2017年3月発売
家具職人の壱晴は毎年十二月の数日間、声が出なくなる。過去のトラウマによるものだが、原因は隠して生きてきた。制作会社勤務の桜子は困窮する実家を経済的に支えていて、恋と縁遠い。欠けた心を抱えたふたりの出会いの行方とは。
番組のレポーターとして南極に向かった作家椿三十郎は、経由地で少女から皇帝ペンギンの雛を南極に帰してほしいという依頼を受ける。悪戦苦闘の旅の果てに──。軽妙な筆致で命の尊厳を描いた感動作。
50歳の音楽プロデューサー、塩原達也のもとを突然訪ねてきた29歳の川原奈緒。セックスは苦手と言いながら、年上の俳優と不倫経験があり、男友達と二人で旅行にも出かけてしまう。理解できない奈緒の言動に達也は心を奪われるが、それは禁断の世界の入り口に過ぎなかった…。全裸で絵本を読み聞かせ子守唄を歌う不思議な女。禁断のプレイにはまった男を待つのは天国か、地獄か。あなたを子供に戻してあげたい。男が絶対に認めたくない欲望を直視した衝撃作。
誰しも痛みを抱えている。厄介なのがその痛みは他人に伝わらないことー。新卒で入った会社を3ヶ月で退社。現在27歳無職、彼女なしの海崎新太。就活も失敗続きのある日、リライフ研究所サポート課・夜明了と名乗る人物が目の前に現れる。彼は海崎を社会復帰のための実験プログラム「リライフ」へと誘い、一錠のカプセルを渡す。翌朝、鏡の前には薬を飲み若返った海崎の姿があった。そして、1年間限定の高校生活を送ることにー。マンガ・ノベルサービス「comico」連載人気作品の夜宵草原作『ReLIFE』をノベライズ化。
御一新とともに、寺や城は壊され、仏像や書画骨董が海外に流出していく。「日本が生き残る道は西洋の物真似しかない」と多くの人は信じているが、文明開化の時勢に流されて、日本の美と技をうち捨ててはおけぬ。自分一人でもミュージアムを創る。留学中に観た大英博物館のようなー旧物破壊・廃仏毀釈の嵐に抗い、新政府内の政争に巻き込まれながらも、粘り強く夢を実現させた官僚、町田久成。明治150年を前に贈る、日本文化の維新の物語。日経小説大賞受賞第一作。
徳川に忠誠を誓い、所領を失った井伊家を再興させ、戦国の世を駆け抜けた「赤鬼」井伊直政。家康を守り抜き、豊臣との戦いを前に散った“戦場の人生”が、いま生き生きとよみがえる!“おんな城主直虎”に育てられた闘将・直政の熾烈な生涯。圧巻の筆致で、「家康を天下統一に導いた男」を描く長編歴史小説!
故郷喪失の悲しみから、上方のソウルフード、うどん、ホルモン、お好き焼、土手焼、イカ焼を拵え、これを食すことで見えた宇宙。革命ではない。維新でもない。もちろん自由や平等でもない。愛などという眠たいものでもないー大坂の魂を取り戻す、ビルドゥングスロマン。
ラヴクラフトやハワードと才を競った幻視の語り部の妖異なる小説世界。スミス作品に愛着深い編者がSFと幻想文学の境界を超えた比類ない傑作を精選し、ここに贈る。
ストックホルム中央の公園で女児の死体が見つかった。彼女は前年、不審な男に話しかけられ、警察に証言を残していた。そのわずか二日後に別の公園で新たに少女が殺害され、ストックホルム市民は恐怖に打ち震えた。連続少女暴行殺人事件に、刑事マルティン・ベックは仲間と事件に取り組むが、手がかりは三歳の男の子のたどたどしい証言と、強盗犯の記憶のみ。捜査は行き詰まるーー。警察小説の金字塔シリーズ・第三作!
能力の存在を忘れ去るよう、記憶の改変が行われた咲良田。そこにいたのは浅井ケイを知らない春埼美空と、自身の死を忘れた相麻菫だった。だが相麻の計画により、ケイはもう一度「リセット」する術を手にしていた。より正しい未来のために、ケイは、自分自身の理想を捨て去らないがゆえに能力を否定する、管理局員・浦地正宗との最後の「交渉」に臨む。昨日を忘れない少年が明日を祈り続ける物語、シリーズ感動のフィナーレ!
