2017年5月発売
初午の時期を迎え、「薫風堂」に新しい手習子がやってきた。四カ所の寺子屋に断られたほどの悪童を、師匠の雁野直春は、引き受ける決心をする。一方、端午の節句が過ぎてほどなく、二人の武家娘が直春を訪ねてきた。ノブと菜実は、幼馴染の美雪が想いを寄せる直春を、ひと目見ようとやってきたのだ。だが菜実は、誠実な直春に只ならぬ関心を寄せるのだったー。静かな感動が心に広がる、著者の新たな代表シリーズ第二弾。
松尾探偵事務所に、ある男の将来性を調べて欲しいと調査依頼があった。将来はバラ色と、松尾が調査を終えようとした途端、事態は思わぬ方向へ…(「死への招待状」)。会社役員の木島から、遺書を残して自殺した愛人の死の原因を知りたいと依頼を受けた秋葉は、女性の住んでいたマンションを訪れた。調べていくと、彼女には別の顔があることがわかる(「危険な男」)。社会の裏で活躍する探偵たちの息づかいが感じられる短編6篇。
古都、長岡京で開かれる旧財閥の懇親会。厳重な警戒の中、ナイフを持ち込む少年の目的は!?二つの蜂の巣、誘拐された幼女、からむ因縁の糸はどこに続くのか!?真実を追う少年たちの夢と挫折、友情と葛藤を描く、書き下ろし長編。
未知の惑星ルラールから来た“第九歌劇団”は素晴らしい演目を披露したあと、忽然と姿を消した…オペラの後援者デイム・イサベル・グレイスはその失踪の謎を解決するため、地球の歌劇団をひきいて様々な惑星をめぐる宇宙ツアーに乗り出すことを計画する。イサベル・グレイスならびに歌劇団の面々とともに宇宙船ポイボス号に乗り込んだのは、“第九歌劇団”を招いた団長にして宇宙船船長アドルフ・ゴンダー、音楽学者バーナード・ビッケル、イサベルの甥のロジャー・ウール、そして謎めいた美女マドック・ロズウィン。かくして波瀾万丈のスペース・オペラが開幕するー彼らを待ち受けるのは大成功か大失敗か大騒動か!?皆様予想どおりのヴァンス的展開となる傑作長篇と、ヴァンスを愛しつづけた名翻訳者・浅倉久志が選び抜いて訳した珠玉の中短篇四作を集成。
「ランプに明かりが灯る」-1629年、美貌のイギリス人リュート奏者ピーター・クレアがデンマーク王クレスチャン4世の宮廷楽団に招かれ、コペンハーゲンのローセンボー城に到着する。王はリュート奏者に親友ブロアの面影を重ねて寵愛する。一方、王の妻キアステンは王への不満をつのらせ愛人との官能の日々を送っている。やがてピーターはキアステンの侍女エミリアと恋に落ちる。しかし二人には数多の試練が待っていた…デンマーク、イングランド、アイルランドと各地をまたがる複数の物語が、絡み合う旋律となって壮大な音楽が奏でられる。極上の歴史小説にして恋愛小説、優美な音楽小説にてして青春小説でもある英国ベストセラー、ついに翻訳刊行!
不貞が発覚しコペンハーゲンから追放となった王の妻キアステンは侍女のエミリアとともに母エレンの城に移り住み、無謀ともいうべき策略を思いめぐらす。「勇気を出すのよ」という亡き母の言葉を胸に抱きながら、弟マークスとの日々を懸命に生きるエミリア。彼女の継母マウダリーナはティルスン家の男たちを支配し、一家を破滅に導いていた。一方、ピーターはかつての恋人オフィンガル伯爵夫人と再会し、夫人に誘惑されながらもエミリアへの思いを募らせる。そして失意のクレスチャン王のもとに現れる新しい存在とは?運命に翻弄される人々の人に果たして静寂の春は訪れるのかー濃密な物語性と精緻な語りで、最後の最後まで驚きの展開がつづく歴史ロマン大作!
