2019年6月20日発売
悪魔のウイルスの名は「サリエル」。医療に通じ、癒す者とされる一方で、一瞥で相手を死に至らしめる強大な魔力、『邪視』の力を持つ堕天使ー。日本海に浮かぶ孤島で強毒性の新型インフルエンザが発生し、瞬く間に島民全員が死亡した。それはアメリカの極秘の研究データが流出して人工的に作られたという疑いが。テロの可能性が囁かれるうちに、本州でさらに変異したウイルスの罹患者が現れる。ワクチンもなく、副作用が懸念される治療薬が政府の判断で緊急製造されるが、感染が拡大しても全国民にはとうてい行き渡らない。刻々と事態が変化していくなか、果たしてパンデミックは回避できるのか?
人見知りの「ひぐま」こと樋口まりあが、米、粉、砂糖などを扱う商社「コメヘン」に入社して九か月ー。秘書業務に加え、社長の来客相手に急きょ出すことになるおもてなし料理作りにも奮闘している。心温かな人々に囲まれ順調な日々を送りつつ、「自分にはなにか足りない」とも感じていたまりあの頭に、あるアイデアが浮かぶ。
理学部の排水から検出された覚醒剤。大学内で撮影された爆破動画。そして研究室で体調を崩す学生、その意外な原因を、Mr.キュリーこと沖野と彼のライバル・氷上が探る、大人気シリーズ第八弾。人気声優興津和幸さん&白井悠介さんの朗読で大好評のスピンオフ「池のほとりに立つ彼女」も収録!
第一回ノーベル賞を受賞するはずだった男、北里柴三郎。その波瀾に満ちた生涯は、医道を志した時から始まった。「肥後もっこす」そのままに、医学に情熱を傾ける柴三郎は、渡独後、「細菌学の祖」コッホのもと、破傷風菌の純粋倍養と血清療法の確立に成功する。日本が生んだ世界的医学者の生涯を活写した伝記小説。
帰国した柴三郎は、福沢諭吉の支援を得て、伝染病研究所の設立を果たす。そこへ香港でペストが大流行との報が入り、現地へ。調査団からも感染者が出る過酷な状況下で、柴三郎はペスト菌を発見する。一方、東大閥との争いが激化。政治の思惑にも巻き込まれ、柴三郎は伝染病研究所を失うことになるがー。
銀河系船団がフロストルービンを通過したさい、“マスクの男”アラスカ・シェーデレーアの顔からカピン断片が消えた。断片は体内で動きまわるようになり、以来、かれは不調に苦しんでいる。そのアラスカは、ローダンの指示によりソルゴル人カルフェシュとローランドレ偵察隊に参加するが、目的地に近づくとともに幻覚に襲われ、艇を墜落させかけてしまう。ふたりは艇を放棄し、ローランドレ内部に向かうことになるが…
住民の皆殺し命令が下され、揚州は地獄へ変貌した。意地悪なくせに小鳥にはひどく優しい不思議な遊女の緑鶸は、彼女の纏足された足を世話する少女・雀を連れ、美貌と知性を武器に生き抜こうとする…。運命に立ち向かう遊女の幻想譚である表題作、生き生きと動く投射映像“シミュラクラ”の発明者の男と娘の相克をめぐる星雲賞受賞作「シミュラクラ」など第二短篇集の単行本版『母の記憶に』から、7篇を収録した傑作集。
短歌によって周囲の環境を変える異能「歌垣」を互いにぶつけあうスポーツ、「歌会」。歌聖高校に通う一年生の登尾伊勢は、最大のライバルであり先輩の朝良木鏡霞への燃える恋心をウタに乗せて、歌会の全国高校選抜トーナメントに挑む。個性派揃いの他校の少女たちとの試合を経て、伊勢の心に芽吹く鏡霞への新たな想いとは?コミック百合姫発・青春百合SFの傑作が、特別篇「幻と憎しみのマリネ」を加えて待望の文庫化!
凡そこの世に非ず、別の世界より来たる者を忍びと云うー数多の次元世界を制する支配者集団“無限王朝”に抗い続ける伝説の忍び“光牙”。その一人、零牙に与えられた任務は亡国の姫と幼君の護衛であった。亡命の旅路を急ぐ一行の行手に、無限王朝麾下の骸魔忍群が立ち塞がる。激突する機忍法、生き残るは光牙か骸魔か。幻惑的傑作アクションが新たなる世に徹底加筆の“新装版”で甦り、絶望に塗り込められた夜を裂く!
