2018年発売
宿泊客(妖怪専門)の「悩み相談係り」になってしまった一蕗。稲荷荘は掃除も行き届き、少しずつ元の活気が戻ってきたが、やはり毎日変なお客様は訪れる。個性が定まらないと嘆く「のっぺらぼう」。現代人の悪夢で食あたり気味の「獏」。そして、海水浴に行きたいとごねる「雪女」。一蕗が用意した、彼らへのおもてなしとはー?
ここは女たちの地上の楽園?! シングルだけど、“一人”じゃない。女たちの本音と夢があふれ出す、阿佐ヶ谷の古びた洋館・牧田家。家の平和を守る老人、「開かずの間」の秘密、ストーカー男の闖入など、今日も牧田家の暮らしは豊かでかしましい。
一般市民からの告訴・告発を受け付ける東京地検特捜部・直告係から、今日も立花検事に事件が回ってくる。小さな傷害や名誉毀損・詐欺・贈収賄・強制わいせつ事件として処理されるはずの案件が、なぜ殺人事件にまで変貌してしまうのか。立花検事の調書が今、紐解かれる! 直木賞作家が見つめた人生の黒い果実とは!? 昭和末期の名推理〈特捜検事〉シリーズから7編を再編集! 人生の真実に時代は関係ない。
「厖大なウェストレイク作品の中にかなり変な作品があるらしい」 「ミステリではなく普通小説、いやポルノ小説、しかもメタフィクション!?」 ……謎が謎を呼ぶ、伝説の作品がついに登場! 〈悪党パーカー〉シリーズや数々のコメディ・ミステリで知られる 巨匠ウェストレイクによる爆笑の半自伝的実験小説。 〈ウェストレイク全作品の中でも大傑作に属する、私小説にしてメタメタフィクション!〉若島正 ポルノ小説のゴーストライター、エド・トップリスの苦悩は、締切が近づいてもまったく書けないこと。いざ書き始めても、自身の生活や夫婦間問題のあれこれが紛れ込んで物語はなかなか進まない(そして小説は延々と1章25ページが繰り返される!)。ある日、書きかけの原稿が原因でエドは思いもよらないトラブルに巻き込まれることになる……リチャード・スターク名義の〈悪党パーカー〉シリーズや〈泥棒ドートマンダー〉シリーズでおなじみのコメディ・ミステリの巨匠ウェストレイクによる、仕掛けに満ちた半自伝的&爆笑のメタ奇想小説がついに邦訳!(1970年作)
一九七九年・六月。亡き妻・節子の田舎である鵜頭川村へ、三年ぶりに墓参りにやってきた岩森明と娘の愛子。突如、山間の村は豪雨に見舞われ、一人の若者の死体が発見される。村の有力者・矢萩吉朗の息子で問題児の大助が犯人だと若者たちは息巻くが、矢萩家に誰も反抗できず、事件はうやむやとなる。抱えていた家同士の対立が顕在化し出し、若者たちは自警団を結成する。動き始めた狂気がさらなる狂気を生み、村は騒乱に巻き込まれていくー父と幼い娘は閉ざされた村での暴動と狂乱から逃れられるのか。狂気が狂気を呼ぶ、パニックサスペンス!
「出発」「日本人のようなもの」「あの子は特別」「異境の台湾人」「親孝行」「可能性」「息子」「鳳梨酥」「百点満点」「到着」…最注目の気鋭が描く、10の物語!エッセイ「音の彼方へ」併録。台湾系ニホン語人作家の飛翔作。
異世界からの転生者にして戦闘狂の“ケルヴィン”。獣国ガウンで開催されている獣王祭の決勝トーナメントにおいて、ついに彼は獣王レオンハルト・ガウンと相まみえることに。圧倒的な膂力と圧倒的な魔力のぶつかり合いー。互いに数多の策を弄し、相手を屠るため全力で挑むことになる。一方そのさなか。軍国トライセンにおいて魔王を裏より操り、大戦を引き起こしたとある組織の暗躍はなお続いていた。謎のベールに包まれたその存在は、しかしてケルヴィンたちの眼前にも現れはじめ…?黒衣の“死神”が仲間と共に蠢く闇に立ち向かう、バトルファンタジー第7幕!
