2018年12月発売
邪恋と功名心に駆られ、北極点を目指すアダム。だが、何処からか毒の雲が立ち昇り、地上の動物は死に絶えた。ひとり死を免れたアダムは、孤独と闘いつつ世界中を旅する。生存者を求めてー。異端の作家が狂熱を込めて物語る、世界の終焉と、新たな始まり。
「これが小林くんの最初の画ね」。なにも描かれていない真っ白なキャンバスを眼の前に、「せんせい」は小林青年にこう言った。恋心をよせていた音楽のせんせい。そのヌードを描く絶好の機会を得た小林青年であったが、初めて手にした油絵の具では、眼の前に横たわる輝くばかりの裸体をキャンバスに移しとることができなかった…。ひとりの青年が、画と出会い、画家として成長していく姿を、自伝小説の形式で語るビルディングスロマン3部作の第1作。
明治の初め、日本に正則英語を学べる男女共学の学校が設立された。その名を「共立学校」という。現在、東京大学合格者数で日本一を誇り、政官財学をはじめ、各界に人材を送り出している「開成学園」の前身である。近代化へと大きく舵を切り始めた幕末、遣米・遣欧それぞれの使節団に加わり、世界一周を経て、「人の仕立て方」こそが国を創ると予見した男がいた。佐野鼎ー。これは、近代日本に新しい教育の礎を築き、後の世に数多の逸材を輩出することになる、一人の男の物語である。
舞台は三浦半島の小さな産婦人科医院。主人公の医師・野辺地貞春の下では、不妊治療や出産、中絶と、さまざまに行き交う人々の喜びや苦悩が日々交錯している。なかでも中絶手術は、戦後、患者が公に語ることなく行われてきた大規模な水面下医療であった。産婦人科医は生命の誕生に立ち会い、そして同時に中絶という形で一つの命を消し去るという、特異な職業である。その日々の現場を綿密な取材に基づき、淡々と描くケーススタディは圧倒的なリアルさで、小説という概念を超える。生命の尊厳を鋭く問うた“衝撃の問題作”上巻。
両親が起こした火事で、ひとり生き残った幸子。子供たちを乗せた車で海に飛び込み、生き残ってしまったシングルマザーの雪絵。宿命的な出会いによって、二人の女性の人生が動き出す。“加害者”と“被害者”の思いが交錯した時、衝撃の真実が明らかになる!!慟哭のミステリー。
才色兼備の姉と正反対の妹。美しい姉は、母の死、恋人との別離から拒食症になる。しかしその後、すさまじいほどの過食に走り、恐ろしく太り始める。父が亡くなってからは自室にこもり、一日中食べ続ける毎日。かつての面影はどこにも見られなくなった姉の世話をする妹に、様々な感情が生まれるー(「贅肉」)。平凡な人間の、ほんの少しの心の揺らぎが、加害者や被害者になったりする。そんな日常に潜む恐怖を描く傑作サスペンス集!
婚活パーティで出会った独身三十代女子四人組。仕事や性格はそれぞれ違えど、婚活市場で闘う戦友として意気投合し、女子会という名の反省会を開いては出会った男の愚痴を言い合ったり互いの恋愛にダメ出しをしている。恋に臆病なメーコ、性に奔放すぎるカワイ、恋愛経験がまったくないサモさん、バリキャリで隙を見せない成田屋ー互いの欠点は分かっても自分の婚活はうまくいかない。本当に欲しいものは果たして結婚への切符なのか?婚活や恋愛でもがくすべての女性に贈る大人の青春小説!悩める女子へ贈る共感必至の婚活奮闘記。
「世界で一つ、大切な時計をお作りします」-親の転勤で京都に引っ越してきた高校生の江野崎菜奈は、祇園の白川通りで一軒の時計屋を見つけた。レトロな時計がところ狭しと並ぶ「白川時計屋」の時計師・白川幸也は、街に不慣れな菜奈を何かと気にかけてくれる。ある日、菜奈は目の前で起きた事故をきっかけに、幸也に特殊な能力があることを知るー「大丈夫、大切なことは“時間屋さん”が教えてくれる」…時を操る力を持つ“時間屋”をめぐる、奇跡の物語。
アフリカ帰りの医師・和戸一郎は、札幌にある『ホームズ超常科学研究所』所長の河邊鐵臣の助手をやることになった。眉目秀麗な青年実業家の河邊が、なんで超常現象でホームズ?実はある事故をきっかけに、河邊には16歳のオカルト大好き少女の魂が乗り移っていた!?河邊の意識が戻るのは一日15分。河邊の身体に起こった謎を解くために、ホームズ&和戸さん(ワトソン)は、北海道で起こる怪事件に挑む!
