2018年発売
「…り…に、毒を」被害者は奇妙な言葉を遺して死んだ。毒物の正体は不明。親戚にあたる星祭家では独特な七夕祭を執り行っており、異様な事件が連続する。“毒草師”御名形史紋らは、京都に乗り込んだ。和歌に織り込まれた言霊を手掛かりに、笹・砂々・金・星の言葉を読み換え見えてくる禍々しい真相、日本人を縛る千三百年の呪。「七夕」に隠された歴史を明察する傑作民俗学ミステリー。
つまんない子、いつもそう言われてきた──。灯は飲み会も女子会もNG、とにかく他人と食事を共にすることができない「会食不全症候群」。この性分のせいで職を変え、恋にも無縁。けれど仕事で知り合った蝦名から夕食に誘われて……。食べることは生きること。「食」に憂鬱を抱えた6 人が、ユニークでタフな方法で、悩みに立ち向かってゆく。つい頑張ってしまう人に贈る、幸せごはん小説!
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレータ -八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス!
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生の杏奈。そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった。夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれてー。大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。
掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを──。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。
おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティ -と、絵が得意でやせっぽちの麦くん。クラスの人気者ではないけれど、悩みも寂しさもふたりで分けあうとなぜか笑顔に変わる、彼らは最強の友だちコンビだ。麦くんをくぎ付けにした、大きな目に水色まぶたのサンドイッチ売り場の女の人や、ヘガティーが偶然知ったもうひとりのきょうだい……。互いのあこがれを支えあい、大人への扉をさがす物語の幕が開く。
謎と事件好きの猫河原家。今夜も家族全員、殺人事件をめぐって、夕食前に迷推理を披露する。これも「推理せざる者、食うべからず」の家訓ゆえ。難事件に嬉々とする両親兄姉たち。普通の女子大生でいたい私はいつもブルー。正直、推理なんかしたくない。のに、遭遇した事件にピンときた瞬間、髪の毛は逆立ち、「名探偵」降臨。真相を見事突き止めるーえ?一番の推理好きは、私?
北日本のとある都市でひっそりと営業する『はなぞのホテル』。所在を明かせぬこのホテルには、たった一つだけ約束事があった。それは、過去ないし未来から来た“時間旅行者”しか宿泊させないこと。ホテルの新米従業員になってしまった一般人・桜井千鶴は、過去から未来からやってくるお客様を必死でおもてなしするのだが。ほっこりでどたばたな時空ホテルには、今日も何かが起こる!
オハイオ州の架空の町ワインズバ -グ。そこは発展から取り残された寂しき人々が暮らすうらぶれた町。地元紙の若き記者ジョージ・ウィラードのもとには、住人の奇妙な噂話が次々と寄せられる。僕はこのままこの町にいていいのだろうか……。両大戦に翻弄された「失われた世代」の登場を先取りし、トウェイン的土着文学から脱却、ヘミングウェイらモダニズム文学への道を拓いた先駆的傑作。
断崖に閉ざされた海辺の村に古くから伝わる、海の怪と山の怪の話。その伝説をたどるように起こる連続殺人事件。どこかつじつまが合わないもどかしさのなかで、刀城言耶がたどり着いた「解釈」とは……。シリーズ書き下ろし最新作!
他人の家庭に入り込んでは攪乱し、強請った上で消えてゆく正体不明の女〈サトウミサキ〉。別の焼死事件を追っていた刑事の元に15年前の名刺が届いたことから、過去を探り始めた刑事たちは、ミサキに迫ってゆくが。
東京湾で、大型商船が爆発炎上した。当初、事故かと思われた事案は、海中に仕掛けられた機雷の爆発と判明し、恐怖のシナリオへと変わる。テロリストの目的は、東京湾封鎖。 日本はかつて無い危機に晒される!
