小説むすび | 2018年12月14日発売

2018年12月14日発売

贖罪の街(上)贖罪の街(上)

ボッシュはDROP(定年延長選択制度)の任期半ばでのロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のミッキー・ハラーを代理人に立て、ロス市警への異議申立ての訴訟をおこなっているが、それ以外は、引退後の念願だった、古いバイクのレストアを老後の楽しみにしようとしていた。  ところがハラーから呼び出され、子飼いの調査員が怪我をして入院しているため、いま抱えている殺人事件弁護の調査員になってくれないか、と頼まれる。  前作The Burning Roomにひきつづき、ボッシュ物。前作以上に迫力溢れる傑作に仕上がっており、サスペンスフルで、まさに抜群のページターナーになっています。  題名のThe Crossingは、「横断」という原意から、ボッシュが、刑事訴追側の立場から、弁護側の立場になったことを、「司法から弁護士側への横断」=「裏切り行為」と見なされることを指している。  ボッシュは、前作のいきさつから、DROP(定年延長選択制度)の任期半ばでのロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のミッキー・ハラーを代理人に立て、ロス市警への異議申立ての訴訟をおこなっているが、それ以外は、引退後の念願だった、古いバイクのレストアを老後の楽しみにしようとしていた。  ところが、ハラーから呼び出され、子飼いの調査員(シスコ)が怪我をして入院しているため、いま抱えている殺人事件弁護の調査員になってくれないか、と頼まれる。  二〇一五年二月に自宅で強姦の上、撲殺された市政担当官補レキシー・パークス(三十八歳)。被害者の体に残された精液(膣内と体表から回収)のDNAが合致したため、事件翌月、容疑者として逮捕されたのは、ハラーの古くからの顧客であり、元はギャングの一員だったが、更生して画家として生計を立てているダカン・フォスター(四十一歳)。  ハラーは、フォスターの無実を確信しており、ボッシュに事件調査の協力を求める。  最初は、刑事弁護士に協力するのは、警察官仲間には裏切り行為と見られることから協力を渋っていたボッシュだが、事件の詳細を知るにつれ、興味を抱き、ハラーの陣営に加わる。

恋と禁忌の述語論理恋と禁忌の述語論理

出版社

講談社

発売日

2018年12月14日 発売

雪山の洋館での殺人。犯人は双子のどちらか。なのにいずれが犯人でも矛盾。この不可解な事件を奇蹟の実在を信じる探偵・上苙丞(うえおろじょう)が見事解決ーーと思いきや、癒やし系天才美人学者の硯(すずり)さんは、その推理を「数理論理学」による検証でひっくり返す!! 他にも個性豊かな名探偵たちが続々登場。名探偵を脅かす推理の検証者、誕生! 大ヒットミステリー『その可能性はすでに考えた』はここから始まった!? それは、「推理」でなく「検証」。 探偵を補完するもう一つの存在・推理の「検証者(ベリファイア)」、見参! 大ヒット『その可能性はすでに考えた』はここから始まった!? 雪山の洋館での殺人。犯人は双子のどちらか。なのにいずれが犯人でも矛盾。 この不可解な事件を奇蹟の実在を信じる探偵・上苙丞(うえおろじょう)が見事解決 ーーと思いきや、癒やし系天才美人学者の硯(すずり)さんは、その推理を「数理論理学」による検証でひっくり返す!! 他にも個性豊かな名探偵たちが続々登場。名探偵を脅かす推理の検証者、誕生! 『その可能性はすでに考えた』『探偵が早すぎる』の 大人気作家・井上真偽のメフィスト賞受賞作、ついに文庫化! レッスン1「スターアニスと命題論理」 レッスン2「クロスノットと述語論理」 レッスン3「トリプレッツと様相論理」 進級試験「恋と禁忌の……?」 巻末資料 解説 佳多山大地

神遊の城神遊の城

著者

赤神諒

出版社

講談社

発売日

2018年12月14日 発売

応仁の乱末期、若き甲賀忍・三郎兵衛は細川京兆家当主暗殺のため京の今出川屋敷に潜入するが、返り討ちに遭い独りで生還する。10年後、足利第九代将軍義尚が、六角家征伐のため大軍を率いて湖南に陣を敷いた。三郎兵衛改め新蔵人は復仇のため、異父妹のお喬らと夜襲をかけるが、将軍に深手を負わせるにとどまる。手練れの武士に強烈な反撃を受けたためだ。新蔵人はお喬の目の前で爆死。お喬はその死を受け入れられず復讐を誓う! 応仁の乱末期、若き甲賀忍・望月三郎兵衛は細川京兆家当主暗殺のため京の今出川屋敷に潜入するが、返り討ちに遭い、行動を共にした相思相愛のくノ一・お詮を失って独りで生還する。10年後、足利第九代将軍義尚が、六角家征伐のため2万の軍勢を率いて湖南の鈎に陣を敷いた。三雲新蔵人に名を改めていた三郎兵衛は復仇のため、異父妹のお喬らと鈎の陣に夜襲をかける。奇襲は当初成功したかに見えたが、将軍に深手を負わせるにとどまる。藤林半四郎という手練れの武士に強烈な反撃を受けたためだ。新蔵人は朋輩を逃がすためにお喬の目の前で爆死。異父兄に恋心を抱いていたお喬は、その死を受け入れられず復讐を誓う!

