2018年10月12日発売
14歳の少年が少女を殺害、眼球を少女の親に送りつけた、20年前の女児殺害事件。その犯行映像が突如、闇オークションに出品された。当時の捜査関係者なら犯行映像を持ち出せたはずー人事第一課監察係の白石は捜査を開始する。カード会社で督促の仕事をする江梨子は、1本のクレーム電話をきっかけに、ある男の悪行をネットに晒した。動画は警察が動くほど話題となり、かつてない満足感を覚えた江梨子は、悪人を“炎上”させ懲らしめる“自警団”サイトにのめり込んでいく。“自警団”でも積極的に活動する少年・龍馬と、サイト管理人の弥生と親しくなった江梨子。3人は、次の獲物を決める。近頃、犯行映像流出騒動で話題の元少年Aだ。龍馬の活躍で元少年Aの素性を突き止めるも、事態は思わぬ方向へと転がっていき…。第38回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作
敗戦後の昭和20年代、そして高度経済成長と新左翼運動の昭和40年代。世を根底から疑い、これに背を向け、あるいは反逆しようとする「デカダン文学」なるものが、とりわけこの二つの時代を中心に現れ出た。頽廃、厭世、反倫理、アナーキー、およびそこからの反転。昭和期のラディカルな文学的実践十三編を照射し、その背後に秘められた思想的格闘を巨視的に読みなおす 敗戦後の昭和20年代、そして高度経済成長と新左翼運動の昭和40年代。 世を根底から疑い、これに背を向け、あるいは反逆しようとする「デカダン文学」なるものが、とりわけこの二つの時代を中心に現れ出た。 頽廃、厭世、反倫理、アナーキー、およびそこからの反転。 昭和期のラディカルな文学的実践十三編を照射し、その背後に秘められた思想的格闘を巨視的に読みなおす。 〈収録作品〉 葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」 宮嶋資夫「安全弁」 坂口安吾「勉強記」「禅僧」 太宰治「花火」「父」 田中英光「離魂」 織田作之助「影絵」「郷愁」 島尾敏雄「家の中」 三島由紀夫「憂国」 野坂昭如「骨餓身峠死人葛」 中上健次「十九歳の地図」 (計13篇) セメント樽の中の手紙 安全弁 勉強記 禅僧 花火 父 離魂 影絵 郷愁 家の中 憂国 骨餓身峠死人葛 十九歳の地図
「見えないかい?月明かりの中の妖しく美しい狐の舞が…」時は文政。ある雨の日、江戸の本屋・草紙屋薬楽堂に持ち込まれたありふれた人情噺の裏には、禍々しくも哀れな狐憑きの噂がー。推当物を得意とする女戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念、武家の女・只野真葛、高名な父を持つ女絵師・葛飾応為ことお栄は、切ない出口なしの物語を「一番の結び」に導く大芝居を計画するが…。江戸の本屋を舞台に戯作者=作家が謎を解く!謎と人情、嘘と本心、運命に抗う決意と逡巡ー戯作者=作家が謎を解く大人気時代小説シリーズ、待望の第四弾!書き下ろし時代小説。
「王子光(ワンツーコアン)」とは何かーー滅びの街の物語 黄泥街は狭く長い一本の通りだ。両側には様々な格好の小さな家がひしめき、黄ばんだ灰色の空からはいつも真っ黒な灰が降っている。灰と泥に覆われた街には人々が捨てたゴミの山がそこらじゅうにあり、店の果物は腐り、動物はやたらに気が狂う。この汚物に塗れ、時間の止まったような混沌の街で、ある男が夢の中で発した「王子光」という言葉が、すべての始まりだった。その正体をめぐって議論百出、様々な噂が流れるなか、ついに「王子光」がやって来ると、街は大雨と洪水に襲われ、奇怪な出来事が頻発する。あらゆるものが腐り、溶解し、崩れていく世界の滅びの物語を、言葉の奔流のような圧倒的な文体で語った、現代中国文学を代表する作家、残雪(ツァンシュエ)の第一長篇にして世界文学の最前線。残雪研究の第一人者でもある訳者の「わからないこと 残雪『黄泥街』試論」を併録。
二つの大戦、社会主義政権の樹立、プラハの春とチェコ事件、そしてビロード革命ー。激動の歴史を背景に中欧の小国チェコで育まれてきたSF。ハクスリー、オーウェル以前に私家版で出版されたディストピア小説から、J・G・バラードやブラッドベリにインスパイアされた作品まで、チェコSF界の最高峰“カレル・チャペック賞”受賞作を含む本邦初訳の傑作11編。
「ザンダー…」アラナは友人の招待で訪れた由緒ある邸宅で、苦い一夜の恋の相手と再会した。1年前、襲われかけたところを助けてくれたハンサムな実業家、ザンダーの魅力に抗えず、彼のペントハウスで純潔を捧げた。けれど翌朝、身分違いの恋が怖くなって逃げ出したのだ。まさか彼が覚えているはずもない。1年前に彼の寝室から逃げ出した、臆病な娘のことなど…。ところが、巨万の富を持つ彼はアラナが勤める会社を買収し、あろうことか新しい上司として赴任してきた!
