2019年1月発売
警視庁捜査一課の“お荷物”志麻由子は、連続殺人犯の捜査中に、何者かに首を絞められ気を失う。目覚めたのは異次元の「光和26年のアジア連邦・日本本共和国・東京市」だった。もう一人の自分は異例の出世をした“東京市警のエリート警視”。闇組織からは命を狙われ、警察内部でも汚職警官の摘発など、非情な捜査方法が非難を浴び、孤立無援であることを知る。戸惑いながらも彼女は、“エリート警視・志麻由子”となって捜査を継続するしか方法がなかった…。
太平洋戦争末期、東京・品川の戸越保育所では、保母たちが疎開を模索していた。見つかったのは、埼玉県蓮田市の荒れ寺。寒さと食糧難、終わりのない24時間保育に疲弊しながらも、互いに励まし合い、子どもたちを守り抜いた若き保母たちを描く。実話をもとにした感動作!
【文学/日本文学小説】「どこかでお会いしましたっけ?」少女の目は、左右で色がちがっている。「もうわすれたの? きみが私を殺したんじゃないか」(表題作から)。SF・ファンタジー・ミステリ……夢の異空間へと誘う、バラエティーに富んだ異色 ひとり アンソロジー。
脱獄の夜。燃え上がるハウスから紙きれが空に舞った。それを見て、イザベラはある少年のことを想い出す。一方、最後のときを迎えるクローネの脳裏には、彼女の原点である養成学校時代がよぎっていた。エマたちの前に立ち塞がった“飼育監”誕生秘話が解禁!!
始発の電車で、放課後のファミレスで、観覧車のゴンドラの中で。不器用な高校生たちの関係が、小さな謎と会話を通じて、少しずつ変わってゆくー。最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。
「パンパンパン」小学校に、銃声と叫び声が鳴り響く。死者十九名。あの日から、全てが変わった。ザックの兄・アンディは「じゅうげき犯」に殺された。母は毎晩のおやすみの歌を歌ってくれないし、父も様子がおかしい。ひとりになったザックは、アンディのクロゼットを自分の秘密基地にするーアメリカで多発する銃乱射事件を、いとけない六歳の子供の視点から描く、衝撃の長編小説。人間の愛と喪失、家族の絆の物語。
8歳の夏から、すべて憶えている。見たもの、聞いたこと、触れたもの、そのときの感情も全部。でも、さすがにメモリーが限界だ…。自身の異変を察知したナノは、東大医学部に進学するが、超記憶症候群が治る見込みがないことを悟り、退学を決意する。宅配ドライバーのソライは、ナノが仕組んだ計画に巻き込まれ、全預金を盗まれてしまう。手がかりもなく、警察すらお手上げの完全犯罪かと思われたが、ソライはナノにたどり着く。お金を返すというナノと香港に行き、盗んだ金をおろし、帰国しようとした空港で、急展開。二人の運命が大きく動き出すのだった。
館林藩士である村瀬家の長男惣一郎は、秀才の弟、剣の才を持つ妹と塾や道場に通うのが苦痛になっていた。兄としてふがいない思いになるのだ。父は「頭が良い者だけが優れているわけではない。人は良い心がけで成長していくものではないか」と話してくれた。惣一郎の成長とともに、周りではさまざまな出来事が起きる。友の離反、父の病、筆頭家老の殺害、館林から浜田への国替えー。歳月を経ても、思い出すのは故郷・城沼の風景だった。風が渡り煌めく湖面、咲き誇る躑躅。そして昔の友から悲痛な叫びをあげる手紙が届く。人の絆の大切さを描いた青春時代小説。
古典落語の人気演目をノベライズ。働き者だが大酒飲みのために貧乏な夫と、その妻の愛情を温かく描いて、屈指の人情噺として名高い「芝浜」。正直者同士が意地を張り合い、明るい人情噺として人気の高い「井戸の茶碗」。船場の商家を舞台に、堅い番頭の裏の顔を描いた「百年目」。一文無しの絵描きが宿代の代わりに描いた絵から意外な展開となる「抜け雀」。江戸末期の名脇役だった三世仲蔵の自伝的随筆をもとに作られた「中村仲蔵」。落語ファンから愛される以上五演目を、ときに独創を加え、ときに人生訓を加え、咄に込められた諧謔と人情味を趣深く伝える。
わたしはこの世界が嫌いだ。そんな気持ちを隠して無難に生きてきた女子高生の佐伯真魚。ある日、手紙で呼び出され校舎の屋上に向かった真魚は、そこでクラスメイトの九条シキから奇妙な話を聞く。「聞いて、佐伯さん。あと七日で世界が終わるんだ」このまま世界を滅ぼすか。それとも自分の存在を消すか。天使の羽を持つ九条は、真魚をその究極の選択者に選んだという。信じられない真魚だったが、翌日、教室から見るいつもの景色から、何かが失われていることに気づきー。世界の終わりまでの一週間。真魚が見つけた“答え”とは?感動の青春小説!