「歌は翼を広げて、私たちの生の上へと滑り出す。歌がなくて、その翼で生の上へと滑空する瞬間すらもなかったら、私たちの苦しみはどれほど重さを増すだろうか」--本文より ハン・ガンが「書きたいのに、書けなかった」と回想する時期に生まれた本書には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、著者自身がつくった歌について綴られている。著者の繊細な感性に触れるエッセイ集の初邦訳。 巻末にはオリジナルアルバムの音源情報も収録! ♪1章、2章で触れられている音楽をできる限り実際に聴いていただけるよう、クオンのwebマガジンでプレイリストを作りました。本とともにお楽しみください。 https://note.com/cuon_cuon/n/ne43b8f54b094 日本の読者の皆さんへ 1.くちずさむ 2.耳をすます 3.そっと 静かに 4. 追伸 訳者あとがき ハン・ガン オリジナルアルバム
沖田総司、高杉晋作、吉田稔麿、坂本龍馬、中村半次郎……。幕末の京を駆けた志士と、想いを交わした女たち。彼らが生きた、かけがえのない一瞬を鮮やかに描き出す六編。哀切に満ちた珠玉の短編集。
聖都大学附属病院小児科兼電脳救命センターで働く宝生永夢に、差出人不明の小包が送られて来た。中には、「マイティノベルX」と書かれたガシャットが入っていた。まさか、天才ゲームクリエーター檀黎斗からの挑戦!?いや、彼は消滅したはずだ。一体、誰がこんなものを…。永夢は瞑想し、一度だけ深呼吸をした。迷いのやわらいだ永夢は、ガシャットの起動スイッチに指をかけた。ゲームスタートー!!
ある日突然、“運命の女(ファム・ファタル)”と出会い、シングルファーザーになったひきこもりの吐田君。最愛の娘グミ子とふたりで歩む、切ない家族の成長ストーリー。 生まれたときからずっと一緒、ふたりきりの家族。なのに、父と娘はどうしてすれ違うんだろう?
本当に美しいものは、目には見えないのですー「色彩の女王」として注目を浴びるファッションフォトグラファー立花海咲。突如発症した「錐体ジストロフィー」という難病の色覚障害が、夢のような成功から彼女を転落させた。仕事も恋人もプライドも失った海咲が選んだ道は、震災に見舞われた故郷・熊本の天草に帰ることー16年前、故郷も家族も捨てた海咲を天草は優しく迎え入れてくれた。親友、恩師、絶縁状態の母や妹、憎み続けた義理の父との再会によって、海咲の中で何かが少しずつ変わっていく。そして、20年前に海で死んだ実の父の秘密が明らかになっていくが…はたして、海咲が最後に見つけた「この世で一番美しい色」とは?
父と墓地に暮らす少年は、ある夜、男女の心中を目撃した。数年後、少年は死んだ男の娘を連れて列車の旅に出る。二人の眼に映る、敗戦下の日本とは。生を奪われた無数の子どもたちに想いを馳せ描く冒険譚。 単行本未収録「犬と塀について」併録 津島佑子に飛躍をもたらしたのは、 彼女が安吾の作品に見出した 「ひんやりとした、熱い風」である。 それこそが「兄」である。以後、 津島佑子はこの「兄」に連れられて、 オオカミ=遊動民の旅に出たのである。 --柄谷行人「津島佑子とオオカミ」より 笑いオオカミ 犬と塀について 解説 柄谷行人
全感覚没入体験型作戦級戦術シミュレーションゲーム“Walhalla”。そこは様々な種族が武器を手に取り戦う電子の戦場。そのリアルな感覚に誰もが夢中になる世界。ヒルドルクランに所属する谷田契斗はクラン戦で自軍が完全なる敗北を喫す中、唯一人敵陣帷幄を急襲し戦功を上げる。これまでも啼嗟の機転により戦果を上げてきた契人だったが、時にスタンドプレーとも思えるその行動はクランマスターであるガンツェルの反感を買い、以降のクラン戦で自身の部隊を酷使されてしまう。そんな中、契斗の前に電脳自衛隊が現れる。電脳自衛隊とは?そして、彼らが語る衝撃の事実とはー日本の未来をかけた電脳自衛隊と人工知能の戦いが始まる!
2018年本屋大賞翻訳小説部門第1位! ! 圧倒的な世界観で多くの読者を魅了した『カラヴァル 深紅色の少女』 その『カラヴァル』シリーズ最新作! 世界のどこかで開かれる魔法のゲームーーカラヴァルーーが終わった。 ドラグナ姉妹の、奔放で美しい妹ドナテラには、姉スカーレットにも明かせない秘密があった。 そして、彼女はふたたび危険なゲームに挑むことになった。 カラヴァルの支配者・レジェンド、彼の本性とは? ドナテラはそれを明らかにできるのか? それとも、彼女が愛するすべてをーー彼女の命さえもーー失うことになるのか? シリーズ第一作を上回るスリルとロマンス! さぁ、もういちど。 ようこそ、カラヴァルへ!
2018年上半期最大の衝撃と感動 骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。 しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。 最初は訝しがっていた哲平も、ふと、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。 リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息はわからないまま、謎は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。 【編集担当からのおすすめ情報】 あえてハードルを上げますが、担当作でここまで掴まれ、揺さぶられ、圧倒的される小説は「サラバ!」以来です。本当に、何度読んでも、そう思います。(担当編集者)