2019年12月25日発売
再びガス灯煌めく世界に降り立った魔法使い・クラウと、その師匠・黒猫のウィズ。2人が遭遇したのは、連携して“門”へと迫る“ロストメア”の集団だった。“ロストメア”へ対抗するため、リフィルたちかつての仲間や、新たな“メアレス”レッジに協力することになりー『共闘』vs『共闘』。黄昏時、かつてない規模の戦いが幕を開ける!
最終決戦を迎えた“メアレス”と“ロストメア”たち。勝者は『夢見ざる者』か、『失われた夢』か。戦いが始まろうとした、その時ー「どちらも、無理だな」突如として両者に立ちはだかる“世界を変える夢”を名乗る者。強大な存在を前に、“メアレス”と“ロストメア”はひとつの決断を下す。
あなたって、どこでも傍観者なのね。家を出た妻にそう告げられ、47歳の会社員・青柳誠一は呆然と佇む。そして災厄は会社でもー。窓際部署に異動か、社が後援するバレエ団への出向、どちらかを選べと迫られた青柳は「白鳥の湖」公演の成功を目指すことに。スポーツトレーナーの瀬川由衣や天才バレエダンサー・高野悠らと共に突き進むが、次々と困難が…!読めば力湧く崖っぷちお仕事小説。宝塚舞台化記念座談会(2018)アンコール収録。
万葉歌人は、じつは恋愛下手でしたー。若い大伴家持から恋歌を贈られた年上女性の、理性と情熱の揺らぎを描く「年下の男」。夫に愛想を尽かした妻が出した結論「しゑやさらさら」。恋の歌が苦手な女の前に現れた庭を愛する男との、不意の出来事が胸を焦がす「恋の奴」。その他、下級役人の滑稽な同棲「紅はかくこそ」など全七編。歌人たちのおおらかで不器用な恋の一瞬を、みずみずしく描く傑作。
豆のスープをかき混ぜてもの思いに遊ぶ黒い“奇異茶店”。サングラスの表面が湖の碧さで世界を映す眼鏡屋。看板文字の「白薔薇」が導くレジスタンス劇。カント、マルクス、マヤコフスキー。ベルリンを幾筋も走る、偉人の名をもつ通りを、あの人に会うため異邦人のわたしは歩く。多言語の不思議な響きと、歴史の暗がりから届く声に耳を澄ましながら。うつろう景色に夢想を重ね、街を漂う物語。
ピカソやゴッホ、マティスにモネ、そしてセザンヌ。市美術館の珠玉のコレクションに、売却の危機が訪れた。市の財政破綻のためだった。守るべきは市民の生活か、それとも市民の誇りか。全米で論争が過熱する中、一人の老人の情熱と一歩が大きなうねりを生み、世界の色を変えてゆくー。大切な友人や恋人、家族を想うように、アートを愛するすべての人へ贈る、実話を基に描かれた感動の物語。
三津谷咲良、結婚4年目の34歳。成功しない不妊治療に焦燥を感じ、大学講師の夫とは微妙な関係に。徳永多実、咲良の小学生時代の親友。恵まれた家庭に育った優等生の咲良と異なり、高校を1年で中退、パートで働くシングルマザー。二人が19年ぶりに再会し、止まっていた刻が再び動き始めたらー。生まれも育ちも、そして住む世界も違う二人の女性の友情と葛藤と再生を描く、感動の文庫書下ろし。
最愛の妻を自死に追い込んだ理由を探る軽輩・友助の闘いを描く「木綿触れ」。家族に売られ島送りにされた渡世人・忠七が切なる願いを叶えるべく帰郷する「生国は地獄にござんす」。盗賊団頭首・角右衛門が活躍し、鬼平シリーズの先駆をなした「看板」。彼らが命を懸けてでも守りたかったもの、成し遂げたかったことは何だったのか。“男の死”をテーマに編まれた飲泣呑声の時代小説アンソロジー。
娘の無念を晴らしたいー伊地知耕介に連絡をしてきたのは元上司。彼の娘は28年前に惨殺され、犯人は不明のまま。その事件の真相を獄中の死刑囚が語り始めたという。一方、伊地知はカメラアイの能力を持つ部下の悠希と「地銀の雄」さざなみ銀行の不正融資疑惑を追う。ふたつの事件が交錯するとき、伊地知は拳銃に手をかける。江上剛史上最もキケンな、ハードボイルド金融エンターテインメント!
