メーカー、四星工業で働く沢本由佳。担当する超音速機「TF-1」の生産は堅調だったが、技術者として新たな開発を手掛けたいと思った彼女は、「TF-1」をより効率的に運用するための改修開発「リヴィジョンA」を提案する。戦闘機開発の裏側に渦巻く、官民の思惑。元技術者の著者が、その舞台裏をぎりぎりまで描く!
下総稲月藩三万五千石の若殿・千太郎君は御三卿田安家ゆかりの由布姫との祝言を前に藩邸を夜逃げ。骨董目利きの才と剣の腕で、江戸の難事件に挑む山之宿の弥市親分を助けている。この日、弥市親分に若い女が追いすがり、盗人稼業から逃げたいので助けてほしいという。かわりに大泥棒の日記を土産にするとも…。
刀を包丁に持ち替え江戸に出て料理人となった時吉とおちよの旅篭付き小料理のどか屋に、十四歳の娘を連れた両親が宿をとった。娘はけなげにも、兄の形見の絵筆を胸に、根岸に住む八十過ぎの老絵師の弟子になりたいと願う。同じ日、上州から来たという五人組の船大工が投宿した。ところがこの五人、なにやら素振りがいぶかしい。二組の“訳あり”の投宿者に何が起こるのか。
父の仇を討つべく八歳より母の導きで血の滲む修行。長剣抜刀「卍抜け」に開眼し、十八歳で仇討ち旅に出た林崎重信。十一年ぶりに出羽の地を踏んだ重信を狙う刺客。かつて重信が討ち果たした仇の息子であった。この刺客に、諜者らしき男が語りかけた。「おぬしの仕事は、最上義光の一命を断つこと。私怨を晴らすのにかまけて、信長公よりご依頼の儀を疎かにされては困る」
赴任二年目の新任教師・崇士は、小学校のPTAを二分する派閥争いに巻き込まれることに。清楚な美人妻・慶子派とワイルドな社長夫人・珠実派ー各陣営のお色気たっぷりな母親たちからさまざまな形で誘惑され、PTA行事の議決に圧力をかけられるが…。豊満な肉体が行間で躍りまくる書き下ろし官能エンターテインメント!
岐阜郡上市に残る歴史ロマン第二弾!戦国の世に郡上の平和を祈り、この地に文化の華を咲かせた武将の物語(第三話)。江戸時代の郡上一揆(宝暦騒動)は、非暴力主義を貫きながら領主を倒したという、史上特筆すべき農民一揆だった(第四話)。
助言あります。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。バスジャック事件の“もし、あの時…”を描く「if」。謎の生物が暴れる野心作「ギア」。洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。