たぬきときつねが人に化けて暮らす京都。たぬきの依頼を受けた静は、神様の着物修繕を請け負うきつねの呉服店へ潜入することに。修繕を通して神様の悩みを解決するうちに、静が引きずっていた過去のトラウマも徐々に癒えていくがー。ご縁や想いを紡ぎ直す、ハートフルストーリー。
長崎へと辿り着いた坂崎空也は、島巡りで出会った長崎会所の高木麻衣と奉行所の鵜飼寅吉と再会した。そして、長崎奉行松平石見守の命により「大坂中也」という偽名を名乗り武者修行を続けることになる。一方、江戸では薬丸新蔵が野村刀流の道場を開いたのだが…。累計2000万部を突破した「居眠り磐音 江戸双紙」に続く新たな物語。緊迫の五番勝負!
長崎で武者修行を続ける坂崎空也のもとに、想いを寄せる薩摩の渋谷眉月が訪れる。平穏に武者修行を続ける空也だったが、恨みを抱く東郷示現流酒匂一派の影が迫っていた。同じ頃、薩摩藩の江戸家老から呼び出しを受けた薬丸新蔵は、初めて江戸藩邸に出向くが…。空也と新蔵の二人と酒匂一派の因縁は決着の時を迎え、青春篇いよいよ完結!
南町奉行所与力・荒俣土岐之助を突如、頭巾の侍が襲った。辛くも難を逃れた土岐之助は、襲撃者をかつて“人頭税導入”に絡んで因縁が生じた、前南町奉行・朝山越前守と見て取った。配下の同心・樺山富士太郎と女丈夫の奥方・菫子の奮闘が始まる!大好評シリーズ、待望の第43弾!
貴船屋の企てを退け、無事お琴たちとの再会を果たした左近。浜屋敷のそばでお琴が三島屋を再開するなど、新たな日々がはじまるなか、権八夫婦の暮らす長屋に仇討ちの若い兄妹が転がり込んでくる。仇捜しに江戸中を奔走し疲弊している様子の兄、戸川亀彦を案じた左近は助力を申し出るが、亀彦が捜す仇とは、左近もよく知る人物だったー。葵一刀流が悪を斬る!大人気時代小説シリーズ、絶好調第二弾!!
ミラノ地下鉄の工事現場で見つかった地獄への扉。地獄界の調査に訪れたジャーナリストが見たものは、一見すると現実のミラノとなんら変わらないような町だったが…。美しくサディスティックな女悪魔が案内役をつとめ、ジャーナリストでもあるブッツァーティ自身が語り手兼主人公となる「現代の地獄への旅」、神々しい静寂と詩情に満ちた夜の庭でくり広げられる生き物たちの死の狂宴「甘美な夜」、小悪魔的な若い娘への愛の虜になった中年男の哀しく恐ろしい運命を描いた「キルケー」など、日常世界の裂け目から立ち現れる幻想領域へ読者をいざなう15篇。
ボストン郊外の静かな夕暮れ、チャールズ川沿いに自転車を走らせていた、23歳のエリサ・ヴァンダースティールの死体があたかも雷に打たれたかのような状態で発見された。検屍局長ケイ・スカーペッタはこれが神の偶然の行為ではないことを事件現場で直観し、何の痕跡もない謎の感電死の真相に迫ろうとする!
匿名サイバーテロリストから奇妙な詩が届き、事件は複雑な様相を呈し始める。その脅迫メッセージは止まらず、調査を進めるケイとその周辺にもいよいよ危険な気配が漂い出す。天才ハッカー・姪のルーシーに助けを求めるが、元FBIのサイコパスで、邪悪かつ凶悪な宿敵、キャリーの影がまた再び忍び寄ってくる。