2018年11月24日発売
はじめにーー柴田元幸 The Modern Series of English Literature より 身勝手な巨人……………オスカー・ワイルド(畔柳和代 訳) 追い剝ぎ……………ダンセイニ卿(岸本佐知子 訳) ショーニーン……………レディ・グレゴリー(岸本佐知子 訳) 天邪鬼(あまのじゃく)……………エドガー・アラン・ポー(柴田元幸 訳) マークハイム……………R・L・スティーヴンソン(藤井 光 訳) 月明かりの道……………アンブローズ・ビアス(澤西祐典 訳) 秦皮(とねりこ)の木……………M・R・ジェイムズ(西崎 憲 訳) 張りあう幽霊……………ブランダー・マシューズ(柴田元幸 訳) 劇評家たちあるいはアビー劇場の新作ーー新聞へのちょっとした教訓……………セント・ジョン・G・アーヴィン(都甲幸治 訳) 林檎……………H・G・ウェルズ(大森 望 訳) 不老不死の霊薬……………アーノルド・ベネット(藤井 光 訳) A・V・レイダー……………マックス・ビアボーム(若島 正 訳) スランバブル嬢と閉所恐怖症……………アルジャーノン・ブラックウッド(谷崎由依 訳) 隔たり……………ヴィンセント・オサリヴァン(柴田元幸 訳) 白大隊……………フランシス・ギルクリスト・ウッド(若島 正 訳) ウィチ通りはどこにあった……………ステイシー・オーモニア(柴田元幸 訳) 大都会で……………ベンジャミン・ローゼンブラット(畔柳和代 訳) 残り一周……………E・M・グッドマン(森慎一郎 訳) 特別人員……………ハリソン・ローズ(西崎 憲 訳) ささやかな忠義の行い……………アクメッド・アブダラー(森慎一郎 訳) 芥川龍之介作品より 春の心臓……………ウィリアム・バトラー・イェーツ(芥川龍之介 訳) アリス物語(抄)……………ルイス・キャロル(芥川龍之介・菊池寛 共訳) 馬の脚……………芥川龍之介 おわりにーー澤西祐典 附 芥川龍之介による全巻の序文と収録作品一覧
仕事中に呼ばれたケイラは、人生最大のショックを受けた。社長のアンドレアスが結婚して家族をつくるというのだ。なぜその相手が、知り合って8年、彼を愛してきた私じゃないの?それはきっと私が、里親育ちの“雑種”だからだ。悲しみと屈辱のあまり、ケイラは無断で休暇をとって旅に出た。するとアンドレアスは会社を放り出し、彼女を追いかけてきた。「君は僕の人生の一部だ。結婚してもその事実は変わらない!」アンドレアスにとって、妻の横に私がいるのは当然なのだ。別の女性を選んだ彼を見るなんて、私には拷問でしかないのに。
どうか気づいてほしい。 私はもう子供じゃないの。 イタリアを一人で旅してまわっていたケイティは、 アマルフィの海岸で最悪の事態に陥った。 一瞬の隙にパスポートの入った荷物を盗まれてしまったのだ。 途方に暮れる彼女の前に高級車が停まり、思いがけない男性が 降りてきた。ジャレッド! なぜこんなところにいるの? 5年前、彼とキスを交わしたあとで拒絶された苦い記憶が甦る。 大富豪ジャレッドは事情を聞くと彼女を強引に車へ押しこんだ。 満月の下、白く輝くヴィラに着き、ケイティは息をのんだ。 ここで二人きり? 盗み見た彼の顔に蠱惑の笑みが広がった。 いきいきとしたヒロインの描写に定評のあるハイディ・ライスが贈る、刺激的な再会ロマンスです。ひょんなことから、かつて手酷くふられた相手と同居することになったヒロインの運命は……?
