2015年6月発売
本所に住む貧乏御家人・松平残九郎。表ざたにできない罪人の介錯を副業としていることから、ついたあだ名が「斬九郎」。腕はめっぽう立つのだけれど、酒と女、そして何より79歳になる美食家で大食漢な母親にはからきし弱い!ふつか酔いの今日も尻をたたかれ、依頼の仕事に駆けつける。江戸の町から東海道、京都まで、事件の裏の謎を解く短編10作と中編5作を収録した、型破りな傑作時代小説。
1944年ベルリン。ユダヤ人の元敏腕刑事オッペンハイマーは突然ナチス親衛隊に連行され、女性の猟奇殺人事件の捜査を命じられる。断れば即ち死、だがもし事件を解決したとしても命の保証はない。これは賭けだ。彼は決意を胸に、捜査へ乗り出した…。連日の空襲、ナチの恐怖政治。すべてが異常なこの街で、オッペンハイマーは生き延びる道を見つけられるのか?ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞作。
大恐慌後のアメリカ、雄大なアパラチア山脈を舞台に、新妻セリーナが我欲と支配欲に取り憑かれ、稀代の悪女へと変貌していく様を描いた迫真の文芸大作。ジェニファー・ローレンス主演の同名映画原作!
謎を解く鍵はー“キス”高校1年生の美鈴は神社の跡取り娘。そんな美鈴の家には、厳しい掟がある。それは“初めてのキスの相手と生涯を共にすべし”というもの。ところがあるとき、美鈴は謎のイケメン男子に唇を奪われてしまう!おまけに「カケル」と名乗るその男子は、なんとユーレイで!?
航空機メーカー、四星工業で働く沢本由佳。担当する超音速機「TF-1」の生産は堅調だったが、技術者として新たな開発を手掛けたいと思った彼女は、「TF-1」をより効率的に運用するための改修開発「リヴィジョンA」を提案する。戦闘機開発の裏側に渦巻く、官民の思惑。元技術者の著者が、その舞台裏をぎりぎりまで描く!
下総稲月藩三万五千石の若殿・千太郎君は御三卿田安家ゆかりの由布姫との祝言を前に藩邸を夜逃げ。骨董目利きの才と剣の腕で、江戸の難事件に挑む山之宿の弥市親分を助けている。この日、弥市親分に若い女が追いすがり、盗人稼業から逃げたいので助けてほしいという。かわりに大泥棒の日記を土産にするとも…。
刀を包丁に持ち替え江戸に出て料理人となった時吉とおちよの旅篭付き小料理のどか屋に、十四歳の娘を連れた両親が宿をとった。娘はけなげにも、兄の形見の絵筆を胸に、根岸に住む八十過ぎの老絵師の弟子になりたいと願う。同じ日、上州から来たという五人組の船大工が投宿した。ところがこの五人、なにやら素振りがいぶかしい。二組の“訳あり”の投宿者に何が起こるのか。
父の仇を討つべく八歳より母の導きで血の滲む修行。長剣抜刀「卍抜け」に開眼し、十八歳で仇討ち旅に出た林崎重信。十一年ぶりに出羽の地を踏んだ重信を狙う刺客。かつて重信が討ち果たした仇の息子であった。この刺客に、諜者らしき男が語りかけた。「おぬしの仕事は、最上義光の一命を断つこと。私怨を晴らすのにかまけて、信長公よりご依頼の儀を疎かにされては困る」
赴任二年目の新任教師・崇士は、小学校のPTAを二分する派閥争いに巻き込まれることに。清楚な美人妻・慶子派とワイルドな社長夫人・珠実派ー各陣営のお色気たっぷりな母親たちからさまざまな形で誘惑され、PTA行事の議決に圧力をかけられるが…。豊満な肉体が行間で躍りまくる書き下ろし官能エンターテインメント!
岐阜郡上市に残る歴史ロマン第二弾!戦国の世に郡上の平和を祈り、この地に文化の華を咲かせた武将の物語(第三話)。江戸時代の郡上一揆(宝暦騒動)は、非暴力主義を貫きながら領主を倒したという、史上特筆すべき農民一揆だった(第四話)。
カルト指導者チャールズ・マンソンの「ファミリー」だった父親。その父を救い、私を育てたデスバレーの砂漠と山脈。絡みあう、血の宿命と大地の記憶…。期待の新人作家ワトキンズが、みずからの出自と故郷ネバダ州の歴史を重ね合わせて紡いだ、繊細にして鮮烈な七つの物語。二〇一三年、ショート・フィクション文学賞(The Story Prize)、ディラン・トマス賞(Dylan Thomas Prize)などを受賞
地下世界につながるトンネルへと失踪した妻。そこには〈モグラ兵〉と称される怪しい者共が住んでいた。男は妻を探し出すことを決意するが、そこは闇の力が満ちていて……。気鋭が描く幻想怪奇長編。
助言あり〼(ます)--。スーパーの駐車場で“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。バスジャック事件を巡る“もし、あの時……”を描く「if」。文学的挑戦を孕んだ「ギア」。洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。
女子高生が自宅の庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が入り混じり、浮かび上がる真相。これは事故か、それともーー。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたからーー。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、理事会では我儘なジジババに振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、幼馴染の三紀子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?!一気読み必至の傑作「社会派エンタメ」誕生。
家族を悲劇的に失い、神に身を捧げる修道士となった、マティアス。怜悧な頭脳を活かすため、親衛隊に入隊したアルベルト。寄宿舎で同じ時を過ごした旧友が再会したその日、二つの真の運命が目を覚ます。独裁者が招いた戦乱。ユダヤ人に襲いかかる魔手。信仰、懐疑、友愛、裏切り。ナチス政権下ドイツを舞台に、様々な男女によって織りなされる、歴史オデッセイ。全面改訂決定版。
ユダヤ人虐殺という任務を与えられ、北の大地で生涯消せぬ汚名を背負ったアルベルト。救済を求めながら死にゆく兵の前でただ立ち尽くしていた、マティアス。激戦が続くイタリアで、彼らは道行きを共にすることに。聖都ヴァチカンにて二人を待ち受ける“奇跡”とは。廃墟と化した祖国に響きわたるのは、死者たちの昏き詠唱か、明日への希望を織り込めた聖歌かーー。慟哭の完結編。