2015年発売
入居者向け娯楽活動の不毛さに音を上げた高級老人ホーム“海の上のカムデン”の面々は状況の改善に乗り出し、スペイン語講座、さらにはメキシコへのバス旅行が実現のはこびとなる。アンジェラとキャレドニア以下参加者一行11人は、添乗員つきツアーをおおむね楽しんでいた…新入りの老婦人が、突然の死に見舞われるまでは。老人探偵団が異国の地で大騒ぎする、シリーズ第八弾。
取材で黒い森を訪れた編集者のハンナは、トレッキングの最中に女性の死体を発見してしまう。被害者は10年前に村を出て帰郷したばかりの妊婦だったが、胎児が消えていた。村に伝わる“鴉谷”の不吉な言い伝えや、過去の嬰児失踪事件と関わりが?堅物の刑事と敏腕女性編集者が、閉ざされた村での連続殺人を解き明かす。ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞の清冽なデビュー作!
パラディスで学ぶためにやってきた青年ラウーランが下宿したのは、凋落した貴族デュスカレ家の屋敷。老婆と馬丁しかいないはずのその屋敷で、ラウーランは美しい娘の幽霊を見る。若くしてこの家に稼ぎ、葬られた娘が語る、呪われたデュスカレ家の物語。遥かローマ時代に遡る悲劇の萌芽。退廃と背徳の都パラディスに潜む恐るべき影。闇の女王が織りなす、奇怪で蠱惑的な幻想譚。
地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!
上州倉賀野に騒擾あり!荒天続きの凄まじい雨の中、不気味に膨らむ神憑き一行はついに宿場を襲い出す。その陰には一行を操る稀代の女悪党の姿が。もはや川堤は決壊寸前、このままでは公領水没も時間の問題ー漫遊、否探索中の隠密廻・八巻卯之吉が捻り出した、神頼みならぬカネ頼みの仰天対抗策とは。シリーズ屈指の壮大なスケールで描く文句なしの傑作第十六弾!
本所南割下水に住まう御家人、三日日左門の屋敷の近所に元旗本の青砥家の兄妹が越してきた。父の不祥事により、禄を減らされお役を取り上げられた二人はお家の再興を願うが、妹の智与の美貌に目をつけた無法の集団が蠢きだすー。紛うことなきサンピンなれど、頭も腕も天下一品。気が向かなければ動かぬが、ひとたび動けば華麗に蹴飛ばす、圧巻の無頼漢、三日日左門の活躍を描く、注目の新シリーズ!
揚羽座に格上の花村座の花形役者、春牡丹寒次郎が訪ねてくる。曰くつきの芝居『情女濡色鐘』再演直前に脅し文が届き、座員が次々と怪死を遂げているというのだ。花村座の危機を救ってほしいと懇願する寒次郎に、恋之介は「酒と豪華弁当と広い楽屋」の破格の条件を呑ませ、魔の桧舞台に上がることに。弟子の“鬼がらす”堅四郎は剛剣で師を守り抜けるか。ドラマ『猫侍』で注目の黒木久勝が放つ痛快新シリーズ第二弾!
天狗の面をつけて材木問屋に入った押込み一味は、千両箱の中から一部の小判と蔵王権現像を持ち去った。門扉は閉じられており、まさに烏天狗のように宙を飛ばなくては像は運び出せないと、すぐに江戸中の評判となった。ひょんなことからこの一件にかかわった村越壮志郎は、その謎に挑むのだったが…書き下ろし時代小説、痛快シリーズ第二弾!!
触れ合いたいけど触れられない、アンドロイドの少年と訳あり少女の邂逅(「未来編」)。文化祭の演劇を成功させるために奮闘する少年の恋の目覚め(「学園編」)。魔法を覚醒させてしまった少年が巻き込まれる、魔法者と人間の壮絶な戦い(「魔法都市編」)。バラバラになった3つの物語がすべて揃う時、大いなる物語が動き出すー。
父親の事故死により孤独な幼少時代を過ごしていた主人公・鈴木翔平。高校生になった彼は、病気の母に代わって家計を助けたいと思い、喫茶店でアルバイトを開始する。そこで、4歳年上の女性・香澄と出会い、付き合うことに。生まれて初めて幸福な時間を過ごす翔平だが、ある日、彼に耐えがたい出来事が!?
目覚めると、美少女だらけの学園だった。不安の時代を生きる僕たちが失ってしまった人生の指針ーそれが哲学。デカルト、ニーチェ、ハイデガー。西洋近代哲学者の化身たる美少女たちが教えてくれる世界の真実、人のありかた。「萌え×哲学」でクールジャパンの極北を彩る小説が、大幅改稿で文庫化。
繊細で美男な大学生、鮎太朗。女はみんな彼に片想い。でも結局はなぜだか彼がふられてしまう。刺されたり貢がされたり、その一方で、自分を慕い続ける可愛い同級生には心惹かれない。理不尽で不条理だけど、恋する男女はいつも真剣なのだ。芥川賞作家が恋愛の不思議を温かな眼差しで綴る傑作長編。
武蔵野の雑木林で殺人事件が発生。瀕死の被害者は「テン」と呟いて息を引き取った。意味不明の「テン」とは何を指すのか。デート中、事件に遭遇した田島は、新聞記者らしい関心から周辺を洗う。どうやら「テン」は天使のことらしいと気づくも、その先には予想もしない暗闇が広がっていた。第11回江戸川乱歩賞受賞作。
ひとりぼっちの少女とコンビを組み、失踪した三毛猫を探すことになった天才弁護士・百瀬太郎。忙しさのあまり婚約者の誕生日に気づかず、彼女はイケメン同窓生と急接近!さらに次郎と名乗る弟までが現れて…。やっかいでかけがえのない人たちのために悩み、奔走する百瀬。絶好調、癒されるミステリー!
大手銀行から出向し、三百億円もの累積赤字にまみれていた老舗の専門商社をたった二人で再建した敏腕社長、滝本。高卒という自身の学歴コンプレックスをばねに、未踏のビジネスを開拓し、出身銀行の頭取から依頼された汚れ仕事をも引き受け、日本経済界を伸し上がっていく。剥き出しの人間ドラマ、開幕!
訪れたバブル景気。高卒銀行マン滝本は出向先の商社を我が牙城とすべく地上げをてこに違法すれすれの手段で地位を固めていく。野望の果て、滝本がついに手を出した“禁断の錬金術”とは。地価も株価も天井知らずだったあの時代、成り上がり地に堕ちた男と女、生き残り逃げ遂せた者たち。渾身の傑作企業小説!