小説むすび | 2018年11月発売

2018年11月発売

クリスマス・セレクション イブの告白クリスマス・セレクション イブの告白

トニーは高校時代の友人の訃報を受け、急遽故郷に戻った。友人はミリセントという悪女のせいで、自殺に追い込まれたという。猛烈な怒りに駆られたトニーは、弔問に現れたミリセントを罵倒し、憤怒の形相で詰め寄った。とたんに彼女の顔は青ざめ…(『指輪はイブの日に』)。3人の子供に手を焼く実業家ニックの屋敷に派遣された、天使のベス。子守をすることが使命だと思ったが、ひどく不幸せそうな彼を見て、自分は彼の心を救うために天上から遣わされたと気づく。ベスはニックの心に人間らしい感情をよみがえらせるが、いつしか彼に恋をしてしまう(『地上に降りた天使』)。5年前、ヘレナは憧れの子爵カールトンと結婚したが、翌朝夫は失踪した。その後妊娠がわかり、夫の家族に財産目当てと冷遇されながらも懸命に息子を育ててきた。ある日、みすぼらしい姿の男が現れ、ヘレナの前で倒れる。それは死んだと思っていた夫だった!(『帰ってきた子爵』)。アリーはクリスマス休暇を過ごすため、スペインのピレネー山脈にやってきた。宿泊先のホテルで出会ったのは、巨大ホテルチェーンの経営責任者デス。女性不信に陥っているデスは、アリーに対して何かと不機嫌な態度をとった。ところが彼女の暗い秘密を知るや…(『アリーの秘密』)。

花折花折

出版社

集英社

発売日

2018年11月26日 発売

“悪王女"鮎子が生きることの意味を探す、究極の純愛小説。 画家を父に持つ鮎子は、逆子だったため帝王切開で生まれた。一度お腹を開くと次から自然分娩はできない。出産が一番の快楽だという母は、それを奪われたとして鮎子を責めた。 両親の画才を受け継いだ鮎子は東京藝術大学に進学し、京都から上京する。ある日、藝大の裏山でイボテンと名乗る男と出会い、ひょんなことから関係を持つことに。それ以後、四六時中、セックスばかりの毎日を送るようになる。そんななか、夏休みに帰省することを告げた鮎子を、イボテンさんは殴って出ていった。 鮎子は、実家で小説家の我謝さんと会い、彼の故郷である沖縄で共に夏を過ごす。そして大学に戻ったとき、イボテンさんが自殺したことを知った。突然の“不在"に足元から崩れ落ちるような感覚に陥る鮎子。 こっそり忍び込んだ彼の家には、キャンパスに描かれた裸の鮎子が残されており、なぜだかその絵に釘づけになってしまう。そして鮎子は思いもよらずその絵を盗み出す。 イボテンさんの存在の大きさと絵を描くことの本質に行き当たり、ひたすら絵を描くようになった鮎子は、ついに自分だけのモチーフを見つけることに……。 若い女性芸術家の視点で描く、濃厚でみずみずしい長編小説。 【著者略歴】 1955年東京生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。98年『皆月』で吉川英治文学新人賞を、『ゲルマニウムの夜』で芥川賞をそれぞれ受賞。2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞受賞。『眠り猫』『なで肩の狐』『鬱』『二進法の犬』『百万遍 青の時代』『私の庭 浅草篇』『たびを』『愛情』『錏娥哢た』『少年曲馬団』『ワルツ』など著書多数。

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