2015年6月発売
1940年、不穏な世界情勢の下、外務書記生の富士森繭は敵性領シンガポールへと赴任する。世界に誇る文化財を保持する植物園に感動した繭は、そこで出逢った華僑のテオと惹かれ合うが、やがて太平洋戦争が勃発。戦火に晒された植物園の文化財を守るため、繭はテオとともに立ち上がり、交戦中の人々が国境や民族を超えて結束する。激しい戦乱の最中、人類が積み重ねた文化を守り抜いた人々の、永遠に語り継ぐべき愛と戦いの物語。
大学院生の隆一郎と、見た目は少女だが猫又のお双。奇妙で平穏な生活を送るふたりの元に、誘拐予告事件の相談が舞い込む。予告現場に出向くふたりだったが、標的となった令嬢は忽然と姿を消してしまい!?
美貌の高級娼婦マルグリットはパリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な生活を送っていた。だが、青年アルマンに出逢い、彼女は初めて「愛」というものを知る。パリ近郊の別荘に駆け落ちした二人だが……。
イシュメールは捕鯨船ピークォード号に乗り組んだ。船長エイハブの片脚を奪った巨大な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”への復讐を胸に、様々な人種で構成された乗組員たちの、壮絶な航海が始まる!
巨大で獰猛な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”に復讐を果たすべく、過酷な航海を続ける捕鯨船ピークォード号は、ついに目標の白鯨を発見。船長エイハブと乗組員たちによる、熾烈な戦いの結末とは。
京都の街で次々起こる“シャーロック・ホームズ譚”見立て殺人事件。 犯人の挑発に、「日本探偵公社」所属の名探偵キングレオが乗り出した! 顔なき犯人との知恵比べ、見え隠れする黒幕の存在…… 勝負は、引退を賭けた探偵バトルへともつれこむ。 若き超人探偵×伝説の老探偵、勝つのはどっちだーー!?
北米先住民を虐殺した騎兵隊長が「神の木」に登り、神の怒りに触れ串刺しになった。その伝説が今なぜ再び…?連続する串刺し事件、痕跡を残さず消えた犯人。ゴルフ界の王者は、なぜ頂点を極めた直後に突然引退したのかー。捜査に巻き込まれた天才プロゴルファーが、ついに辿りついた切なすぎる真相とは。世界トップクラスのゴルファーたちの誇りと友情が輝きを放つ傑作。
関東大震災後の横浜に生まれた異母姉妹の慧子と蒼。ミッションスクール、ジャズ、ダンスなどのヨコハマ文化を楽しみ、恋を知る二人。しかし戦争の暗雲が港町を覆い尽くす。3・11以降の日本で書かずにいられなかった、戦争と平和、生きることの歓びと哀しみ。
世界中をめぐる豪華客船『ディアマント』のチーフ・パティシエール、三嶋怜衣は、クールな美貌とケーキ作りの実力から“女王”と呼ばれていても、本当は人見知りで性格もマジメ。恋愛よりも仕事に夢中で、目下の悩みは、八歳年下でパティシエ見習いの“生意気坊や”ハルがあまりにマイペース過ぎること。そんなある日、怜衣の恥ずかしい秘密を、よりによってハルに知られてしまいー。「隠さなくたっていいじゃん。ボスも女だってことだろ」昼は「上司と部下」、夜は「奴隷とご主人さま」の逆転主従関係に!?世界一周クルーズ中の豪華客船で繰り広げられるとびきり甘くて濃厚な恋の駆け引き。
体調不良を引き起こす呪いの藁人形、深夜の研究室に現れる不審なガスマスク男、食べた者が意識を失う魅惑の“毒”鍋。次々起こる事件を、Mr.キュリーこと沖野春彦と庶務課の七瀬舞衣が解き明かすーが、今回沖野の前に、かつて同じ研究室で学び、袂を分かった因縁のライバル・氷上が現れた。彼は舞衣に対し、沖野より早く事件を解決してやると宣言し!?
アパレルショップをリストラされた沙智は心機一転、ファッション誌の編集者を目指して出版社へ。しかし、配属されたのは販売促進部ー通称“ハンソク”。しかも無名作家の小説を「ミリオンセラーにせよ」との特命まで課せられた。編集、書店をはじめ業界全体を巻き込んだ新人営業女子の活躍が始まる!
台湾中部の山岳地帯に暮らす誇り高き狩猟民族・セデック族。1895年、日清戦争で清が敗れると、彼らの住む土地にも日本の統治は拡大。部族たちの平穏な生活は日々奪われていく。それから35年、部族の有志たちがついに立ち上がる。集落を統べる頭目、モーナ・ルダオは一族の尊厳を胸に秘め、仲間たちとともに日本軍に抗戦する。だが、蜂起軍は日本軍が誇る近代兵器の前に桜の花びらのように次々と散っていき…。台湾全土を席巻した稀代の歴史小説ーついに邦訳化!
二宮光二郎、七十五歳。趣味は分解ーーバラバラにして、きれいに磨いて、元に戻すこと。光二郎は、家出中に公園のベンチでうたた寝をしていた。目が覚めると、右手には血のついたカマ、目の前には血まみれの男が倒れていた。孫のかけるとひかりは、光二郎逮捕の知らせを聞き仰天。“おじいちゃん”を救うために、警察署へと急ぐ。果たして犯人は? すべての部品には役割があって、錆びると噛み合なくなってしまう。 すべての人にはドラマがあって、感謝の気持ちを忘れるとぎくしゃくしてしまう。 そんなときは分解しよう、軌道から外れよう。 きれいに磨かれた部品も、感謝の気持ちを取り戻した人間も、きっと再び輝ける。
小学館文庫小説賞松本清張賞W受賞の快挙! 深作日都子は小学5年生の時、教師から金魚を殺した濡れ衣を着せられ、熾烈ないじめの対象となった。そのときから日都子は、誰にも心を閉ざし、「みんな」には加わらない「ヒトリコ」として生きていく決心をする。 田舎の小学校の生徒達はそのまま中学校へ持ち上がる。ヒトリコの心の支えは、ピアノとピアノを教えてくれる偏屈なキューばあちゃんだけ。合唱の盛んな中学では生徒の間にカースト制度が生まれ、激しいいじめや陰口が横行する。「みんな」に属している限り生徒間の闘いは続く・・・。 地元の高校の入学式。小5で転校した冬希の姿がそこにあった。モンスターペアレントの母親との暮らしに疲れ切った冬希は、母親を棄て、父親の地元に戻ってきたのだった。何も変わらぬ故郷、仲間。ただ、一人だけ全く変わってしまった日都子の姿に冬希は驚く。そしてその原因が自分が飼い、置いてきた金魚と知り・・・。 誰もの心に突き刺さる、青春の残酷さ、閉塞感・・・・・・。絶望的な孤独の末に見えてくるうっすらとした光。必ず誰もの心の奥の奥に入り込み、内側からあなたの心を揺さぶる、苦くて新しい青春小説です。 【編集担当からのおすすめ情報】 全くの新人作家の方がほぼ同時期に2つの新人発掘の大賞を受賞することは、いまだかつてないことです。最終候補作に残っている、という連絡は奇しくも同じ日だったとのこと。2015年4月頭に第16回小学館文庫小説賞受賞決定、その直後に第22回松本清張賞も受賞。 これを記念して出版社の枠を飛び越え、二つの受賞作品をダブルデビュー作として刊行することになりました。この彗星のように現れた新しい才能のきらめきを、是非お確かめください。