2018年発売
その男は決して屈しなかった。人が一生に一度出会えるかどうかの大傑作。徳川家に取り立てられるも、罪なくして徳川家を追われた沢瀬甚五郎は堺、薩摩、博多、呂宋の地を転々とする。海外交易の隆盛、秀吉の天下統一の激動の時代の波に飲まれ、やがて朝鮮出兵の暴挙が甚五郎の身にも襲いかかる。史料の中に埋もれていた実在の人物を掘り起こし、刊行までに九年の歳月を費やした著者最高傑作の誕生。
その男は決して屈しなかった。人が一生に一度出会えるかどうかの大傑作。徳川家に取り立てられるも、罪なくして徳川家を追われた沢瀬甚五郎は堺、薩摩、博多、呂宋の地を転々とする。海外交易の隆盛、秀吉の天下統一の激動の時代の波に飲まれ、やがて朝鮮出兵の暴挙が甚五郎の身にも襲いかかる。史料の中に埋もれていた実在の人物を掘り起こし、刊行までに九年の歳月を費やした著者最高傑作の誕生。
音楽と戦争、幻想と歴史が交錯し、響き合う、17の物語。名手による待望の初短篇集。往年の名ヴァイオリニスト。サーカスの象使い。大学教授になりすますシェフ。時代や運命の不条理に翻弄されつつも何かを生み出そうと苦闘する人々の物語は、作家自身の家族史をも織り込みながら、繫がり合うように広がっていく。ベスト・アメリカン・ショート・ストーリーズに4年連続選出された名手による、驚異に満ちた17篇。
現代アメリカ文学の巨匠が遺した幻の作品群。目が眩むほどの生への焦燥と渇望ーーもうひとつの九つの物語。ああ、人生って、目を見開いてさえいれば、心躍る楽しいことに出会えるんだねーー。「バナナフィッシュにうってつけの日」で自殺したグラース家の長兄シーモアが、七歳のときに家族あてに書いていた手紙「ハプワース」。『ライ麦畑でつかまえて』以前にホールデンを描いていた短編。長い沈黙の前に、サリンジャーが生への祈りを込めた九編。
老人ホームにオレオレ詐欺。老人を食い物にする警察官OBグループのシノギを、二蝶会への復帰が叶った桑原と二宮の疫病神コンビはマトにかける。しかし二宮は拉致され桑原は銃撃を受け心肺停止に。予測不能なドンデン返しにつぐドンデン返し。絶体絶命の二人を待つ運命は?
「世界を代表する5人の自由人のための賞…?」胡散臭いものだが、パリへの旅費と一週間の滞在費を支給してくれるらしい。飛行機が嫌いで、外国人が怖い海馬五郎も、一週間は妻とのセックスを休めるというので、その誘いにのった。これが悪夢の旅になったのである。
アイルランドの小さな町でハリウッドの脚本家を目指すアダム。恋人のサラが海外出張に出かけ、音信不通になってしまう。だが出発から数日後、彼女のパスポートが郵送されてくる。それには「ごめんなさい。S」とサラの字で書かれた付箋が貼ってあったが、封筒の文字は別人のものだった。彼女に何があったのか? アダムは恋人を追い、手がかりをもとに地中海クルーズ船に乗り込む。千以上もの客室を持つ豪華客船で暴かれる予想外の真実。巧みな構成力と謎解きの妙味を味わえる衝撃のサスペンス!