「ぼくは君を愛せない。だから別れるしかない」富豪の夫マックスに宣言され、リーザは泣く泣く別居に同意した。だが、離婚に向けて話し合いを進めているさなか、ふとした弾みで情熱が甦り、ふたりはベッドを共にする。2カ月後のクリスマス、予期せぬ妊娠に動揺するリーザは、事実だけでもとマックスに伝えるが、意外な返事が返ってきた。「離婚はやめて、ふたりで子どもを育てよう」私を愛してもいないのに?いったい何を考えているの?凍りついたリーザに、マックスは驚くべき提案をした。
魅惑の富豪と冴えない私。 不自然すぎる“恋人同士”。 高級リゾート施設の広告提案に臨んだエリーは、 広告主であるニッコロ・ロッシの姿をひと目見た瞬間に まるで流砂に落ち込むような感覚を味わった。 端整な顔、漆黒の髪と瞳、しなやかでたくましい体つきーー ギリシア神話の彫像のように美しい冷徹なプレイボーイ富豪は 色気に欠けるエリーの広告案を一蹴し、悪魔のように微笑した。 「1週間、現地のヴィラに泊まるんだ。僕の恋人のふりをして」 わけあってこの仕事を逃すわけにいかないエリーは彼に従った。 これは純粋な現地視察よーーざわめく胸にそう言い聞かせながら。 安全第一の人生を送ってきた仕事人間のエリーにとって、ニッコロの危険な提案は青天の霹靂でした。この世の楽園のように美しいリゾートで心と体を解きほぐされ、募りゆく恋心を自覚したエリーは、束の間の喜びと知りながら独身主義のニッコロに純潔を捧げて……。
“愛は人を奴隷にするだけだ” 彼の拒絶に、胸が引き裂かれ……。 さる王家で王女たちの家庭教師として働くオリヴィアは、ある晩、 宮殿の窓から侵入してきた黒ずくめの男にさらわれた。 恐怖でめまいに襲われる一方、その侵入者の危険な魅力に胸が高鳴る。 あれよあれよと儀式めいたことをさせられ、甘い言葉で誘われるうち、 まだ恋も知らぬオリヴィアは抗うすべなく身も心もゆだねてしまった。 その後、驚愕の真相が判明するーー男の正体は隣国の王子ザイードで、 必要があって結婚を急ぎ、王女と間違ってオリヴィアを連れ去ったのだ。 しかも、先ほどの儀式は、なんと婚礼の儀だったという! うろたえるオリヴィアに、ザイードは蔑みもあらわに言い放った。 「なぜ早く名乗らなかった? 后になりたくて、僕をはめたのか?」 涙を誘う愛の物語で人気のケイト・ヒューイットの秀作。自分に自信がなく、華やかな人々の陰で自己主張することなく生きてきたオリヴィア。人の役に立ちたいと願う心優しい彼女が、運命の悪戯によって、とんでもない事態に巻き込まれていき……。
もう誰も愛さないと決めたのに。 あの人は離さないーー私の瞳と、心を。 大公の婚礼を控えたヨーロッパの国へ出張に来たエイプリルは、 巨大企業のカリスマ的な経営者マーカスと対峙した。 ハンサムな億万長者である彼は大公の補佐役でもあり、 仕事で大公家の秘密に近づこうとする彼女を阻もうというのだ。 ところが、初対面の険悪な緊張感とはうらはらに、 今まで感じたことのない魅力を感じ、エイプリルの胸はときめいた。 もう誰も愛さないと決めたのに……。最愛の息子を失ったあの日に。 過去に悲劇を経験したことのある彼女は、恋愛に慎重だった。 なのに、やがてマーカスの魅力にとりこまれ、一線を越えてしまうーー めくるめく夜に紛れて我を忘れ、身ごもらぬ策もとらずに。 ハーレクイン小説の粋を集めたような本邦デビュー作『白鳥になれない妹』で話題をさらったニーナ・ミルン。ハーレクイン愛好家の母からそのDNAを受け継いだ作家が描く、過去の悲しみを乗り越えて幸せをつかむシンデレラ・ストーリーです。
あなたがいるこの国が、 わたしの居場所……。 いとこのつき添いでスペインへ向かう途中、海賊に襲われたハリエット。 連れていかれた奴隷市場で彼女たちを競り落としたのは、 主君の命を受け、王子のために花嫁を探していた宮殿長官カシムだった。 花嫁の条件は、美貌をそなえた英国人女性。当然、いとこが選ばれた。 しかし婚礼の当日、ハリエットは嫌がるいとこを助けるため、 花嫁とすり替わり、主君の逆鱗にふれて牢に投げ込まれた。 絶体絶命の窮地に陥ったハリエットを救ったのは、カシムだった! 市場でわたしを買った憎むべき冷酷な彼が、いったいなぜ? 牢から出されて、カシムのハーレムで監視下に置かれることになり、 ハリエットは彼のたくましい体と青い瞳に酔わされるがごとく……。 大人気アン・ヘリスが創り出した、美しき世界観のエキゾチック・リージェンシー! 賊にさらわれたのが運の尽き、期せずして異国に売られてしまったハリエット。謎の美男カシムの導きでハーレムに行き着いた彼女に、どんな運命が待ち受けているのでしょうか?
