2016年発売
幾百もの生命を飲み込んでいる魔の山・谷川岳。男女五人のパーティで縦走中、リーダーの華村敏夫だけが疲労凍死した。兄の死に納得のいかない妹の名菜枝は、遭難現場に居合わせたメンバーに不審を抱き…。遭難事件に興味を寄せる謎の外国人や産業スパイ、恋心のぶつかり合い。真相に迫るごとに、奇異な事実が次々と明らかに!山岳ミステリーの異色作。
ご近所さん、同級生、バイト仲間や同僚ー。夢とか恋バナとか将来を語ることもあるけど、ほんとうに大切なことはそんなに話してないかもしれない。女同士ってちょっとむずかしい。でもたった一人は寂しいからやっぱり「おともだち」は必要だ。仲良しとは違う微妙な距離感を描いた短編集。書き下ろし「最後の店子」「百人力」を加えた10作品を収録。
アイスバードの群れを討伐してランクCに昇級したレイは、さっそく商隊護衛の指名依頼を受ける。行って帰ってくるだけの任務のはずが、巻き込まれ体質のレイとセトがそのまま終われるわけもなく……!?
昼は鍛練、夜は皇帝と軍会議。そんな充実した後宮生活を送るヘレナだったが、その鍛え上げられた二の腕に、皇帝から衝撃的な一言を貰う。傷心したヘレナと皇帝の関係は次第にすれ違い……? 脳筋だって、乙女です!
王都から監察官がやって来た。“嘘を見破る”スキルをもつ彼女の護衛に選ばれたヨシタツたちは、町の悪事や不正を暴く手伝いをする。しかし、彼女の本当の目的は『とある人物』を捕まえることだと気づき……?
盾に転生した私が目覚めたのは、一年中雪が降りそそぐ真冬の国だった。「汚らしい盾だ」と言われ、誰にも見向きをされない私に手を伸ばしてくれたのは、心優しい第六王子でーー。「ずっと、私が守ってあげるよ!」
俺の部屋に、突然異世界の王女様が登場!? 間違った知識で、でも日本をこよなく愛する彼女に、豚骨ラーメン、コンビニスナックなど「街角グルメ」を案内することになり……。読めばお腹が空く、飯テロコメディ!
忠次たちが住む溝猫長屋には、三月十日の時点で最年長の男の子たちが、長屋の奥にある祠を毎朝お参りする決まりがある。その祠を拝むようになってから子供たちは「幽霊が分かる」ように。祠にはどんな謂れが?なぜ「分かる」ように?そして忠次と同い年の銀太、新七、留吉らに苦難の日々が始まったー
こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。 会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。 日々家庭を支えてきた苦労を理解しようともせず、夫はその場しのぎの言葉ばかり、 息子たちは、「キモいおばさん」扱い。 46歳の誕生日の席で、朋美を軽んじてきた彼らに対し、ついに反乱をおこす。 身勝手でわがままな家族たちとは決別。レストランの席を立って、夫の愛車で 高速道路をひた走るーー。 家出した妻より、車と女の住所が入ったゴルフバックが気になる夫をよそに かつてない解放感を味わうが、車を失い、ヒッチハイクで出会ったのは、原爆を語り継ぐ老人と青年だった。 家族とどう生きるかの孤独と希望を描いて、新聞連載時大反響を呼んだ話題作、ついに文庫化! “家族”という荒野を生きる──。 解説・速水健朗
瀬戸内海にほど近い町、今治の高校に通う良史のクラスにある日、本物の天使が転校してきた。正体を知った良史は彼女、優花が再び天国に帰れるよう協力することに。幼なじみの成美と健吾も加わり、四人は絆を深めていく…。これは恋と奇跡と、天使の嘘の物語。「私を天国に帰して」彼女の嘘を知ったとき、真実の物語が始まる。
終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落ーニシムイ美術村に行きつく。警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。だがそんな美しい日々に影が忍び寄るー。実話をもとにした感動作。
子連れの刺客、須藤平八郎を討ち果たし、約定によりその赤子、駿太郎を引き取ることになった赤目小籐次。長屋の隣人や久慈屋らに助けられ、また少々不安がられつつも“子育て”に励む小籐次だったが、そこに駿太郎の母親と称する者の影が見え隠れし始める…。日々駿太郎への父親としての情愛を育みつつある小籐次の決断は?
腐乱死体となって発見された16歳の少女・舞子は妊娠していた。援助交際、ネットカフェ難民ー地方の養護施設から逃げ出し都会をさまよう舞子は、腹違いの弟を死に追いやり保険金を奪った叔父の行方を追っていたという。無縁社会を生きる若者たちの孤独を噛みしめ奔走する警視庁捜査一課大河内班の刑事たち。
売れない作家・柏原は交通事故で一週間分の記憶を失う。その日を境に、突然意識が遠のき恐ろしい「穴」を見る発作を起こしてしまう。十一年後、謎の美女・舞華と偶然出会った事をきっかけに、封印されていた記憶が戻り始め…。幾重にもからんだ伏線と、衝撃のラスト!エロスと狂気、妄想と現実が錯綜する究極の恋愛ミステリー。
高校生の月岡瑛人は、進学校で学ぶ優等生で家族(居候含む)思い。友達とも仲良くやっているが、秘めた衝動をもっていた。その衝動を受け止めるサンドバッグになっていたくまのぬいぐるみを失った瑛人が半狂乱で探した末、かわりに出会ったのは半死状態の美女!?「孤独をこじらせた少年」は、居場所を見つけられるのかー。
8歳で児童文学賞を受賞し天才少年と呼ばれた小松原淳は、なぜ富士の樹海に消えたのか?母親の依頼で淳の伝記を書くことになった作家志望の島崎は、膨大な資料を読み、関係者に取材して淳の人生に迫るが、やがて不気味な“異人”の影が彼の周辺に出没するようになり…。著者畢生の傑作がここに復活!
美しく妖しく、どこか懐かしくていとおしいー江戸川乱歩没後50年を記念する傑作選、辻村深月編の本書ではそんな乱歩の精髄を収める。恋する美女に嘲笑された孤独な男の妄執を綿密に描く「蟲」。四肢を失って帰還した軍人と妻の関係を描いた名作「芋虫」。さらに「盲獣」「鏡地獄」「白昼夢」「目羅博士の不思議な犯罪」など全9編。