秋の夕方、小さな村をドライブしていたジェリーは、一人の若い娘に出会った。彼女が住む〈ホワイトコテージ〉まで送って立ち去ろうとしたとき、血相を変えたメイドがコテージから駆けてくる。「殺人よ! 」銃殺された被害者は隣家の主。ジェリーは、ロンドン警視庁の敏腕刑事にして父親のW・Tと捜査を進める……。巨匠の初長編ミステリは、ユーモア・推理・結末の意外性すべてが一級! 本邦初訳作。
浅草にある老舗おもちゃ会社で働く富田宝子は、ガーリーなものが大好きで楚々として控えめな外見とは裏腹に、好きなものに対するパワーと想像力の豊かさを持ってして、敏腕プランナーとして活躍している。そんな彼女は、仕事のできない取引先のデザイナー西島に恋をしているが、五年も想いを伝えられずにいる。何の因果か次から次へと災難に見舞われる彼のため、持ち前の機転と自社のおもちゃを駆使し、SPのごとくトラブルを解決していく宝子。けれど西島はそんな宝子の奮闘にはまったく気がつかず?! 同僚や同居人も巻き込んで、宝子の恋が向かう先は。ひとりの女性が大切な気持ちと向き合うまでを描く、成長の物語。
大胆な仕掛けと巧みに巡らされた伏線、抒情あふれる筆致を融合させて、ふたつとない作家性を確立した名匠・連城三紀彦。三十年以上に亘る作家人生で紡がれた数多の短編群から傑作を選り抜いて全二巻に纏める。第一巻は、幻影城新人賞で華々しい登場から直木賞受賞に至る初期作品十五編を精選。時代を越えて今なお多くの読者を惹き付けて已まない著者の全貌が把握できる傑作集。
2017年の日本SF短編の精華を収録。今年度版には我孫子武丸、彩瀬まる、新井素子、上田早夕里、円城塔、小川哲、小田雅久仁、筒井康隆、酉島伝法、伴名練、松崎有理、眉村卓、宮内悠介、山尾悠子、横田順彌らの小説15編をはじめ、加藤元浩の漫画も収録。巻末には第9回創元SF短編賞の受賞作と選評を掲載。編者二人による各作品解説や年間日本SF概況、短編推薦作リストなど解説記事も充実した、2017年の日本SFが一望できる年刊ベスト・アンソロジー。
あの日旅立った天使が、 ふたりを再び結び合わせた。 ヘレナはロンドンの高級ホテルで、ある男性を待ち伏せしていた。 レオ・ヴィンチェンティーー大成功を収めたイタリア人富豪で、 7年前、父親に仲を引き裂かれた初めての恋の相手。 その彼が父の会社の乗っ取りを企んでいると知り、 なんとか思いとどまるよう説得に来たのだ。 だが再会したレオから逆に、予想外の取り引きを提案される。 「僕の顧客の令嬢の前で恋人役を演じてくれるなら考えよう」 愛の一片もない言葉に打ちのめされ、ヘレナは心の中で叫んだ。 レオに伝えてしまいたい──あなたには息子がいたのよ、と。 期待の新人作家、アンジェラ・ビッセルのデビュー作をお届けします。運命に翻弄されながらも、懸命に真実の愛を求めるヒロインの姿が印象に残る本作。ドラマチックな展開をお楽しみください。
炎熱の地に臥した彼女を救ったのは、 美しくも傲慢な王。 祖父の介護費用を稼ぐため、モリーはウエイトレスとして働く傍ら、 ジャーリア国の大使館で王子に英語を教えていた。 ある日、モリーは砂漠に囲まれた見知らぬ城で目覚める。 大使館で薬物の入ったコーヒーを飲まされ、眠っている間に 王子に誘拐されてしまったのだ。なんて野蛮なことをするの! ところがモリーの前に現れたのは、王子の兄の国王アズラエル。 国の名誉のため、大金と引き替えに弟の犯罪を見逃せという。 しかも彼女が拒絶すると幽閉されてしまった。私はどうなるの? 怯えたモリーは隙を突いて逃げだすが、砂嵐に襲われて……。 リン・グレアムの真骨頂! 傲慢な砂漠の王と無垢なウエイトレスの熱く激しいロマンスをお楽しみください。王が気まぐれに発した結婚宣言のせいで、ヒロインは妃にならざるをえなくなり……。
出会った日から半年間、カーラはローマの伯爵チェーザレの従順でやさしい恋人だった。ところが傲慢な伯爵は、カーラの愛に価値はないというように、庶民の彼女を切り捨て、侯爵令嬢との婚約を発表する。失意のカーラは、母に命じられた男性と結婚するしかなくなるが、その男性にも結婚式で捨てられ、さらに恥をかいてしまう。だから、再会したチェーザレを拒めなかったのだろうか?婚約中の彼と一夜を過ごしたカーラは、罪の意識に耐えきれず、ローマから逃げ出す。しかし、おなかには伯爵の子が宿っていた。
放蕩者の父が亡くなり、清掃人として働きづめだったキャリーは憧れのイタリアへ旅に出ることにした。アマルフィのホテルで出会ったゴージャスな男性、ルカに誘惑されるが、彼女は急に怖くなって拒んでしまう。やっぱり私には火遊びよりも額に汗して働くほうがお似合いね。ファブリツィオ公国のレモン農園で働き始めた彼女は偶然にもルカと再会し、ついに結ばれるーその正体も知らずに。彼が公国の大公だと聞かされたとき、キャリーは妊娠していた。身分違いの小娘が弄ばれただけ…この子は独りで育てるわ。