私は信じていいの? あなたが示す情熱と優しさは本物だと。 花屋で働くイレーナは、隣家の新しい主に思わず目を奪われた。 ニコ・ラドクリフ──ヨーロッパの小国の伯爵だという。 魅力的だけれど、私には雲の上の人だわ。彼女は自身を戒めた。 だが思いがけず、ニコから多額の報酬の仕事が舞いこむ。 「司書の資格を持つきみに、屋敷の古文書の整理を頼みたい」 屋根の修繕も満足にできないほど困窮していたイレーナは 引き受けざるをえず、彼の屋敷に通いつめることに。 数日後の朝、ニコのベッドで目覚めた彼女は青ざめた。 なんてこと! 彼の誘惑に負けて戒めを破ってしまうなんて……。 ハーレクイン黎明期から活躍してきたベテラン作家、ロビン・ドナルドのじつに5年ぶりとなる新作をお届けします。傲慢ながらも魅力的なヒーローの描写はいまも健在。ぜひご注目ください!
イタリア人富豪との夢の一夜。 7年後、それは悪夢に変わった。 二十歳のアレクシスはイタリアへ一人旅に出かけ、 そこで運命的な出会いを果たす。名門コンティ一族の長男で、 圧倒的なオーラを放つレアンドロに心を奪われてしまったのだ。 住む世界が違うと知りながら、アレクシスは誘惑に抗えず、 彼と一夜をともにする。まさか妊娠するとも知らずに。 7年後、貧しいアレクシスは事故に遭い、密かに産んだ娘の身を 案じて、真実をレアンドロに告げようとイタリアへ飛んだ。 だが、屋敷では折しも彼の婚約パーティが佳境を迎えていた。 残酷な言葉が響いた。「僕の子か? どうせ金目当てだろう」 人気急上昇中の作家タラ・パミーが、王道のシークレットベビーをドラマティックに描きます。悩んだ末に、ヒーローとの子を一人で育てる決意をしたヒロインでしたが、事態は望まぬ方向へ……。
やっと見つけたこの恋は、 つぼみのまま朽ちてしまうの……? 高圧的な父のもとで従順に育ったモーガンは、 常に敷かれたレールを歩み、結婚相手さえも強引に決められてしまった。 でも、わたしももう25歳。人生の一大事くらい、自分の意志を貫きたい。 モーガンはありったけの勇気を振り絞り、 教会の祭壇に向かう途中で逃げ出した! ところが、そんな彼女の前に、一人の男が立ちはだかるーー 父の取引相手であるスペイン人大富豪リカルド・オチョア。 モーガンの父から、娘を連れ戻すよう頼まれたという。 異国の魅力を漂わせる美しい彼に、彼女はときめきを禁じえなかった。 だが彼にとらわれたら最後、望まぬ結婚に舞い戻らなければならず……。 ベテラン作家スーザン・メイアーが描く、真実の愛を求めるヒロインの切ない恋物語をお届けします。大好評を博した『さよならまでの二週間』に登場したリカルドがヒーローを務めます。彼は意外にも、モーガンを父親のもとに戻さず、自国スペインへと連れ去って……。
病院で電話交換手をしているエミーはある日、人に頼まれて、高名なオランダ人医師で教授のルエルドに書類を届けた。初めて会う教授はよそよそしくて人を寄せつけない雰囲気で、追い払われるように部屋を後にした彼女は、しょんぼりと家路に就いた。ところがその後、ルエルドは夜勤明けのエミーを家まで送ってくれたり、子猫を拾って上司に叱られているところをかばってくれたりした。なぜ地位も名誉もある魅力的な彼が、地味で平凡な私に親切を?エミーは喜びと困惑の間で揺れたー彼には、美しい婚約者がいるから。なのに、ルエルドはなぜか彼女をクリスマスのオランダに招待し…。