「こちらはデイトン公爵よ」紹介された相手を見て、ヴェリティは激しく動揺した。10年前、デイトン公爵は社交界で放蕩者の浮き名を流していた。かねがね噂を聞いていたヴェリティの憧れの存在でもあった。そう、あれは公爵とちょうど同じ屋敷に滞在していた日、彼女が家の借金のために無理やり嫁がされる直前のことだ。最後の思い出にと切なる願いを胸に、公爵の寝室を訪れたのだった。月日は流れたのに、彼は当時と変わらずハンサムで魅力的だ。でも、あの秘密は絶対に知られてはいけない…。彼女は髪色も顔立ちも彼に似た娘の手を引き、その場から逃げ出した。
お腹に赤ん坊がいることを告白したら、 また二人の関係は終わるのだろうか。 あともう少しでクリスマスだというのに、 マイケル・ケリーが同じ階に引っ越してくるなんて! 新しい部屋に移ったばかりのシャーロットは茫然とした。 彼女はニューヨークの不動産王マイケルと付き合っていたが、 真剣な恋愛をするつもりのない彼との関係に疲れ、別れを告げた。 だが、別離の直後にマイケルの子供を妊娠していることに気づき、 ひとりで子供を産み、育てる決心をしたばかりだったのだ。 “僕は父親になどなりたくない”と宣言したマイケルにまた魅せられ、 妊娠を知られたりしては絶対にだめ。 ところがある雪の夜、偶然でくわした彼と熱いキスを交わしてしまう。 K・ブースは大都会を舞台にしたセクシーな作品で人気急上昇中の作家。本作では、日本デビューを飾った『愛と裏切りの婚約指輪』でヒーローの妹として顔を見せていたシャーロットがヒロインを務めます。不動産王の子供を予期せず身ごもった彼女の運命は?
フラッシュは生活費のために溶接というきつい仕事をこなしながら、2年前から副社長のイアンに片想いをしていた。富と権力に恵まれた彼は、大学も出ていない私の手の届く人じゃない。たとえ半年前、二人で夢のような一夜を過ごしていたとしてもだ。その証拠にイアンは翌日、てのひらを返すように私をあっさり捨てた。パーティの夜、背伸びしてドレスを身にまとい、彼に会いに行ったら、入口で警備員に追い返された屈辱は、いまも忘れられない。耐えきれなくなったフラッシュは、ついに会社を辞めると彼に告げた。するとこれまで無関心だったイアンから、突然自宅へ招待される。最後に私をもてあそぶ気?それでも彼女の心は自然と浮き立って…。
「あなたの身代わりとなって、見知らぬ人と結婚しろというの?」双子の妹からの頼みに、アリッサは仰天した。相手は石油富豪、セルゲイ・アントーノヴィッチ。彼が期間限定の花嫁を求めていると知った妹は、高学歴の姉の名をかたって応募したところ、首尾よく面接を通り、すでに多額の契約金も受け取ったらしい。だが、妊娠中だから、アリッサに代役を頼みたいというのだ。「これで、お母さんは家や店を手放さなくてすむわ」母を助けるため、契約金にもう手をつけたと聞き、アリッサは観念した。その契約には“子をもうける”という条項があるとも知らずに…。
4年前、父の客として訪れたギリシア富豪ニコスにソフィーは恋をした。だが結ばれた直後、ニコスは理由も告げずにアテネへ発ったのだ。その日からソフィーの人生は暗転し、地獄の日々が続いている。ある日、仕事で指定されたホテルに行くと、なんとニコスが現れた。「あんないかがわしいパーティで何をしていた?」まさか…数日前の仕事先に彼がいたなんて!ソフィーはうなだれ、説明した。父の莫大な借金を返すため、仕方なくしている仕事だと。ソフィーの窮状を知るや、ニコスは借金の肩代わりを申し出た。ただし交換条件は、彼の別荘に滞在することー。
6年前、19歳の看護師オリビアは、恋人だった年上の医師マーカスを深く愛しながらも別れを告げた。彼の心が別の女性にあると知ったから。いまだ傷の癒えないオリビアのもとにある日、マーカスが事故に遭ったという報せが入る。会いに来てほしいと言う彼の娘の懇願に病院に駆けつけると、そこには、視力を失い、心を閉ざしたマーカスの変わり果てた姿が。以前の彼に戻ってほしい!オリビアはマーカスへの愛を痛感し、彼の個人看護師になる決意をした。声を聞いても、彼は私だと気づかなかったけれど…。
秘書のクロエは、名家出身のイタリア人実業家の上司、 ロレンツォ・バレンテにひそかに思いを寄せてきた。 億万長者である彼にプロポーズされるとは夢にも思わなかったので、 今日、ベネチアの教会で結婚式を挙げた幸せに身を震わせた。 ところがその夜、クロエが愛の言葉を口にしたとたん、 ロレンツォは激怒して言ったのだ。「この世に愛など存在しない」 良い妻になりそうな彼女をあくまで理性的に選んだだけだと。 クロエは絶望のあまり、彼の瀟洒な邸宅から逃げ出したーー。 3カ月後、イギリスの小さな村で暮らすクロエの前に、 険しい表情を浮かべたロレンツォが姿を現し……。 “愛を欲しがるのは愚か者だけ”--そう信じて疑わない冷酷なボスに恋してしまった純真な秘書。報われぬ想いのゆくえは……? セクシーで波瀾万丈な、愛なき結婚物語!
