2017年発売
冴えない日々を送り、与えられた天職は最下位職である『低級魔道士』でしかなかった少年・ルーク。しかし、ある事件をきっかけに彼を取り巻く環境は大きく変化しはじめる。それは、「包囲殱滅陣」という軍事史上に燦然と輝く陣形を編み出し、戦史にその名を刻まれることになる彼のほんの始まりに過ぎなかった。これは“最下位職”から“天才軍師”へと成り上がっていく少年の物語である。
人々のために祈れー「お前も、沖縄にこないか?」-世界を放浪していた有馬は、かつて世界的新興教団のブレーンだった男・田島に誘われ、沖縄の精神病院で働くことになる。医院長の霧山は元全学連のリーダーで、沖縄返還前後からシャーマン教団の乙姫さまとともに戦争で傷つき心を病んだ人々の治療を続けている。ある日、乙姫さまのもとへ「GRANDMOTHERS COUNSEL」を名乗る集団から、沖縄の「平和への祭典」開催を相談する手紙が届くのだが…。有馬、霧山、乙姫さま、島ハーフの七海とアタル、戦争PTSDを抱える患者のジェーン、宇宙ステーションで働くジムー祝祭の日、洞窟の中でグランマザーたちが祈りとともに世界の悲劇を語り出す時、彼らの運命の歯車は動き出す。私たちは、永遠の戦争の子どもだー善と悪を超えた、“終わらぬ悲劇の連鎖”と“生命の輝き”を描く傑作。
英雄か、大戯けかー幕末、一介の武士から長岡藩家老に抜擢され、戊辰戦争に際し武装中立をめざした男の真実。「新潟日報」他、10紙で連載の話題作、ついに刊行!河井継之助の生涯を描き切った感動巨編。
寿町四丁目にある、通称“椿屋敷”。そこに住む柊一は、若くして隠居暮らしをしているため、若隠居と呼ばれている。そんな彼のもとに嫁いできた、十九歳の香澄。しかしそこには秘密があった。ふたりは利害の一致から結婚した、偽装夫婦なのだ。町の相談役である柊一のもとには、たびたび近所から相談が持ち込まれるがー。「家」が語る、わけありな人々の物語。
イラストレーターの夢破れ、こっそり地元へ戻った夏実。なんとか就職した先はクセモノ社員ばかりのブラック企業・B社K支店。毎朝会う「青い自転車の君」を心の支えに奮闘する日々だ。そんなある日、人手不足のK支店に、他支店から早乙女が助っ人としてやってくる。木村主任とともに、新支店の支店長候補と噂される人物だ。そのせいか、なにかと二人は張り合い…!?
新聞部の響子は、IT教室のパソコンに隠されていた、伝説のネットアイドル・アリスの未発表動画を見つける。ある目的のため、文化祭で彼女の正体を暴くべく取材を進める中、四人の同級生ー文化祭実行委員の歩、アリスだと噂されたことのあるみのり、歩の彼女・梨緒、歩相手に暴力沙汰を起こした弾ーの複雑な関係と、アリスへの関わりに気づく響子だが…?