愛する人を失うのは、もういや。 だから、彼との未来はあり得ない……。 セージは展覧会の初日レセプションに現れたタイスを見て茫然とした。 3年前、世界的な名声を得つつあったタイスと出会った瞬間、 セージは燃えるような恋に落ち、欲望の赴くまま彼と体を重ねたが、 6週間後、濃密な関係に自ら終止符を打ったのだった。 幼いころ両親を亡くし、最愛の養父の死に直面したばかりの彼女は、 愛する人を失う悲しみをもう味わいたくなかったのだ。 それなのに驚愕の再会を果たした夜、 セージはタイスに求められるままベッドをともにした。 抱き寄せられ、熱いキスを浴びせられたとたん、我を忘れてしまったから。 3カ月後ーーセージはお腹に小さな命を宿していることに気づく。 人気沸騰中の作家ジョス・ウッドが健筆を振るう、ニューヨークの名門バランタイン家のきょうだいたちの華麗なロマンス。今回は、『なくした記憶と愛しい天使』と『家なきナニーの子守歌』で気になる登場のしかたをしていた一番下の妹、セージがヒロインです。
貧しい家に生まれ、親に楽をさせたいと老富豪に嫁ぐ道を選んだヘレナ。しかし結婚式前夜、不運にも車の事故で川に転落してしまい、死を覚悟した瞬間、通りかかったたくましい男性に助け出された。明日には、私は愛の自由を失う身。だからせめて、今夜だけは…。彼女は名も知らぬ命の恩人の魅力に導かれるまま情熱を分かち合った。12年後、仕事で窮地に陥ったヘレナは、同業の大物社長となったあの忘れえぬ一夜限りの恋人、メイソンのもとを訪ねて救いを求めた。彼こそが息子の父親だという、重大な秘密もろとも打ち明けて。すると、メイソンは軽蔑の念もあらわに彼女を睨みつけた。「きみはいままで、何人の男とベッドをともにしてきた?」
秘書のホイットニーは、同僚に誘われて行ったパーティになじめず、 大邸宅の二階へ逃れて、静かな場所で一息つこうとしていた。 不作法と思いつつも、疲れから寝室でつい眠り込んでしまい、 女性の叫び声で目覚めたとき、大変な事態に巻き込まれていたーー 隣に見知らぬハンサムな男性が肌もあらわに横たわっていたのだ! 彼こそ館の主の大富豪スローンで、叫んでいたのはその婚約者だった。 ホイットニーに気づかずベッドに入ってしまっただけのようだが、 婚約は破棄となり、彼女は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 償いに何でもすると申し出たホイットニーを見据え、スローンが言った。 「結婚を待ちわびる母のために、婚約者の代役を務めてもらおうか」 1979年の創刊から長くハーレクインを形作ってきた不動の人気テーマをご紹介します。本作は、若き乙女に愛のめざめを促す年上ヒーローを描いた、大人の色香漂う年の差ロマンスです。
目覚めたサマンサは、そばに座って手を握り、穏やかに語りかけてくる男性を見て、妙に安心感を覚えた。ダークブラウンの髪をしたハンサムな人。でも、いったい彼は誰?ここはどこなの?私は…?彼女は事故に遭い、記憶を失っていたのだ。やがて病室に医師が現れ、男性は彼女の夫ギャリックで、おなかの赤ん坊も無事だと告げた。この魅力的な男性が夫で、彼の子供が私のおなかにいる…。サマンサの胸は誇らしさでいっぱいになった。だが真実は複雑で、夫の限りない優しさには切ない過去が隠されていた!