大人気アニメの完全ノベライズ第2弾! ディノ・ゴルツィネの邸に捕らえられたアッシュたちは「バナナフィッシュ」の真の恐ろしさを身をもって知るのだった。そしてついに、アッシュと英二は避けられない戦いに巻き込まれていく。シリーズ第2弾!
幼少時から驚くほどツイていない青年・梁脩徳は、このたび奇跡的に科挙に登第して進士となった。紫微国皇帝の覚えもめでたく知州職を拝命し、このまま出世街道をひた走ることを夢見るが、赴任先の侶州は「太陽と月の眠るところ」とも呼ばれる西方の僻地。しかも鬼怪が跋扈する妖しい土地と知り、脩徳は大慌て。次々と襲いくる命の危機に逃げ出したくてならないが、出世に影響することを恐れておいそれと辞められない。踏ん切りのつかぬまま、優秀だが癖の強すぎる部下たちと共に、日々勃発する怪異事件に巻き込まれることになりー。転任の願いは叶うのか!?
二〇一三年の夏、在日韓国人の大学生・知英はパスポートを取得した。表紙の色を見て、改めて自分の国籍を意識する。町ではヘイトスピーチのデモに遭遇し、戸惑う。「なにじん」なのか、居場所はどこにあるのか、友人と分かり合えないのはなぜか。自分に問い続ける知英は少しずつバランスを失っていく。K-POPファンの梓、新大久保のカフェで働く韓国人留学生のジュンミン、ヘイトスピーチへの抗議活動に目覚める良美、日本に帰化したのち韓国で学ぶことを選んだ龍平、そして知英。ふたつの国で揺れる五人の男女の葛藤と再生を描く。
全51巻で完結した平成最大の人気シリーズが復活!豊後関前藩中老職の嫡男・磐音の朋輩に妹の奈緒が生まれたその日(「赤子の指」)。四歳の奈緒が磐音の嫁になると口にした日の出来事(「梅雨の花菖蒲」)など、本編では描かれなかった、ふたりの幼き日々からやがて迎える悲劇の直前までの五つの物語を収録。万感胸に迫る一冊。
一生に一度は行きたい、「お伊勢まいり」。 大川端の旅宿「かわせみ」は、春の大嵐で屋根瓦が吹き飛び、休業を余儀なくされた。 そんな折、女主人のるいを、亡き畝源三郎の妻・千絵が、お伊勢まいりへと誘う。 品川宿に集まった一行は、東海道から箱根の関所、富士川と慣れぬ旅を続けるが、道中で次々と怪事件が起こる。 目的地・伊勢でるいを待っていたのは、思いも寄らない展開であった。 「御宿かわせみ」&「新・御宿かわせみ」シリーズ通算40巻目にして、初の長篇小説。
震災から四年半が経った地で深夜に海に潜り、被災者たちの遺留品を回収する瀬奈舟作。大切な家族や恋人を亡くした人々を募っての会員制による活動だったが、彼自身も津波で両親と兄を失っていた。ある日、遺族の一人である女性が現れ、なぜか亡くした夫の指輪を探さないでほしいと言うー。著者の新たな代表作となる鎮魂の書。
「まさか本当に死ぬとは思わなかったの。びっくりしたわ」79歳の母が72歳の父を殺した、との連絡に姉弟3人が駆け付けた。母手製の筍ご飯を食べながら、身勝手で女性が絶えなかった父の、死体処理の相談を始めるー男女とは、家族とは何か。ある家族の半世紀を視点人物を替えて描いた、愛を巡る8つの物語。
「僕らの愛は、悲劇的な終わり方をした」憧れの女性との幸福な結婚生活に潜んでいた切ない真実(「彼女の宝石」)、大切な人たちの首元にふと現れる不思議なモノ(「さみしいマフラー」)他、アイドルへの一途な愛、巨大でピュアで惚れ惚れするような愛の姿が、一つ一つ心に染みわたる。名手が放つ感動直球!短編集。
失業中の28歳青年の冴えない日常に押し入ってきた強盗。「大声をだすな」というその声はやけに甲高く、背が低くて…。逆転につぐ逆転のストーリーの面白さ、軽やかな文章が光る「オール讀物推理小説新人賞」受賞作ほか、ふと引っかかる言葉の謎から、事件の意外な真相をこまやかに解き明かす7編の快感ミステリー。