2017年発売
根来傀儡衆の頭領・左甚五郎がまたも動き出した。狙いは御家騒動が収束したばかりの会津藩。舫九郎は幡随院長兵衛、天竺徳兵衛、高尾太夫らと会津に乗り込むが、そこには売り出し中の軍学者・由比正雪や柳生十兵衛、天海大僧正までが集結していた。いずれが敵か味方か!?激闘の果てに明かされる真相は?
文政二年(1819)秋、野分(台風)一過。久慈屋の大番頭・観右衛門に誘われ、隅田川沿いの須崎村に赴いた小籐次。竹林に囲まれた絶景の地に建つ数寄屋こそ、久慈屋がおりょうに用意した住まいだった。おりょうの新生活のため奔走する小籐次。だが野分のさなかに直面した、千枚通しを用いた殺し事件も急展開を告げていた…。
盗賊の頭・長沼又兵衛は、かつて本所・高杉道場で、平蔵、岸井左馬之助とともに、三羽烏と呼ばれた男だった(「高杉道場・三羽烏」)。腕利きの密偵六人衆が集まり、盗賊だった頃の思い出話を肴に、飲んで飲んで、その挙句…(「密偵たちの宴」)。ほかに「いろおとこ」「見張りの見張り」「二つの顔」「白蝮」「二人女房」の全七篇を収録。
同心・松永弥四郎は、自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る(「夜針の音松」)。「酒もうまい。肴もうまい」と煮売り酒屋で、上機嫌の同心・木村忠吾。さし向いの相手の顔貌は、眉毛と眉毛がつながっていた(「一本眉」)。ほかに「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「墨つぼの孫八」「春雪」の全六篇を収録。
ギヴ。それがその犬の名だ。彼は檻を食い破り、傷だらけで、たったひとり山道を歩いていた。彼はどこから来たのか。何を見てきたのか…。この世界の罪と悲しみに立ち向かった男たち女たちと、そこに静かに寄り添っていた気高い犬の物語。『音もなく少女は』『神は銃弾』の名匠が犬への愛をこめて描く唯一無二の長編小説。
1980年代の大阪。高校卒業後、どこにも就職できなかった大西秀明は、担任教師の口利きで、舞台進行見習いとして「なんば花月」に出入りしていた。幼い頃から何をやっても失敗ばかりの大西は、吉本でもとんでもないヘマばかり。そんな大西が、人気絶頂の明石家さんまと出会い、孤独や劣等感を抱えながら芸人として成長していく。
夜の街でやんちゃが少し過ぎた「俺」は、裏社会の大物である祖父ちゃんにお灸を据えられることに。半ば拉致状態で連れて行かれたのは、マンション「リバーサイドシャトウ」。そこは高額の家賃を払って規約を守れば、どんな奴でも入居可能。日本人はもちろん、世界各国から犯罪者たちが集まる無法地帯だった。強引に管理人助手をさせられるハメになった俺の目に飛びこんできたのは手榴弾を握りしめた人間の片腕!赴任早々、手荒い洗礼を受けた俺はすっかり意気消沈。任期は一年だが、それまでもつのか、この命!?
京で隆盛を極める吉岡一門を我独りにて完全に滅ぼす、ついてはその前に女を抱きたい。あきれたことに武蔵はそう口走るのだったー。槍術の達人・宝蔵院胤栄、そして天下の剣豪・柳生石舟斎とあいまみえながら見据えるのは佐々木小次郎の姿。ときに憎しみに近い妬心を、ときに身を捩りたくなるような懐かしさを覚えさせる男。いざ、決戦のとき。衝撃と感涙のクライマックスに向けて物語は猛然と突き進む。
その夜、カメラマン志望の大学生・木下英志は夜景を撮っていた。人気のない公園で鈍い音を聞きつけカメラを向けると、そこには一人の女性がいた。彼女は屈強な男たちを叩きのめすと、車椅子の老人を伴い車へと消えた…。後日、改めて画像を見た英志は気づく。-似ている。横顔が、あの子に。カメラが捉えた不可解な事件に隠された哀しい過去とは?