幼いころに母が頑固な父を捨てて別の男性とかけ落ちして以来、ジュリエットは由緒ある館の猟場管理人の父と二人で暮らしていた。やがてジュリエットは館の一人息子シメオンと恋に落ちた。二人が抱き合っている姿を目撃した父に猟銃を突きつけられ、シメオンは突然ジュリエットとの結婚を宣言したのだ。だが結婚式の夜、ジュリエットは彼の振る舞いに深く傷つき、“何もかも間違いでした”と書き残して姿を消したのだった。そのまま母のもとに落ち着き、義父と母の仕事を手伝ってきて8年。ある夜、母の別荘に独りでいた彼女の前にシメオンが現れ、言い放つ。「もう逃げられないぞ。今度こそ、ぼくの子供を産んでもらう」
エリーがギリシア生まれの実業家サンドルと交際を始めて3カ月がたつ。彼はデートの最後に官能的なおやすみのキスをするものの、なぜかそれ以上の関係に進もうとしない。ところが、ある夜、最高級レストランでのディナーのあとで、ばらの花束と指輪を渡され、唐突にプロポーズされた。“愛している”という言葉もないままに。サンドルはエリーの父と仕事上の取り引きがある。彼が本当に求めているのは私自身?それとも取引先の娘という立場?エリーは休暇先のバルセロナで熟考の末、サンドルとの結婚を決心する。帰国後、烈火のごとく激怒した彼と会うことになるとも知らず。
二十歳のバーナデットは今、野心家の父の道具になろうとしていた。上流志向の父は金に物言わせ、娘を没落貴族に嫁がせようと躍起なのだ。喘息持ちで体の弱い私が相手方に歓迎されるはずがないし、好きでもない人と生涯をともにするなんて、つらすぎる…。そんな窮地に陥ったバーナデットに突如結婚を申し出たのは、10年来の隣人であるスペインの伯爵エデュアルドだった。冷酷で悪名高い、16歳年上の彼とは会えば喧嘩する仲だけれど、本当は、彼を目にするだけで胸の高鳴りが止まらないほど好きなのだ。思いがけない求婚に舞いあがったバーナデットだったが、同時にエデュアルドは、うぶな彼女の心をかき乱す不埒な言葉を吐いた。「ぼくにとって愛とは、結婚指輪より、寝室にかかわることだ」
目を閉じたときに浮かんだのは、忘れられない彼の顔ーー L・フォスター最新刊! 今ふたたび交わる切ない恋の行方。 その夜マキシーは頭痛とともに池の畔で目を覚ました。居間にいたはずなのに なぜこんな場所に? そういえば最近誰かに狙われているような、妙な出来事 が続いている。怖くなった彼女は急いでマイルズのもとへ向かう。身辺警護の 職につくマイルズとは2カ月前まで男女の仲だったが、プレイボーイの彼に深入 りするのが怖くてマキシーのほうから逃げだしたのだ。再会したマイルズは彼 女に腹を立てていたものの、警護を引き受けてくれることに。ほっとしたマキ シーだが、四六時中彼のそばにいるうち、消えずにいた想いが疼きだし……。
神の花嫁になる前夜、乙女は見知らぬ騎士に捧げられた……。 愛と微笑みの伝道師、リンゼイ・サンズが贈る中世ロマンス! イングランド王の愛人だった母を亡くし、修道院で育てられたロザムンド。外 界と切り離された静かな日々は、修道女となる前夜、突然終わりを迎える。父 王が修道院を訪れ、今夜おまえは勇猛な騎士の花嫁になると宣告したのだ。し かも、会ったばかりの彼とすぐさま結婚を“完全なもの”にしなければならな いと。意味もわからぬまま、気づけばロザムンドは誓いの言葉を口にしていた ーー荒々しくも繊細な顔立ち、歴戦の覇者にふさわしい鋼の肉体をした花婿ア リックの隣で。その夜、夫は震えるロザムンドにそっと触れようとしたが……。