廃ビルで中年男性の死体が発見された。身元が判明しない中、葬儀屋が遺体を引き取りにくるが、葬儀屋・御木本悠司は、その遺体を目にした瞬間、刮目した。「これは俺の親父だ」。その偶然に疑問を持った刑事・滝沢圭は、単なる事故死と判断する本部に反発するようにその遺体に固執する。世の中を賑わす幼女連続殺人事件、葬儀屋の葛藤と苦悩、不遇な警察官を親に持つ刑事のトラウマ・・・・・・様々な要素が絡み合う中、意外な犯人と動機が明らかに! 平和な生活を犠牲にしてでも守らなければならない、刑事と葬儀屋の誇りとは・・・・・・慟哭の社会派ミステリー。 零章/刑事 一章/兄 二章/先達 三章/女 四章/刑事と葬儀屋
ウェブデザイナーとして働く17歳の藍葉は、”混沌とした色彩の壁”の前に立つ夢をよく見る。それは当時6歳だった自分が誘拐されたときに見た、おぼろげな記憶。あの色彩の壁は、いったい何だったのだろうかーーその謎は、いつも藍葉の中にくすぶっていた。ある日、届け物を依頼されたという私立探偵・みどりが現れ、「以前は、大変なご迷惑をおかけしました」というメッセージと100万円を渡される。かつての誘拐事件しか心当たりのない藍葉は、みどりに誘拐事件の犯人・朱里の捜索を依頼する。当時、誘拐事件はわずか2時間で解決されていた。藍葉の思い詰めた様子と自身の好奇心からみどりは朱里を捜し始め、藍葉は”色彩に満ちた部屋”の再現を試みる。己の”個性”と向き合う藍葉と、朱里の数奇な人生を辿っていくみどりはやがて、誘拐事件の隠された真相に近づいていくがーー。
ゲーム『刀剣乱舞』の大ヒットを契機に若い人たちの間でブームとなり、「お刀女子」といった言葉が生まれるなど、現在も高い文化的関心を集める「刀剣」の世界。実は刀剣と怪談とは、『古事記』や『風土記』の昔から、切っても切れない妖しい関係にあります。 スサノオによる怪物ヤマタノオロチ退治と霊剣「天叢雲剣(草薙剣)」奪取の古代神話は、中世に至ると、ヤマタノオロチの怨霊による霊剣奪還の呪いへと変容を遂げ、『平家物語』の「剣ノ巻」などに語られるとおり、源氏累代の宝剣による妖怪退治の物語群に流入してゆきます。そして近世の読本、浄瑠璃、講談などにおける妖怪退治の武勇伝へと受け継がれてゆくのです。 こうした「破邪の霊剣」の系譜の一方では、所有者を血塗られた殺戮へと誘う「妖刀伝説」も、近世以降さまざまに形を変えて語られるようになります。 刀剣をめぐる妖異不可思議な伝承は、近現代の時代小説はもとより、伝奇アクションやモダンホラー、SFファンタジーなど、多様な文芸ジャンルの作家たちの想像力を掻きたて、多くの名作怪作を育んできました。 このたびの特集では、怪談専門誌ならではの観点から、霊剣妖刀の世界に、エイ! ヤア! トウ! と斬り込んで参ります。 『幽』編集顧問 東 雅夫 巻頭特集「刀剣怪談」 ・巻頭グラビア1 刀剣×怪異「遠野の赤」 描き下ろしイラスト:ホノジロトヲジ ・巻頭グラビア2 鍛刀アルケミー 〜刀剣誕生の神秘〜 ・日本怪談紀行 東雅夫 「蛇と刀の信州路 --千曲川の流れに沿って」 ・エッセイ漫画 かまたきみこ 「天地の刃文 〜長野刀剣あやかし巡り〜」 ・復刻 「アンソロジー 妖剣怪奇」/日夏耿之介「古刀譚」 ・特別寄稿 玉川奈々福×川崎晶平 ・インタビュー 東郷隆、小松和彦、渡邉妙子 ほか 小説新連載 ・京極夏彦 百鬼夜行シリーズ新作 小説連載 ・有栖川有栖/山白朝子/円城塔/織守きょうや 実話連載 ・藤野可織/中山市朗/福澤徹三/小池壮彦/松村進吉/安曇潤平 漫画連載 ・波津彬子/諸星大二郎/花輪和一/高橋葉介/押切蓮介/岸浩史 エッセイ&書評&企画 ・南條竹則 ほか
