2018年7月発売
アイスランド最北の小さな町シグルフィヨルズル。日が昇らぬ極夜の季節が近づいたある朝、アリ=ソウルに一本の電話が入る。署長ヘルヨウルフルの妻からで、夫の行方が分からないという。アリ=ソウルは、町はずれの空き家で瀕死の重傷を負って倒れている署長を発見する。そして署長の息子から、事件現場で父親が何をしていたかを知っていると聞く。空き家ではドラッグが売買され、それに政治家が絡んでいる可能性もあるという。空き家は五十年ほど前、住んでいた双子の一人が死んだ場所でもあった。十四か国で翻訳された北欧ミステリの人気シリーズ第二弾!
ジュラシック・ワールドの崩壊から3年。恐竜たちが支配するあの島に、火山噴火という危機的状況が迫っていた。このままでは地上最後の恐竜たちが絶滅してしまう。財団の支援を受け恐竜保護に立ち上がったクレアとオーウェンは、再び悪夢の島を訪れ、高い知能と社会性を併せ持つラプトル唯一の生き残り、ブルー救出に乗り出す。だが、クレアとオーウェンを担ぎ出した財団には別の目的があった。それは完璧な戦闘能力を備えた最強兵器としての新種開発。シリーズ最多の恐竜が襲い来るなか、絶体絶命の攻防戦が繰り広げられる。手に汗握るダイナソーパニックの決定版。
おたふく顔、東北出身の三十二歳。原之内菊子には特殊な力がある。その顔を見た者は、隠していた本音を洗いざらい話したくなるのだ。崖っぷち編プロ「三巴企画」の戸部社長は、菊子の才能に惚れ込み、インタビュアーとして採用する。頷いているだけで次々に特ダネを取ってくる菊子だが、ヤクザの組長の取材をして、とんでもない事件に巻き込まれてしまう。“話され症”に悩んできた菊子は、自分の能力に大きな秘密があることを知りー!?他人と簡単に繋がれる今、実は難しい“話す・聞く”ことに光を当て、人と人の関係を描いた心温まる傑作。
ドラッグストアで働く藤子は、優秀な成績を認められて長崎中華街近くの店舗へと配属される。張り切る藤子だが、売り上げのプレッシャーにさらされ、スタッフの人間関係に翻弄され、心労がたまって、もはやダウン寸前!道端でうずくまる藤子を助けてくれたのは、華やかな中国服を着た“わんこ系美青年”だった。中華街の「薬屋カフェ」で働いている彼は、いまの藤子に必要なものがぎゅっとつまった中華菓子を勧めてくれる。彼の薬膳知識と人懐こい笑顔に、藤子の心は癒されてー。お疲れならば、長崎中華街へ!働く女子の心と体にうれしい、甘味と恋の物語。
警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、メモ魔の窓際刑事。同期の木幡祐治に依頼され、身元不明相談室に所蔵されている死者のリストに目を通すうち、自殺とされたナンバー903の男が他殺だったことを看破する。二年前に死体が発見された都内竹の塚団地を訪れた田川と木幡は、室内の浴槽と受け皿のわずかな隙間から『新城も』『780816』と書かれたメモを発見。903の男は、沖縄県宮古島出身の派遣労働者・仲野定文と判明した。仲野は福岡の高専を優秀な成績で卒業しながら派遣労働者となり、日本中を転々としていた…。大ヒット作『震える牛』続編!
二年前、都内団地の一室で自殺に偽装して殺害された沖縄県宮古島出身の非正規労働者・仲野定文。警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、仲野が勤務していた三重県亀山市、岐阜県美濃加茂市を訪れる。そこで田川が目にしたのは、国際競争に取り残され、島国で独自の進化を遂げる国内主要産業の実態だった。仲野は、過酷な労働環境の中でも常に明るく、ふさぎがちな仲間を励ましていたという。田川は仲野殺害の背景に、非正規の人材を部品扱いする大企業と人材派遣会社の欺瞞があることに気づく。現代日本の不都合な真実を暴き出す危険きわまりないミステリー!
ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年ー。大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。量産を約束したはずの取引はあえなく打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。そんな時、社長・佃航平のもとに、かつての部下からある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。ロケットから人体へー。佃製作所の新たな挑戦が始まった!
多魔坂神社のお祭りの夜、集うのは妖しの屋台と奇妙な人々…。欲しいと念じたものが出てくるヒモくじ屋。現れたゴロツキどもが引いたヒモの先には(「ヒモくじ屋」)、夜店ですくった人魚がみるみるうちに成長して(「人魚すくい」)、モデルにスカウトされたエリカが突然行方不明に(「ラムネーゼ」)、降り注ぐ優しい雨を、自分のものにする方法(「雨ドーム」)他、珠玉のショートショート全20編。いちどページを開いたら止まらない!わずか5分間の物語が、あなたを魅惑と幻想の世界へと誘います。巻末には、しりあがり寿さん描き下ろし「あとがきの夜」も特別収録。
豊臣秀吉の朝鮮出兵により侵略の風が吹き荒れる東アジアを、三つの視点から克明に綴る。“島津”戦を厭いながらも、戦のなかでしか生きられない侍大将。“朝鮮国”被差別民でありながら、儒学を修めたいと願う青年。“琉球国”自国を愛し、「誠を尽くす」ことを信条に任務につく官人。松本清張賞受賞作。
1980年から現代の日本へ、記憶の円盤に乗って時間の旅!日本の人口減少と超高齢化社会を予言したあの『なんクリ』から33年ー大学生だった彼女たちは、いま50代になった。ある夏の日、自分の小説のモデルだった由利と再会したヤスオは、ふたたび恋に落ちる…日本社会の未来を透視する438の“註”に加え「文庫本化に際しての、ひとつの新たな長い註」を書き下ろし。
妻の美奈子が突然事故で亡くなった。夫の希久夫にホンダの名車「エスハチ」が遺されるが、カーナビから不可思議な走行履歴が見つかる。藤沢、松本、尾道、モナコ…履歴をめぐる旅に出た希久夫に、美奈子が残した最期のメッセージとは?往年の名女優、伝説のエンジニアの人生と交錯したはてに感動のラストが待っている。
セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長篇。