緑と楯 ハイスクール・デイズ緑と楯 ハイスクール・デイズ

卒業まで関わりたくなかったはずの人間が、いつのまにか、毎日会いたい人になるなんて! 未来浅草高校に通う兼古緑(かねこみどり)と荻原楯(おぎはらたて)。学年や男女の垣根を超えて多くのファンを持つ楯と、緑は高校二年で同じクラスになるが、楯に対していけすかない印象を持つ。それは、彼の周りには常に誰かがいて、愛されるのが当然のような存在だから。彼を見ていると自分の劣等感を刺激するので、なるべく距離を置くようにしていた。そして持ち上がりで三年になったのだが、ある日、長期病欠していた楯の家に担任の使いで訪れることになり、いやいやながら向かった緑なのだがーー。 未来東京に生きる二人の男子高校生の、じれったいほど凸凹で、照れくさくなるほどピュアな恋の軌跡。 ーーカバーイラスト 紀伊カンナーー 【著者略歴】 雪舟えま(ゆきふね・えま) 1974年札幌市生まれ、帯広市在住。作家、歌人。歌集に『たんぽるぽる』『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』、小説に『タラチネ・ドリーム・マイン』『バージンパンケーキ国分寺』『プラトニック・プラネッツ』『幸せになりやがれ』『恋シタイヨウ系』『凍土二人行黒スープ付き』『パラダイスィー8』『ナニュークたちの星座』、現代語訳書に『BLセレクション1 竹取物語 伊勢物語』がある。

あなたの愛人の名前はあなたの愛人の名前は

出版社

集英社

発売日

2018年12月14日 発売

直木賞受賞第一作! すれ違う大人の恋愛を繊細に描く、全六篇の作品集。 「あなたは知らない」……私を「きちんと」愛してくれる婚約者が帰ってくる前に、浅野さんと無理やり身体を離して自宅までタクシーでとばす夜明け。ただひたすらに「この人」が欲しいなんて、これまでの人生で経験したことがない。 「俺だけが知らない」……月に一、二回会う関係の瞳さんは、家に男の人がいる。絶対に俺を傷つけない、優しく笑うだけの彼女を前にすると、女の人はどれくらい浮気相手に優しいものなのか、思考がとまる。 同じ部屋で同じ時を過ごしていながら、絶望的なまでに違う二人の心をそれぞれの視点から描いた1対の作品。他の収録作品に「足跡」「蛇猫奇譚」「氷の夜に」「あなたの愛人の名前は」など。 【著者略歴】 島本理生(しまもと・りお) 1983年生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。2018年『ファーストラヴ』で第159回直木三十五賞受賞。『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『よだかの片想い』『イノセント』『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』など著書多数。

本と鍵の季節本と鍵の季節

出版社

集英社

発売日

2018年12月14日 発売

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。 そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。 放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。 爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕! 【著者プロフィール】 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ) 1978年岐阜県生まれ。大学卒業後、書店員勤務の傍ら小説を執筆。 2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門) 奨励賞を受賞してデビュー。『氷菓』をはじめとする古典部シリーズはアニメ化、漫画化、実写映画化され、ベストセラーに。 2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。 2014年『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。 『満願』と2015年刊行の『王とサーカス』はそれぞれ三つの年間ミステリランキングで1位に輝き、史上初の2年連続3冠を達成した。

わが夫(つま) 啄木わが夫(つま) 啄木

著者

鳥越碧

出版社

文藝春秋

発売日

2018年12月14日 発売

石川啄木の死の1年後、同じ肺結核で死の床にある妻の節子の回想で始まる小説で、全編を節子の視点で描き、二人の錯綜した愛を掘り下げます。互いに14歳のときに出会い、結婚し、故郷を追われて漂泊し、貧窮の中で生きた二人。27歳で若き命を散らす啄木の生涯に重ねて、節子の救われ難く見える一生にスポットライトを当て、その心情に寄り添います。これまで節子は、世に埋もれた天才歌人を支え続けた健気な妻と言われてきましたが、果たしてそれが本当の節子の姿だったのだろうか、という思いが作者・鳥越碧さんの執筆動機です。確かに節子は、結婚後も短期間しか一緒に暮らせず、啄木からの仕送りもわずかで、彼の母らと共に貧乏のどん底に突き落とされます。啄木が釧路に単身赴任して芸者とわりない仲になったときには、煩悶し嫉妬もします。ようやく東京で同居できるようになったときも、すさまじい嫁姑の諍いを起こし、社会主義へと走る夫からも取り残され、孤独感をつのらせます。ついには、極貧の中、自ら結核を患います。しかし、明治という時代に、初恋を貫き、親の反対を押し切って夢を追う無職の夫に嫁いだ節子です。自分の意志をしっかり持った女性であったに違いありません。そうであればこそ、姑とも激しく対峙し、親身になって相談にのってくれる夫の親友、宮崎郁雨に揺れる心をも制御できたのではないか。夫婦に溝が生じ、愛が冷めたかのように思えたときも、夫の看病を通じて静かに心を通わせることができたのではないか。たとえ世間的には不幸に見えたとしても、彼女にとってはキラキラとした誇らしい一生だったのではないか、というのが作者の節子への思いです。死の床で節子は一生を振り返ります。そして、最後に頷きます。後悔はしていない、誰でもない自分の意志で、己の一生を生き切ったのだからと。『雁金屋草紙』で第1回時代小説大賞を受賞した作者の、究極の愛を描く渾身の力作です。

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