イギリスで開発され、衛星軌道上に存在する対IS用高エネルギー収束砲術兵器『エクスカリバー』。亡国機業の攻略によりその制御下に置かれた『エクスカリバー』だったが、突如として暴走、軌道を離れはじめた。一方、クリスマス・イブが誕生日のセシリアは、とある理由から一夏とテーマパークでのデートを楽しんでいた。そこに降り注ぐ『エクスカリバー』からのレーザー攻撃ー。さらに、BT3号機をまとったチェルシーが現れ、セシリアを挑発する。そして、代表候補生一同は特命を受け『エクスカリバー』破壊作戦を開始、一夏は成層圏へ向かうが…。
異世界からの転生者にして戦闘狂の召喚士“ケルヴィン”。晴れてS級冒険者への昇格が決まったケルヴィンのために用意された宴ーそれは、「氷姫」の二つ名を持つS級冒険者シルヴィアとの1対1の模擬試合だった。真の強者との戦いに向け、ケルヴィンは心躍らせながら鍛練を重ねる。一方、そんなケルヴィンのために高ランクの食材を手に入れようとダンジョンへ向かったセラ達。そこで待ち受けていたのは、あまりに衝撃的すぎる出会いだった!?黒衣のバトルジャンキーが仲間と共に世界へとその名を上げる、爽快バトルファンタジー第4幕!!
“メルジーネ海底遺跡”を攻略し、七大迷宮のひとつ“ハルツィナ樹海”を目指すハジメたちは、街道でハイリヒ王国王女リリアーナと再会し、驚愕の報せを受ける。-変心したハジメを信じ、教え、導いた愛子の誘拐。「取り敢えず、先生を助けに行かねぇとな」ハジメは選ぶ。切り捨てず、見捨てず、救う事を選ぶ。向かうは聖教教会の総本山“神山”。異端者認定を受けた“奈落の化け物”と、“神の使徒”が激突するー!互いの信念を凌駕するのは果たして。“最強”異世界ファンタジー、第6巻!
やっと職をゲットしたケント。自分で金を稼ぎミリィ達にプレゼントの一つも買ってやりたいと考えるも、ミリィが就職に難色を示し難航。就活に対して少し焦っていたところ、ハンターギルドの教官から依頼を受けないかと誘いがあり、フェリアとともに初めての依頼を受けることに。一方ミリィは、ケントの危うい立場を知り、猟団を結成してケントを護ることを決意。新たなメンバーのスカウトを開始する。しかも、なぜかケントが身体検査を担当することに…。大人気シリーズ第二弾登場!
植民地時代の朝鮮では、日本が西洋文化を学ぶための窓だった。日本語を習得し、日本流に変形された自然主義文学を受容した廉想渉の作品の変遷を縦糸に、自然主義が生まれたフランス、それを変形させて受容した日本、日本から自然主義を受けいれた韓国の比較を横糸に、韓国における近代の受容の軌跡をたどる。
愛犬家が集うバーベキューパーティーが、全ての始まりだった。私と私の犬は、いつしか不条理な世界に巻き込まれていく。栄光と救済。呪詛と祈り。迷える民にもたらされた現代の超約聖書。私たちを救ってください。人間の根源を問う傑作大長編小説。
薬草栽培、生薬精製につとめる小石川御薬園同心・水上草介。様々な人達の心身を癒し、自身も多くの人に助けられてきた。更なる礎を築くため、ある想いを胸に秘め歩み出そうとする草介の前に、やっかいな騒動が巻き起こり…。江戸を舞台に繰り広げられる、青春時代小説。
クラブのVIPルームで撲殺された死体は、鋭利な刃物で鼻がすっぱりと削がれていた。その頃、東京地検特捜部に28歳の若さで配属された秋月さやかは、“無理筋”の仕事に戸惑っていた。大物代議士の不正献金事件の証拠がつかめず、立件が難しくなってきていたのだ。にも拘わらず捜査を急ぐ特捜部。正義を掲げ秋月は孤立していく。結びつく二つの事件。その背景には日本社会の腐敗した組織構造があった。秋月は事件の真相に近づけるのかー。著者渾身の社会派ミステリー。
亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。姿を消した忠犬ゴローを探すため、鈴鹿の山中へ旅に出た彼は、道道で印象深い邂逅を経験する。河童の少年。秋の花実。異郷から来た老女。天狗。お産で命を落とした若妻。荘厳な滝。赤竜の化身。宿を営むイワナの夫婦。人間と精たちとがともに暮らす清澄な山で、果たして再びゴローに会えるのか。『家守綺譚』の主人公による、ささやかで豊饒な冒険譚。