2016年1月7日発売
刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだったー。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの心と闇に迫る心理サスペンス。
慶長二十(一六一五)年五月七日ー真田幸村は、死中に活を求めて家康本陣めがけて攻め込んだ!己の死に場所を求めて奮戦する猛将・後藤又兵衛、大坂方最後の砦・毛利勝永ら強兵どもと、対する徳川方の独眼竜・伊達政宗、戦の寵児・水野勝成、家康の外孫・松平忠明ー。第六回朝日時代小説大賞優秀作『決戦!熊本城』で大注目の新鋭による書き下ろし長篇時代小説。
人気作家20人が「20」をテーマに短編を競作。恋愛、SF、ミステリーなど、エンターテインメントの魅力を凝縮した作品から、ジャンルに収まりきらない現代小説まで、書き手の持ち味を存分に味わいながらも、読み手のイメージが鮮やかに裏切られる、最強の文庫オリジナル。
人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりを理解する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。二人は支えあってひっそりと生きていく。やがて兄は亡くなり、弟は「小鳥の小父さん」と人々に呼ばれて…。慎み深い兄弟の一生を描く、優しく切ない、著者の会心作。
幕府所蔵の書物を管理し護る、若き書物奉行・篠山辰之丞の裏の役目は田沼意次の密偵。目黒行人坂を火元とする大火事に江戸中が巻き込まれ、付け火が原因との噂も流れる。辰之丞は、友人の文二郎や火付盗賊改方・長谷川平蔵の助けも借りながら、下手人探しを始めるが…。
北関東のある町で、中学二年生の名倉祐一が転落死した。事故か、自殺か、それとも…?やがて祐一が同級生からいじめを受けていたことが明らかになり、家族、学校、警察を巻き込んださざ波が町を包む…。地方都市の精神風土に迫る衝撃の問題作。
風光明媚な日本桜富士館で催される、富士と桜を愛でる会。ひとりずつ旅に出なければならないというルールに従ったメンバーは皆、日本桜富士館に還ってくる直前で不可能殺人の犠牲になってしまう。「無傷」なのに死ぬ者、自在に飛び回る「天狗」に襲われる者…。メンバーが愛する日本の美そのものの光景が反転解体した時、誰も予想できないアーティスティックな真相が出現する!
誰にも傷つけられない無傷姫の宿命とはー!?「事件」は異世界で起こっている。伝説のシリーズ再誕!
親友の正美に「青春共和国へ行こう」と誘われたが断った英子。夏休みが明けてみると、正美が亡くなっていると知る!しかも、若者たちの夢の島、あの共和国で崖から落ちたと…。え?正美は高所恐怖症だったはず。正美と知り合いだという青年からもらった奇妙な地図を手掛かりに、英子は彼氏の純夫と正美の事件をたどる。謎だらけの青春共和国をめぐって、冒険が始まろうとしていた。
神君家康の遺宝をめぐる争いで若侍・織江緋之介に煮え湯を飲まされた老中松平信綱は南町奉行神尾元勝に“浪人狩り”を命じる。機に乗じて緋之介を投獄し意趣返しを遂げる狙いだ。当の緋之介は危機を察しながらも徳川光圀から託された探索に乗り出す。三年前、光圀が懇意にする保科家の夕食家で起きた悲劇。その裏で何があったのかー。深まる謎、迫る刺客。死闘の果てに待つ衝撃の真相とは。
厄介事を起こすのは、いつだってよそ者だ。七十歳の光太郎は憤慨していた。われわれが町を守らなくてはー。そこで互助会の仲間たちと手を組み、トラブルを起こす危険人物を町から追い出し始める。その手段はなんと嫌がらせ!?老人だからこそできる奇想天外な作戦はなかなか好調に思えたが…。大家と揉めていた男を次なるターゲットに決めたことから、事態は思わぬ方向へと動き始める。
フランス革命以降、政情不安な状態が続いているヨーロッパ。北欧の国で結婚式を挙げたばかりの王子が離宮で殺された。その直後、忽然と姿を消した王子の侍女に疑いの目が向けられるが…。離宮近くに住む少年ハンスは、海の国から来た人魚の姫と出会う。彼は、そのセレナと名乗る少女の願いを聞き、旅の途中だという風変わりな青年グリムとともに、王子殺害の真犯人を追う!
老女のひき逃げ事件に不審な出来事が次々と重なり…(高嶋哲夫「連鎖」)。暴力団元構成員が殺害された。この任地では嫌なことばかりだ…刑事の瓜生は苛立つ(西村健「出戻り」)。-こんなはずじゃなかった。思いもよらぬ事態が積み重なり、事件は意外な方向に。望まざる状況に立たされたとき、彼らは何を見るのか。当代きっての書き手が贈る、疾走感溢れるミステリーアンソロジー。
ベトナムが行う極秘作戦の「援護」を目的に、世界最強のステルス戦闘機F22でスプラトリー諸島へ向かったアメリカ空軍。しかし正体不明機による攻撃を受けてしまう。世界最強の空軍を手玉に取る“見えない敵”とは…。アメリカ空軍が自衛隊にDACT(異機種間模擬格闘戦訓練)を申し込んできた因縁の経緯が明らかになる。大人気航空活劇シリーズ!
十津川警部の部下である西本刑事は、深夜、自宅前で倒れていた赤いレインコートの女を救護するが、逆にレイプ犯として告訴されてしまった。現職刑事がレイプ!騒ぎ立てるマスコミから逃れるため西本は国東に旅立った。十津川は、そこに罠があることに気づき、西本を救うため立ち上がる。しかし、二重の罠が西本を殺人犯に仕立て上げたのだ!捜査線上に浮かんだ犯人の狙いは?
7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。書き下ろし短編「ひっつき虫」収録!
世界の終わりのあと、僕は電話ボックスにいるー快楽の果ての絶望に陥った過激なコメディアン兼映画監督のダニエルは、“永遠の生”を謳うカルト教団に接近する。二千年後、旧人類がほぼ絶滅し、ユーモアと性愛の失われた孤独な世界で、彼のクローンは平穏な毎日を生き続ける。『服従』著者による“新しい人類”の物語。
「どこかおかしいんです。ここまで正反対にできているものは、喧嘩のしようがありません」-謎めいた二人の人物に隠された秘密をめぐる「イルシュ博士の決闘」。呪われた伝説を利用した巧妙な犯罪。「ペンドラゴン一族の滅亡」など、全12篇を収録。ブラウン神父が独特の人間洞察力と鋭い閃きで、逆説に満ちたこの世界の有り方を解き明かす新訳シリーズ第二弾。