2015年発売
グリクレルの台所でさくらんぼのクラフティーを食べながら、忘れられない夜を過ごしたさよと仄田くん。やがて最後の夜を迎えたふたりは、夜の世界の住人たちを「ばらばら」に壊そうとする力と対決する。そして、七つの夜があけるとー。
シェンナは“サイネット”から離脱し“スノーダンサー”の群れに亡命したその瞬間から、ホークにどうしようもなく魅了されてきた。胸を焦がす一途な想いがようやく成就したそのとき、彼女は冷たい炎を操るXサイとしての自らの宿命と直面することに。しかも“純粋なるサイ”による大規模な軍事攻撃計画が発覚、群れは最大の危機にみまわれる。彼らを待ち受ける過酷な試練とは?ホークとシェンナに加えシェンナの伯父ウォーカーと群れの治療師ラーラの恋愛も展開。巻末には特別短編を収録!
陸上自衛隊員・笠間慶一郎は宿敵・善住坊を倒した後、現代に帰還する。しかしそこは歴史が改変され、存亡の危機にさらされた別の日本だった。歴史修復のミッションを託された慶一郎は再びタイムスリップ、歴史に介入していくが、仲間が一人また一人と消されていく…。大人気『戦スナ』シリーズ、怒涛の最終章!
喫茶店“リーベル”のマスター、竜堂佐貴。彼には“特殊”な友人がいる。名はアーネスト・G・アルグライト。誰もが振り向く美貌を持つ、英国出身の由緒正しき霊媒師だ。ある日、店を訪れた客が佐貴に持ちかけたのは、「死者に紅茶を淹れる」という奇妙な依頼。依頼人は、未来予知の能力を持つ女性が代々生まれる、『視人様』と呼ばれる一族「地守家」の一人だった。首を捻りつつも地守家の屋敷に向かった佐貴だが、そこにはなぜかアーネストの姿が!地守家の土地では二ヵ月前に、女性が不審な死を遂げていた。「自殺」とも「雪女に殺された」とも噂される中、雪女の殺意はアーネストと佐貴にも忍び寄り…!?アーネストと佐貴の因縁が明かされる、急展開の最新作!
北海道、美瑛。四季折々の彩り豊かな風景を見せてくれる美しい大自然のなかにたたずむ、赤い屋根のログハウス。第二の人生をこの素晴らしい景観のなかで過ごそうと、篤史と良子の夫婦は、長年住み慣れた東京から、この地にやってきた。良子は篤史に家を囲む石塀作りを頼んだが、持病だった心臓の病を悪化させ、帰らぬ人となってしまう。失意の底に沈む篤史だったが、そんなある日、良子からの手紙を受け取る。そこには、石塀をぜひ完成させてほしい、と綴られていた。それからも、良子からの手紙は、次々と篤史のもとに届き続けたがー。
家を捨て出ていった父の葬式で三姉妹は腹違いの妹に出会う。おとな以上に気丈な異母妹ーすずに、長女の幸は声をかける。「一緒に暮らさない?」しっかり者の長女・幸。姉とぶつかることの多い次女・佳乃。マイペースな三女・千佳。不倫の子という負い目を抱えながらも姉たちと共に暮らす決意をした四女、すず。こうして、四姉妹での新しい生活が始まったのだが…。鎌倉を舞台に、人の強さ、弱さ、優しさを温かい視点で描いた、累計二八〇万部突破・マンガ大賞2013受賞の大人気コミックス『海街diary』を原作に、待望の実写映画化。映画版の完全ノベライズ本!
高校時代、同じ演劇部に所属していた女友だち五人。外資系の会社で働きながら劇作家を目指す聖衣子、劇団で芝居を続けるサキ、雑誌編集者で未婚の母の真利江、エステティックサロンのインストラクター・羊子、裕福な家庭で育ったピアノバーの演奏者・伊佐子。境遇も職業も違う五人は、今でも定期的に女子会で近況を報告し合っていた。五人それぞれの人生をそれぞれの目線で綴った、女性の生き方オムニバス長編の元祖。仕事や恋、対人関係に揺れ、傷つきながらも知的で美しいハンサムガールへと変身する女性の姿を鮮やかに描く傑作。
北朝鮮が核ミサイルに燃料注入の危機に際し、京都に隠れていた「本物の内閣」が登場した。二条総理を中心に事態を収拾。京都に帰った内閣のもとに、全国学力テスト最下位に悩む大阪府知事がやってきた。たっての依頼で、二条内閣は裏方として教育問題に取り組むことに。しかし、京都御所に忍者が放たれ閣議を盗聴。二条内閣の大阪府への協力が白日の下に。そしてニュース番組で、二条内閣は軍国教育を推進させていると猛烈な批判を浴びる事態に発展。さらには、全団連なる怪しい団体まで登場し、大阪は一触即発の事態に。果たして史上最強の内閣の行く末は?