念願かなって百万書房に編集として入社した平摘栞。あこがれの作家の担当を任され喜んだのも束の間、その人は大ヒットのデビュー作以降筆を止めてしまっていた!?さらにベテラン作家の新作を担当するも「売れる本とは?」という難題にぶつかって…。戦う新米編集・平摘栞、100万部目指して今日も編集業に奔走中!読めば元気になる、文芸業界お仕事小説。
母子家庭の幼い姉妹が自宅で殺害される。死体発見時から母親が行方不明の為、母親犯人説が浮上。日本新報甲府支局の南は、本社への栄転を懸け、特ダネを狙って精力的に事件情報を収集。警察のネタ元から犯人の情報を掴み、紙面のトップを飾る記事を書いた。だが、それは大誤報となって…。巧妙な罠に翻弄されながらも、新聞記者としての矜持と野心の狭間で真実を追う男の闘い。長編ミステリー。
時は奈良時代。藤原家の一族として生を享け、美しく光り輝くように成長した姿から、父・藤原不比等に光明子と名付けられた一人の少女がいた。成長とともに激しさを増す朝廷の権力争い、貧窮者の救済、仏教の広布、相次ぐ災害や疫病…数々の混迷を乗り越え、夫・聖武天皇を支え、国と民を照らす大仏の建立を目指す。時代を大きく動かし、国の礎を築いた光明皇后。その生涯が鮮やかに蘇る歴史長編。
南宋の根本を揺るがす「印璽・短剣」と引き換えに、秘密裏に南宋を脱出した岳飛。直後、許礼ら南宋軍に追われるも、梁山泊の致死軍に守られ南下、大理の近くで居を構えることに。そんな中、弱体化したかに思われた青蓮寺の不穏な気配が其処彼処で感じられるようになる。一方、秦容のいる南の開墾地は銭が流通し、町としての機能が整い始めていたー。独り聳立する岳飛。ついに岳家軍、再起の第七巻。
夫との関係に苦しむ泉はある日、電車のホームで思い悩む女子高生と知り合う。互いの悩みを相談するうち二人は惹かれ合い、共に暮らす決意をする──。新たな家族の形と幸せを問う感動長編。
享保十三年、久留米藩領井上村。大庄屋、高松家の長男である甚八と次男の庄十郎は、父に連れられて訪れた善導寺で、何千と集まる人々の姿を目の当たりにする。「ようく見とけ。これが百姓の力ぞ」。藩主から言い渡された増税に抗議して集まる群衆。あわや一揆かと思われたそのとき、あるお達しが下りー。九州の田舎で飢餓と圧政に苦しむ百姓のために医者を志した少年の成長を描く歴史巨編。
貧富を問わず患者の看病にあたる鎮水のもとで医師修業を積む庄十郎。一方で兄の甚八は大庄屋を継いでいた。あの一揆騒動から二十六年、身を挺して増税を撤回した稲次家老は病に倒れた。度重なる不作、飢饉、人別銀。再び百姓に困難が降りかかるとき、怒りの矛先は甚八のいる大庄屋へ向けられた。時代のうねりの中で懸命に慈愛の心を貫こうとする青年医師の目を通して市井の人々を見た歴史大作。
舞台は東京。地中に潜む「地霊」が、歴史の暗黒面を生きたネズミや人間に憑依して、自らの来歴を軽妙洒脱に語り出す。唯一無二の原理は「なるようにしかならぬ」。明治維新、第二次世界大戦、バブル崩壊から福島第一原発事故まで…首都・東京に暗躍した、「地霊」の無責任一代記!史実の裏側で、滅亡へ向かう東京を予言する。果てしないスケールで描かれた第50回谷崎潤一郎賞受賞作。
米ソ冷戦時代。航空自衛隊パイロット那須野治朗は、米軍大佐バーンズから「お前はソ連機を撃墜できるか?」と問われる。陰謀をはらんだ沖縄上空での米軍機密演習。那須野が迎え撃つ相手とは。そして彼が零戦を表す「ジーク」という二つ名を得た15年前の出来事とは。四半世紀にわたり読み継がれた名作“ゼロ・シリーズ”第一巻、待望の復刊。今こそ、男を取り戻し、そのG(重力)を体感せよ。
異常な暑さと日照りが続く平安京。雨を願う人々の期待を集め、二人の女御がそれぞれ推薦する陰陽師と僧による雨乞い合戦が行われた。だが、祈祷の最中、雲の中から異形の獣が現れる。日照りはその獣ー魃鬼という妖怪によってもたらされていたのだ。そんなとき、逃げ出した魂を追って馬頭鬼のあおえが冥府から再び現れ…。少年武官と美貌の陰陽師見習いが怪異に挑む平安怪異譚、第二弾。
武士を捨てて竹光作りを生業とする雀丸。ある日、三人の武士にボッコボコにされている老人を救い出す。庶民の揉めごとを裁く横町奉行だというこの老人は、あろうことか雀丸に跡を継いでくれと言い出した。危険な目に遭っても「三すくみ」という助っ人が馳せ参じるから大丈夫とも。ところが現れたのは悪徳商人に女ヤクザ、破戒僧という面々でー江戸期の大坂を舞台に描く、抱腹絶倒の時代小説。
人生で大切なことはすべて深夜のラジオが教えてくれた。夜更けに、ラジオのスイッチを入れる。きょうも一日、いろいろあった。みんな、どんな事情を抱え、なにを考える?私たちは、精いっぱい生きている。実在するラジオ番組に耳を傾ける人々の人生を切り取った哀歓5篇。