小説むすび | 2017年9月発売

2017年9月発売

伯爵と記憶をなくした娘伯爵と記憶をなくした娘

名前も身元も定かでない娘が、 伯爵の心に留まるはずもなく……。 嵐が迫るなか、ずぶ濡れの娘は夜道を当てもなくさまよっていた。 寒さと疲れで事切れる寸前、通りがかりの伯爵ジョナサンに救われ、 彼女は近くの牧師館へ運ばれたが、自分の名前も出自もわからなかった。 牧師夫妻は彼女を仮に“ベス”と呼び、親戚として共に暮らし始めるが、 一部の上流階級からは怪しまれ、冷遇されてしまう。 ああ、わたしを助けてくれた優しいあの人にまた会いたい……。 自分の名前は忘れても、彼のことは一生忘れられない。 そんなベスの願いは叶うこともないまま半年が過ぎたころ、 夢にまで見たジョナサンと再会を果たすが、彼の挨拶に色を失った。 「はじめまして。自己紹介させてもらえないか?」 記憶喪失に陥ったベスはひけめを感じながらも伯爵への想いを募らせますが、半年ぶりに会ったジョナサンは彼女のことをまったく覚えていないうえに、彼は上流階級にふさわしい花嫁を娶ることを求められていて……。悲しい定めに翻弄される娘を劇的に描いたリージェンシー。

秘密を抱えた家政婦秘密を抱えた家政婦

私は彼を欺いているーー この世でいちばん愛しい人を。 家政婦のセイディは雇い主の命令で、愛するザカリーの住む町を訪れた。 罪なほどセクシーな町の英雄ザカリー・ガトリンと激しい恋に落ち、 別れも告げずに姿を消して5年になるが、今も彼は夜ごと夢に現れる。 本当はやりたくない。ザカリーの身辺を嗅ぎまわるなどという仕事は。 でも、病気の妹の高額な治療費を稼ぐ方法はほかにない。 だから、雇い主であるザカリーの異母弟に協力するしか道はないのだーー 遺産相続を阻むためにザカリーの汚点を探れ、という卑劣なことでも。 高鳴る鼓動を抑えこみ、勇気を振り絞ってザカリーを訪ねたセイディは、 冷ややかな黒い瞳に一瞥された。「ここは君のいる場所じゃない」 それでも愛の残り火は燃えあがり、セイディは思いがけず妊娠するが……。 決死の思いで再会した初恋の人は、近寄りがたい成功者となっていて……。どこまでも不遇で健気なヒロインと、どこまでもゴージャスでセクシーなヒーロー。数奇な運命に弄ばれた二人のドラマチックなラブストーリーです! 『天使を抱いた氷の富豪』関連作。

13・6713・67

出版社

文藝春秋

発売日

2017年9月30日 発売

ジャンル

華文(中国語)ミステリーの到達点を示す記念碑的傑作が、ついに日本上陸! 現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。どの作品も結末に意外性があり、犯人との論戦やアクションもスピーディで迫力満点。 本格ミステリーとしても傑作だが、雨傘革命(14年)を経た今、67年の左派勢力(中国側)による反英暴動から中国返還など、香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、市民と権力のあいだで揺れ動く香港警察のアイデンティティを問う社会派ミステリーとしても読み応え十分。 2015年の台北国際ブックフェア大賞など複数の文学賞を受賞。世界12カ国から翻訳オファーを受け、各国で刊行中。映画化権はウォン・カーウァイが取得した。著者は第2回島田荘司推理小説賞を受賞。本書は島田荘司賞受賞第1作でもある。 〈目次紹介〉 1.黒與白之間的真實 (黒と白のあいだの真実) 2.囚徒道義 (任侠のジレンマ) 3.最長的一日 The Longest Day (クワンのいちばん長い日) 4.泰美斯的天秤 The Balance of Themis (テミスの天秤) 5.Borrowed Place (借りた場所に) 6.Borrowed Time (借りた時間に)

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