トニーは高校時代の友人の訃報を受け、急遽故郷に戻った。友人はミリセントという悪女のせいで、自殺に追い込まれたという。猛烈な怒りに駆られたトニーは、弔問に現れたミリセントを罵倒し、憤怒の形相で詰め寄った。とたんに彼女の顔は青ざめ…(『指輪はイブの日に』)。3人の子供に手を焼く実業家ニックの屋敷に派遣された、天使のベス。子守をすることが使命だと思ったが、ひどく不幸せそうな彼を見て、自分は彼の心を救うために天上から遣わされたと気づく。ベスはニックの心に人間らしい感情をよみがえらせるが、いつしか彼に恋をしてしまう(『地上に降りた天使』)。5年前、ヘレナは憧れの子爵カールトンと結婚したが、翌朝夫は失踪した。その後妊娠がわかり、夫の家族に財産目当てと冷遇されながらも懸命に息子を育ててきた。ある日、みすぼらしい姿の男が現れ、ヘレナの前で倒れる。それは死んだと思っていた夫だった!(『帰ってきた子爵』)。アリーはクリスマス休暇を過ごすため、スペインのピレネー山脈にやってきた。宿泊先のホテルで出会ったのは、巨大ホテルチェーンの経営責任者デス。女性不信に陥っているデスは、アリーに対して何かと不機嫌な態度をとった。ところが彼女の暗い秘密を知るや…(『アリーの秘密』)。
2年前の出逢いで、ヘレンは大富豪カルロの虜になった。魅力があるぶん、何かがあるだろうとはわかっていたが、惹かれる心をとめられなかった。彼の素性を知るまでは。カルロはかつて、婚約者をヘレンの父親に奪われていたのだ。自分が仇の娘だと知っては、この恋を諦めるしかなかった。その父と継母も今は亡く、そんなときにヘレンの前に現れるー暗く熱を孕む目をしたカルロが。そして吐き捨てるように言った。「君の父親に奪われたものを、君から僕は奪う」カルロの復讐ーそれは結婚し、ヘレンを妊娠させること…。
美しく狡猾な姉に虐げられ続け、幸福すらテッサは奪われた。焦がれていたギリシア人富豪ポールと、姉は婚約したばかりか、テッサの恋心を「気味が悪い」と嘲笑ったのだ。骨の髄まで恥辱を味わわされたテッサは、耐えきれずに家を出た。2年後ー帰郷したテッサはあまりに残酷な現実を知らされる。ポールが火傷を負い失明したというのだ。しかも姉は彼を捨てた。身代わりでいい。側にいられさえすれば。一途な想いを貫くため、テッサはいまも姉を待つポールが住む、キブロス島へと向かった。姉のふりをして。そして…彼の妻になった。
病で倒れた父の負債を肩代わりしてもらうため、 18歳のリサは、年上の大富豪ジャレットとの結婚を受け入れた。 5年間、彼の幼い娘の面倒をみるという条件付きで。 肉体関係は要求しない約束だったのに、当然だろうとばかりに ジャレットは、まだ何も知らないリサの体を求めてくる。 強引で執拗な愛の行為に夜な夜な翻弄されながらも、 その甘さに目覚め、リサはどうしようもなく夫に惹かれていく。 それなのに、「愛情は二の次だ。これは欲望の処理にすぎない」 平然とそう言い放つ夫に、無垢な心は砕け散って……。