妹であるハルカの紹介で始めたVRMMOゲーム『Lost Legend Online(通称LLO)』でゲームの楽しさを知ったチトセ。ボスからのレアドロップ「デモンズスピア」を手に入れるなど、パーティの戦力を底上げしたチトセたちは、新たなフィールドの最速攻略を目指すことにーー!「お兄ちゃんが順調にゲーマーとして成長してくれてるようで、私は嬉しいよ」小説家になろう発、楽しいゲーム小説第2弾! 妹であるハルカの紹介で始めたVRMMOゲーム『Lost Legend Online(通称LLO)』でゲームの楽しさを知ったチトセ。 ボスからのレアドロップ「デモンズスピア」を手に入れるなど、パーティの戦力を底上げしたチトセたちは、新たなフィールドの最速攻略を目指すことに。 しかしそのためには、難関クエストをクリアする必要がありーー! 「お兄ちゃんが順調にゲーマーとして成長してくれてるようで、私は嬉しいよ」 ゲームの楽しさを追求するチトセのプレイスタイルに惹かれた新たな仲間も加わり、ゲームをやりこむ日々は続いていくのだったーー。
犬と猫を愛するすべての人に 著者の実体験を基に、老いた愛犬の死までを丹念に描いた『犬を飼う』。 そして、愛犬の死後、行き場をなくしてやってきた猫たちとの生活を描いた『そして…猫を飼う』。 本シリーズに加え、谷口氏が犬と猫との生活を描いた珠玉のエッセイ『サスケとジロー』(全16000字超)、谷口氏の後期犬まんがの傑作『百年の系譜』を収録し、1冊丸ごと、犬と猫を題材とした作品集としました。 発表時に大反響を呼び、知る人ぞ知る名作として読み継がれる感動傑作、決定版としてついに登場!! *本書は『犬を飼うと12の短編』(小学館)収録作品の一部を抜粋し、エッセイを加えて再編集した新装版となります。刊行にあたり、すべての原稿を新たに製版し、カラー画稿はすべて4色印刷にて収録、名作『犬を飼う』シリーズの決定版となります。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書は、谷口ジロー先生がご自身の経験に基づき、年老いた愛犬を看取るまでを描いた、悲しくも感動的な物語です。 発表から26年が経過し、谷口先生も亡くなられましたが、作品の持つ輝きは、今も全く褪せていません。 むしろ、老犬の介護問題や、お子さんがいらっしゃらない家族にとっての犬や猫の存在を描いていることで、今こそ多くの人に、感じていただける部分のある作品ではないかと思います。 小学生以上のすべての世代にお読みいただける内容ですので、幅広い世代の方に手に取っていただければと思います。 目次 犬を飼う 5 (「ビッグコミック」1991年6月25日号) そして…猫を飼う 45 (「ビッグコミック」1991年12月25日号) 庭のながめ 73 (「ビッグコミック」1992年4月10日号) 三人の日々 97 (「ビッグコミック」1992年9月25日号) エッセイ サスケとジロー 126 (「ワン」1994年12月号(ペットライフ社)) 百年の系譜 151 (「ビッグコミック1」2009年4月12日号) エッセイ 思い出すこと 188 (単行本『犬を飼う』(1992年11月20日発行)
空から死は降ってこない。降ってくるとしたら、それはーー。芥川賞受賞から七年、待望の新作長篇。恋愛感情のないまま結婚し、「交配」を試みるうみとアミ。高校時代の広島への修学旅行、ともに歩く六本木、そこに重なる四百年前の土地の記憶、いくつものたゆたう時間。やがてうみは妊娠、アミは姿を消す。--二〇三五年、父を知らぬまま17歳になった息子のアオは、旅先の奈良で桜を見ていた……。待望の芥川賞受賞後第一作。