鴨川流と娘のこいし、トラ猫のひるねが京都・東本願寺近くで営む食堂には看板がない。店に辿り着く手掛かりはただひとつ、料理雑誌『料理春秋』に掲載される“鴨川食堂・鴨川探偵事務所ー“食”捜します”の一行広告のみ。縁あって辿り着いた客は、もう一度食べてみたいものに出会えるという。夫の揚げていたとんかつを再現したいという女性、実母のつくってくれた肉じゃがをもう一度食べたいという青年など、人生の岐路に立つ人々が今日も鴨川食堂の扉を叩く。寂しさも辛さも吹き飛ばす、美味しい六皿をご用意しました。京都のカリスマ案内人、初の小説!
難病に罹り余命宣告された五十五歳のボーディル。長年苦しめられた独善的な夫に別れを告げる一方で、三十歳の娘との関係修復を望んでいた。死を前にしたボーディルは半生を振り返り、「十代だったあの日、別の選択をしていれば人生は違っていたのだろうか」と自問自答を繰り返すばかり。ボーディル、娘ヴィクトリア、そして二人とは無縁のはずの、公私ともに幸福な男アンドレアス。やがてボーディルの「あの日」の行為が、時を経て思わぬ悲劇を呼ぶー。スウェーデン・ミステリ界の女王アルヴテーゲンが、人生の皮肉と現代の闇、負の連鎖を鋭く描く衝撃の最新作!
1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。しかしある時から、クラスで一目置かれる一匹狼のリチャードと仲良くなる。二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめる悪童グループの仲間が一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく…彼らにいったい何が?少年たちの歪んだ心を巧みに描いた幻の傑作。
台湾に日本の新幹線が走る。商社の台湾支局に勤める春香と日本で働く建築家・人豪の巡り逢い、台湾で生まれ戦後引き揚げた老人の後悔、「今」を謳歌する台湾人青年の日常…。新幹線事業を背景に、日台の人々の国を越え時間を越えて繋がる想いを色鮮やかに描く。台湾でも大きな話題を呼び人気を博した著者渾身の感動傑作。
両親の離婚によってほとんど関わりあうことなく生きてきた父が、難病を患った末に亡くなった。衿子は遺品のワープロを持ち帰るが、そこには口を利くこともできなくなっていた父の心の叫びー後妻家族との相克、衿子へのあふれる想い、そして秘めたる恋が綴られていた。吉川英治文学賞受賞、魂を揺さぶる傑作。
昭和四十三年、京都国立近代美術館からロートレックの名画「マルセル」が忽然と消えた。亡父・謙吉がこの事件を執拗に追っていたと知った新聞社文化部の瀬川千晶は、四十余年前の謎に導かれるまま、神戸、京都、パリで、家族の驚くべき真実と出会う。実在の未解決事件をテーマにした、芳醇なる絵画ミステリ。
結婚という言葉を使わずに、言いたいことを言うのは難しい。「私たちこれからどうするの」-いつも疲弊している絃と同棲して一年近くになる奈世。並んで横たわる二人の思考は、どんどんかけ離れてゆく。煮え切らない男と煮詰まった女。トホホと笑いながら何かが吹っ切れる、すべての迷える男女に贈る一冊。
「ぼくは思うのだ。どんなに成績が良くて、りっぱなことを言えるような人物でも、その人が変な顔で女にもてなかったらずい分と虚しいような気がする」-時田秀美は17歳、サッカー好きの男子高校生。勉強はからっきしだが、めっぽうモテる。発表から四半世紀、若者のバイブルであり続ける青春小説の金字塔。
「孤愁」とは、「愛するものの不在により引き起こされる胸の疼くような思いや懐かしさ」のこと。ポルトガルの外交官モラエスは、明治後期に来日、日本の自然、文化、女性を愛し、その著作で、日本の素晴しさ、日本人の美徳を世界に知らしめた。父・新田次郎の未完の絶筆を息子・藤原正彦が書き継いだ力作評伝。
手伝ってくれ、燦ー田鶴藩立て直しのため、燦に頭を下げる圭寿。藩の「病巣」かもしれぬ父・伊佐衛門への懸念を伊月が抱く中、闇神波と田鶴藩との繋がりも明らかになっていく。一方、静門院とお吉のふたりの女子は、思いがけない形で三人と深くかかわることになり…。少年たちが羽化する、文庫オリジナルシリーズ第六弾。
「紅はいらぬ、剣を持て」井伊家二十二代目当主直盛の娘・直虎は、言うが早いか、強引に結婚を迫る相手の腰から刀を抜き取り己の髪を切り落としたー。のちの徳川四天王、「井伊の赤備え」で武勲を誇った井伊直政の養母にして、遠州錯乱の時代に一命を賭して井伊家を守り抜いた傑女の、比類なき激動の人生。