キャリーは不慮の事故で両親を亡くして抜け殻のようになっていたが、兄に助けられてようやくホテルの仕事に就けるようになった。それなのに、経営が傾いた会社を立て直すべく、グループのCEOであるブレイクがやってきて、人員整理をすると言う。解雇されれば兄やその他の従業員ともども路頭に迷ってしまうわ…。圧倒されるほど美しいボスに、キャリーが必死の思いで反発すると、彼は意外にも代替案を出し、彼女を自分のそばで働かせると言いだした。その日から、ふたりきりでオフィスにこもる仕事が始まり、キャリーはなすすべなくブレイクの虜になっていくー想いが募るほど、彼が距離をおくようになる理由もわからぬままに。
小さな手紙に落とした涙は、 大きな愛の呼び水となり……。 〈ママが死んでしまってそばにいないから手術はこわいけど、 手術でぼくの頭痛をなくして、パパをまた幸せにしたいです〉 病を持つ少年の手紙を読んで、慈善財団で働くギャビは胸がつまった。 少しでも心の支えになりたい一心で少年を訪ねると、そこは、 世界的な富豪一族の当主ルカ・ベレッティーニの家だった。 父親であるルカは不在で、ギャビは幼い息子とその祖母に迎えられ、 少年がしばしでも病を忘れられるよう楽しい時を過ごした。 ただ、この子の手紙のことはルカには秘密と祖母に釘を刺されるーー いつも不幸せそうだと息子に思われていることを知れば傷つくから、と。 だが翌日、少年と同じ黒髪碧眼の大富豪が、突然ギャビの職場に現れた! 実は流産経験を持つヒロインは、母を亡くした少年の気持ちが痛いほどわかり、知らず知らずのうちに魅力的な父子の人生に深入りしていきますが……。思わず涙こぼれる感動作を、HQイマージュを代表する大御所作家レベッカ・ウインターズが書き上げました。
両親亡きあと悪辣な弟に騙され、無一文で家を出たケイトは真冬の荒れ果てた避難小屋で危うく命を落としかけ、偶然居合わせた謎めいた旅の紳士に助けられた。グラント・リバーズと名乗るその陰のある美しい男性は、ケイトが婉曲に事情を話すと問題解決としての便宜結婚を申し出た。出会ったばかりの薄汚れた娘に求婚するなんて、この人はいったい…。だが他に生きる術もなく、彼女は朦朧としながら申し出を受け入れた。通りすがりの農民を証人に結婚したあと、新居に案内されたケイトは豪壮な屋敷と使用人の数に驚き、慌てふためいた。「あなたは誰なの?」グラントは平然と答えた。「第4代アランデール伯爵だ」
愛なき“救世主”にめとられ、 若き花嫁は冷たい情熱に震えた。 オリアンは18歳にして叔父から金細工の店を任されているしっかり者。 けれども今、窮地に陥っていたーー店にあったはずの貴重品が消え、 帳簿の数字が何者かの手で書き換えられてしまったのだ。 しかも、従兄がオリアンの仕業だと声高に訴えはじめた。 かわいがってくれた叔父はならず者に襲われてこの世を去り、 彼女をかばう者は誰もいないと思われたが、たった一人だけ、 領主のサー・ユーアンが救いの手を差し伸べた。 彼はオリアンを妻にする代わりに、従兄を黙らせると約束した。 でも、これははたして救いなの? 彼は唇を奪い、こう言い放ったのだ。 「両親が望んでいる孫を産んでくれれば、きみの愛など必要ない」 ひたむきな乙女を妻に迎えたいと言いながらも、そこに愛は介在しない、と冷淡な態度をとるユーアン。一度は女子修道院に逃げこむオリアンですが、ふたたび領主館に連れ戻されてしまいます。若妻が初夜に怯えている気配を察知した夫がとった行動とはーー!
どうしてあなたを拒めるだろう? 愛されていないとわかっていても。 仕事でラヤ国を訪問したアンは帰国後、ゴシップ誌を見て青ざめた。 黒髪に黒い瞳のゴージャスな皇太子レイフに、 宮殿の庭でキスされたときの写真がスクープされていたのだ。 いまでも覚えているーー彼の力強い腕と、あたたかい唇の感触を。 でも彼は、アンの勤務先のオークションハウスが 一族の宝を違法に手に入れたと誤解し、冷たく傲慢な態度を貫き通した。 罰するようなキスをした、あの別れ際の一瞬を除いて……。 そのとき、家のインターフォンが鳴り、アンは夢想からさめた。 「レイフ・コーリ皇太子だ。話がある」突然訪ねてきた彼は言葉巧みに アンを最高級ホテルのスイートルームに軟禁してしまう。 USAトゥデイのベストセラー作家バーバラ・ダンロップが描くのは、異国が舞台のセクシーなヒーローとの恋物語。絢爛豪華な宮殿では、ヒロインが誘拐されたり、隠し通路を逃げたり。スリリングなシーン満載のドキドキの展開をお楽しみください。