2018年7月20日発売
老中・水野忠邦による天保の改革から二十年。黒船来航以降、恐慌を来す江戸の町を、勤王の志士を騙る剣呑な浪人たちが跋扈するようになっていた。さらにその黒幕には、薩摩藩の巨魁の影が…。失われた秩序を取り戻すべく、我らが榊扇太郎が江戸の顔役たちとともに立ち上がる!「闕所物奉行 裏帳合」シリーズに連なる、待望の文庫書き下ろし。
了潤が主命により張り込んでいた男が、一心不乱に書き上げた手記には「秘めおくべし」の表書きが…。手記を奪おうとする二人の侍や毒矢を用いて彼らを襲う正体不明の隠密。さらに、町奉行所同心の変死体が発見されて…。謎を呼ぶ男の手記に誘われるように、了潤たち忍び組は蝦夷地へと旅立つ。
レイテ島の土はその声を聞こうとする者には聞える声で、語り続けているのであるー八万の兵力を投じながら、生還者は僅かに二五〇〇人。太平洋戦争最悪の戦場を鎮魂の祈りを込めて描きつくす。巻末に「連載後記」、エッセイ「『レイテ戦記』を直す」を付す。
「あの日」から四年。青葉木菟の啼き声や合歓の香り、月の満ち欠け。移りゆく自然とめぐり来る季節が、さりげなく前を向かせてくれるー。東北地方に住む作家の早瀬と染色家の柚子、夫婦のある一年を描く。
永井荷風は大正九年五月、東京・麻布市兵衛町に居を移し、以来、洋館「偏奇館」に二十五年暮らした。本書は彼の地で執筆した短篇小説「雨瀟瀟」「雪解」、随筆「花火」「偏奇館漫録」「隠居のこごと」など全十四編を収める。抒情的散文の美しさを伝える作品集。「自選荷風百句」を併録する。
みんなの人気犬ゴールデン・レトリーバーのタミーが、悪徳業者にさらわれた!救出のため、ネズミのタータとチッチをはじめとする大小7匹の動物混成部隊が東京横断の旅へ。フリスビーで川を下り、マンションのベランダからダイブし…人間の目を掠めながらの捜索は前途多難。『川の光2 タミーを救え!』を上下巻に分冊。
渋谷のスクランブル交差点でバラバラになってしまった救出チーム。ある者は地下ギャングと闘い、ある者は病に倒れ、それでも謎の「タワー」を目指し必死の旅を続ける。果たして7匹は、再び集結し、囚われのタミーを見つけ出すことができるのか?彼らに残されたのは、互いへの信頼だけ。『川の光2 タミーを救え!』を上下巻に分冊。
二十年前に発生した殺人事件の真犯人と名乗る男が現れた。だが、当時捕まった男は十五年の刑期を終えて出所している。調査を進める弁護士の元には、冤罪の証拠が続々積み上がる(「殺意のまつり」)。どんでん返しの連続に巧緻なトリック。「女王」の片鱗をすでに発揮した初期傑作が一堂に!
横浜市郊外のごくふつうの家庭で育ち女子大に進学した神立美咲。渋谷区広尾の申し分のない環境で育ち、東京大学理科1類に進学した竹内つばさ。ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはずだった。渦巻く人々の妬み、劣等感、格差意識。そして事件は起こった…。これは彼女と彼らの、そして私たちの物語である。
母子家庭で育った聖太郎と、大宮製菓の御曹司・光博は、共通の趣味であるお菓子作りを通して親友となる。ある日、聖太郎は光博から、幼馴染みが出場するというピアノコンクールに誘われ、凛々花を紹介される。凛々花のピアニストとしての才能と、奔放な性格に惹かれてゆく聖太郎。光博や凛々花との貧富の差も、なぜだか気になり始める。そして、些細な出来事をきっかけに、ふたりは疎遠となってしまう。月日は流れ、大人になったふたりは、それぞれの道を歩み出し、聖太郎はショコラティエとして類い稀なる才能を発揮していくが…。
マスター、工藤、山内のヤクドシトリオと、酔えば酔うほど推理の冴える桜川東子さんに、アルバイト店員(でも店での立場はマスターより上)のいるかちゃん。最近顔を出すようになった警視庁捜査一課の刑事に、「推理的中率一〇〇%」を自称するイケメン映写技師も加わって、今夜も酩酊推理は過熱中!しかし、変化の兆しが…。
鋭い直感とすぐれた決断力に定評がある弁護士・阿礼沙英子。でも、沖縄独特の方言と因習、ささやかな嘘や隠し事に、今日もやや苦戦中。彼女を尊敬してやまない、方言通訳担当の事務員・大城が、意外な人脈と行動力で、縺れたトラブルを解く手がかりを見つけ出す!
電車を乗り間違え、見知らぬ町に降り立った島本。部下の矢崎は「すぐに離れたほうがいいですよ。ここは漠市です」と訳のわからぬことを言う。しかし先を急ぐ島本は、漠市を通り抜け、取引先へ向かう。するとその後、次々と幸運が舞いこみだした。大きな仕事が決まったり、会社のマドンナに声をかけられたり…。上機嫌で家に帰れば、玄関の前に元カノののぞみが座りこんでいる。復縁かと喜んだ島本はのぞみを家に泊めるが、のぞみは一言もしゃべらず、精気もない。そして翌日、のぞみを家に残したまま出社した島本がバッタリ出会ったのは、本物ののぞみ。では、家にいるあの女は誰なのかー。いや、何なのかー。
巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず、一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展しー警察内から裏切りと揶揄される不破の運命は、そしてストーカー事件の思いもよらぬ真相とはー大阪地検一級検事・不破俊太郎。孤立上等、抜き身の刀、完全無欠の司法マシンが、大阪府警の暗部を暴く!
「親しき仲にもスキャンダル」を信条とし、取材対象者へ独特の感性で切り込み数々のスクープを抜きまくってきた伝説の週刊誌記者が、女性宅への不法侵入と窃盗の容疑で逮捕された。窃盗容疑は否認するなか、取り調べ中に語った「友を待つ」という一言の真意とはなんなのか?その言葉の意味と彼の行動の目的を調べ始めた後輩記者たちは、十年前のある官僚との因縁に原因があることに気づくー。
大学に犯罪学の講師として招かれたエラリーが、その日起きたばかりの殺人事件について三人の学生と推理を競う「アフリカ旅商人の冒険」を劈頭に、「一ペニー黒切手の冒険」「七匹の黒猫の冒険」「いかれたお茶会の冒険」など、多くの傑作を集めた巨匠クイーンの記念すべき第一短編集。名探偵による謎解きを満喫させる本格ミステリ全11編に加え、初刊時の序文を収録した完全版。
レマン湖のほとりに建つ館で育った血の繋がらない六人姉妹の次女アリーは、フルート奏者にして、ヨット選手。父が死んだという知らせを聞いたとき、アリーは最愛の人と共に、地中海の島に停泊中のヨット上にいた。だがアリーはその前日、父のヨットを目撃したばかりだったのだ。悲しみをこらえ、前に進もうとするアリーにさらなる悲劇が。世界的ベストセラー作家のシリーズ第二弾。