こよみちゃんとの初デートに成功し、浮かれ気分の森司。しかし逆に意識し過ぎて空回り! そんな折、「悪魔祓い(エクソシスト)系の映画を観ると全身の血が沸騰する」という依頼人がオカ研を訪れて……
「僕を見張っててもらわないと、花嫁を殺してしまうかもしれない」美術展を見に行った帰り、大学生の亜由美が、友人とホテルのラウンジでお茶をしていると、中年の男性に声をかけられた。事情を聞くと、今行われている結婚式の新婦は、男の元妻だというのだ。しかしこの結婚には裏がありそうで…。愛犬ドン・ファンとともにズバッと解決!花嫁シリーズ第24弾。表題作ほか、「花嫁リポーター街を行く」を収録。
古賀は、恋人のめぐみと伊豆へ向かう車中、最後尾にある展望車で景色を楽しんでいると、カメラを忘れたことに気付く。部屋へ取り戻ると、目の前に知らない女性の死体が現れた。公安官に、被害者の恋人と勘違いされたため、めぐみを探したが、見当たらず容疑者として熱海署で取り調べを受けることに。そこへ、十津川警部から連絡が入る(「殺人へのミニ・トリップ」)。ほか3編を収録した十津川警部シリーズ短編集。
極度の文字マニア・鳴海理砂班長率いる警視庁捜査一課文書解読班に、新たに夏目静香巡査が配属された。唯一の班員だった矢代朋彦は、増員が今までの功績を認められたからだと意気込んでいた。そんな中、文書解読班に出動命令が下る。遺体発見現場に、ダイイングメッセージが残されていたのだ。理沙はメッセージの解読に注力し、矢代と夏目が現場で捜査に加わることに。矢代たちが遺品を調べていると、奇妙な幻想小説『永久囚人』の一部の画像が見つかった。入手困難な自費出版の稀覯本であることがわかり、その原本を辿って行くと、さらなる殺人事件が起きてしまい…。『永久囚人』と殺人事件の関連は?ダイイングメッセージの意味とは?
力自慢の犬田小文吾は旅の途中、悪女舟虫の計略にはまり牢屋に入れられてしまう。そこへ助けに現れたのは、人気田楽一座の花形美女、旦開野(あさけの)。その正体は、親の仇を狙う女装の若武者、犬阪毛野だった! 一方、犬塚信乃は船で安房の国に向かう途中、玉梓が怨霊の起こした大暴風雨(おおしけ)で、船が難破し流れ着いたその先は、なんと海賊の根城「鬼ヶ城」だった。『南総里見八犬伝』の大胆な解釈のもと、大人気を博した人形劇を、脚本家自らが書き下ろした完全小説版! 一 舞台変わって浅草近く、猪殺して小文吾登場 二 笛を使ったひと芝居、策に溺れた悪女舟虫 三 同じ穴のむじな二匹、ねらいも同じ金と欲 四 小文吾虎穴にはいり、家老の秘密をにぎる 五 娘姿は世を忍ぶ姿、旦開野は男でござる … 二七 道節の活躍で珠戻る、だが浮き出た娘の顔 二八 はたして何を恨むか、フジの下に立つ謎の娘 二九 須紗のうらみ消えて、遂異にに小文吾の目快癒
時は室町時代、安房の国は里見城で打ち首となった玉梓(たまずさ)の祟りに立ち向かうため、伏姫(ふせひめ)は犬の八房(やつふさ)とともに己の胎内から八つの珠を持つ八犬士を生み出す。十数年後、「孝」の珠を持つ犬塚信乃(いぬづかしの)は、父の形見の名刀村雨を、さもしい浪人網乾左母二郎(あぼしさもじろう)にだまし取られ、恋人浜路とも離れ離れになるが、それはすべて、玉梓が怨霊の仕業だった。『南総里見八犬伝』の大胆な解釈のもと大人気を博した人形劇を、脚本家石山透自らが書き下ろした、完全小説版! 一 シロが子犬を生んだ、かくて物語は始まる 二 怨霊が夜空を飛んで、狸は子犬に乳をやる 三 体に散る八つの花房、果たしてどんな宿命か 四 役の行者が現れて、伏姫に数珠を授ける … 十六 伏姫ゆかりの八犬士、犬塚信乃に陰謀の渦 … 三七 現れた四番目の珠、浮き出る忠の一文字
検挙率No1にして、被疑者受傷率No1! 凶暴だが情には厚い、凸凹コンビの痛快刑事小説。 巨漢の大浦・通称ウラと、小柄だが空手の達人の赤池・通称イケ。 この刑事コンビは、腕は立つがキレやすく素行不良、ヤクザのみならず署内でも恐れられている。 被疑者を半殺しにし、チンピラの車をぼこぼこにし、拳銃をぶっ放し、カジノでは大暴れーーだが、そんな傍若無人で無鉄砲な捜査が、時に誰かを幸せにすることも? 笑いと涙の痛快刑事小説が、朗読会で披露された「ぶんぶんぶん」を収録した新装・完全版で登場!
冷静沈着、超絶美人。敏腕機長にして名探偵ー。“キャプテン・ディテクティブ”氷室翼、登場!事件多発の「東京ーパリ国際線」。クルーたちは無事帰還することができるのか!?とびきりポップなトラベル・ミステリ!