「すごい二人」がいた!蒲柳の質ながら常に時代の先端を行く幸之助を、抜群の行動力で支えた義弟・歳男。関東大震災、昭和恐慌、戦争、そしてGHQによるいわれなき財閥指定…、幾度もの困難を乗り越えてパナソニックと三洋電機を創った二人の人生を直木賞作家が描く感動のノンフィクション・ノベル。
銀鉱で成り上がったメキシコ生まれの主人と従者の出立から始まる物語はやがて、黒人の奏でるギター、街頭を轟かす謝肉祭の喧噪、ヴィヴァルディのオペラ、ルイ・アームストロングのトランペットへと、変幻するテンポのうちに秩序は多元的に錯綜していく“幻想交響曲”で幕を下ろす。擬古的な文体で周密な作品空間を描き出し、響きわたる雑多な楽音で読者を圧倒する傑作。
それはある日、突然はじまった。癌だった。-腎細胞癌。大家族を夢見た父ヒーロー(ヘルヴィッヒ)・ヴィーラント。家族は増え、会社も経営し、人生は順調かに思えた。ところが、病をきっかけに、つぎつぎとあらわになる家族のほころび。5人の子供と孫たちが抱える悩みや問題の数々。できちゃった結婚をする息子、外国人と付き合う娘、借金をする息子、庶子を生んだ娘と孫娘。…欠点だらけの家族。不治の病のヒーローは、病と、そして崩壊しそうな家族とどう向き合うのか。父が家族に残した最後の贈り物とは?家族とは何なのか、それぞれの視点からユーモアたっぷりに語られる、心に響く「ある家族の物語」。
難易度MAXな世界を救済することになった、駄女神リスタとチートステータスなのに慎重な勇者・聖哉。新たな敵は高速で飛ぶ巨大蠅、攻撃が通らない死神ーこれまで以上にハードな怪物だった!「この秘策は魔王戦まで取っておきたかったのだが…」神界に籠もって強力なチートスキルを習得した上、聖哉の力を抑えていた無数のパワーリストを外して挑むが…?新たな強敵に魔王への切札ー慎重な勇者の奥義、解禁!?
1560年ー各地で剣術を学んだ秀一は、桶狭間の戦いの幕開けを前に織田信長のもとへと戻った。戦国の傾奇者・前田慶次郎も仲間にし、劣勢の信長軍に知恵を託した秀一。天下統一への足がかりとするため今川義元の首を狙うが、この行動によって、歴史が少しずつ変わってしまい…?己の武器は前世からの歴史の知識のみ!桶狭間の戦い、川中島の戦い。名だたる戦で勝利を掴み、戦国時代を成り上がれる…か!?
遂にアラクネになった「私」は魔王や吸血姫らと旅へ。怪しすぎる人外PTも、時にはこっそり人里に下り、宿で食事を…って「私」だけ仲間外れ!?いくら何でも見た目ヤバイ?いいもん、地上の魔物は美味いから、泣かない…。一方「私」と袂を分かった分体たち。彼女らのもとを訪れた人類最強の魔法使いは、常識外れの特訓を目撃する。強化された分体たちのとある「計画」がスタートする時、「私」の旅路は人類の岐路と交差するー!
闘技場での活躍もあってすっかり有名になったエイシ。今度は“寄生”で手に入れた魔法を使いこなすため、魔道学校へ通うことに。知識も身につくし、凄い寄生相手がいるはず。だが、そこへアンデッドのテロリストが乗り込んできた!難なく制圧するも、逃げていったリーダーは小悪魔的可愛さの美少女で…。偶然再会して事情を聞くと、学校強襲は別の凶悪・強大な不死者が原因らしくー?アンデッドだって助けちゃう極楽人助け冒険譚第三弾!
私の可愛い妹を見つめる、私の婚約者。出逢った瞬間恋に落ちていく二人を見たとき、私は既視感に襲われた。ああ、またか。かつての人生でも、婚約者は私の妹に恋をした。私はその光景を、ただ成す術もなく見つめるだけだった。-どうして、私だけが同じ時を繰り返すのだろう。抗いきれぬ運命。巡る時の中で、それでも私は彼を好きになる…。
江戸中期、勘定奉行の荻原重秀が財政立て直しに辣腕を振るった陰に、四人の猛者がいた。金の採掘量減少を受け、重秀が金の含有率を下げる御法度の貨幣改鋳を行うと、四人は十万両分の金を積む御用船を強奪。それは金の枯渇感を煽るための重秀公認の裏工作だったが…。日の目を見ることのない者が暗澹たる時代に光を灯す歴史エンタテインメント。