男は毎日、同じ行動を繰り返す。起床し、新聞を読み、改札で電車を待つ。月生亘輝。架見崎で最強と称される人物。そんな月生に対し、遂に二大勢力が行動を起こす。チーム内で派閥抗争が続く「PORT」。実質的指導者の交代で揺れる「平穏な国」。それぞれの思惑が交錯する共同戦線で、香屋歩は何に怯え、何を考え、どのような真実を見出すのか。死と涙と隣り合わせの青春劇、第3弾。
生きることに前向きになり始めた碧だったが、一方で相棒の桐島の元に不穏な影が迫っていた。彼の過去を無遠慮に暴き立てるその人物の目的もわからないまま、桐島は追い詰められていく。あえて遠ざけられた碧は、従兄の涼から、カカノムモノを呪いから解放するための衝撃的な方法を告げられる。はたして碧はどんな決断を下すのか。そして呪いの意味とはー。シリーズ最終巻。
超絶的資産家にして日本皇室と英国王室の血筋をひく公爵令嬢、警察庁監察特殊事案対策官・西有栖宮綾子警視正は、今日も自家用オスプレイに弾薬(現金)10トンをぶちこんで出動する。検察の裏組織“一捜会”の隠謀によって引き起こされた全国警察の重大不祥事を秘密裏かつ迅速に解決するために。「悪魔の証明」をも可能にする彼女に不可能は無い。未だかつて見たことのない警察ミステリ、開幕。
ラベンダーの香り立ちこめる寄宿舎の暗がりで、栗色の髪の高貴な僕と美しい君は、神の目を盗んで今夜結ばれる。ランボー、コクトー、ジッド…。憧れの人との初恋が幼い心弾ませるブロマンスから、固く組み敷かれた受難の小羊が、甘い罰に呻くハードコアまで。輝かしいフランス文学の一隅に息づく、美少年たちの「友情以上の熱い関係」の物語を耽美な新訳で味わう、あなたを満たす12篇。
赤毛の青年ジェラルドが先祖ドム・マニュエルのロマンスを執筆中、悪霊が現われ、お前の肉体に乗り移って現世を引き受けてやろうと言う。申し出を受け入れたジェラルドは銀の馬カルキに跨り、彼方の都アンタンに向かった。あらゆる神の終着地である彼の地を統べる文献学匠になり代わり、その王座に座るつもりなのだ。その途上、不思議な鏡の魔力で、神話的人物、英雄たちへの転生を体験したジェラルドは、至上神としての己の運命を確信するのだがー文学の古典や歴史、神話の自在な変奏により展開される“造物主/詩人への悲歌”。
素人探偵河津三郎はある闇夜、挙動不審な男を発見しあとをつける。男と同じ鞄を購入し同じ旅館に泊まった河津は、隙を見て鞄をすりかえた。気づいた男は恐怖をきたし、持っていた紙幣を燃やして、上野公園の五重塔で首を吊ってしまう。調査を始めた河津に、あの鞄の中身を売ってほしいと言う美女があらわれる。河津が断ると女は自殺しようとまでする。鞄の中身と奇妙な事件の謎とは…。ほか「恐怖王」と幻の中絶作品「悪霊」を収録。
フロンティア精神をもって幕末から明治の世を生きた一代男!明治財界を代表する大立て者渋沢栄一の波瀾に富んだ一生をストーリーのおもしろさで読ませる長編伝記小説の一大雄編!
化け物や神仏に関する事件を専門に扱う警察組織「京都府警あやかし課」の隊員・古賀大のもとに、ある大男が現れた。その男の正体は、かの有名な豪傑「弁慶」。謎の僧兵集団に追われる弁慶の警護を請け負った大達だったが、その過程で『義経記』の裏に隠された衝撃の事実が明らかとなって…。大達は、強大な敵から弁慶を守り切れるのか?第七回京都本大賞受賞の注目作、待望の第三弾!文庫オリジナル。