卒業式会場に向かっていた中3の羊歯子は、気づくと暗い部屋で目覚めた。隣に続くドアには貼り紙が。“下記の通り卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ”。ドアを開けると同じく寝ていた女生徒が目覚め、やがて人数は13人に。不条理な試験に、彼女たちは…。中3女子は無限に目覚め、中3女子は無限に増えてゆく。これは、女子だけの果てしない物語。
百合ー女性間の関係性を扱った創作ジャンル。創刊以来初の3刷となったSFマガジン百合特集の宮澤伊織・森田季節・草野原々・伴名練・今井哲也による掲載作に加え、“ソ連百合”として話題の南木義隆「月と怪物」、新鋭女性作家の共作「海の双翼」、『元年春之祭』の陸秋槎が挑む言語SF「色のない緑」、そして『天冥の標』を完結させた小川一水が描く新作宇宙SFの全9作を収める、世界初の百合SFアンソロジー。
亡き兄の恋人だった女性に依頼されて、高利貸しに追われるDJジャニーンを助けることになった探偵“IQ”。腐れ縁の相棒とともにジャニーンが住むラスベガスに向かうが、事態は予想よりも深刻だった…中国系ギャングの個人情報を盗んで売ろうとした彼女は今や血も涙もない犯罪者たちに狙われていたのだ!IQの冴えた頭脳は彼女を救えるのか?三冠受賞作『IQ』につづく、興奮と謎解きに満ちたシリーズ第二作!
1976年12月3日、レゲエ・スターにしてジャマイカの英雄ボブ・マーリーが襲撃された。その日は、高まる政治的緊張を鎮めるためのコンサートの2日前であり、総選挙が控えていた。ボブ・マーリーは一命を取り留めるものの、暴力は加速する。国を二分し、やがてアメリカ合衆国をも巻き込んでゆく。襲撃したギャング、裏で操る政治家、CIA工作員、アメリカ人記者、事件を目撃してしまった女性、さらには亡霊まで、70名以上の人物が闘い、血に塗れながら己が見た真実を語る。現実の事件をもとに、語られざる歴史をつむぐ途方もない野心、禍々しくも美しいディテール、多彩に鳴り響く音楽的文体に、世界の文学ファンが狂喜した!ジャマイカ出身の作家では史上初のブッカー賞を受賞した巨篇。
未知なる地球外知性とのコンタクトが、現実のものとなりつつあった21世紀。地球上では全ての国家が核を含む武装を放棄し、地球平和連合ーTPCの下に大同団結した。時を同じくして、日本の東北地方に隕石が落ち、モンゴル平原とイースター島には、咆哮を上げる巨大な生物が出現する…!解析された隕石から現れた、白い装束の女性は語る。「大異変から地球を守れるのはティガの巨人だけです」超古代から地球を襲った激変と黒の者の跳梁から、1980年代を起点とした、地球平和連合TPC成立の前史、そしてGUTSの生命を賭した熱き闘いの日々までー。平成ウルトラマンシリーズ始原の叙事詩、完全小説化!
草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の頼れる店員・久実。ついに久実に訪れた春の予感に浮き立つ店に、衝撃のニュースが。元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたと訴え出たのだ。犯人は地元名士の息子。大騒動の町で気付けば久実は浮かぬ顔で…。暴行を受けたと訴え出た元アイドル。他にも被害者が?小さな町の大事件が小蔵屋の日常を揺るがせる。
一(にのまえ)コミュニケーション大学(通称:イチコミ)の新入生、中山太郎はある日の受講中にエミリと名乗る美人の先輩に声をかけられる。しかし、彼女は通常の人には見えない“もののけ”だった。人には見えない“もののけ”を見ることができる青年と、“もののけ”に出会うため「郷土民俗学同好会」で研究を続ける“もののけ”が見えない部長の小泉、そしてエミリたち“もののけ”のキャンパスライフが今スタートする。
昭和十六年の横浜。五歳の少年・桧垣壽雄は、色街・真金町の廓『永代楼』の一人息子だった。壽雄は、廓を切り盛りする祖母いねに可愛がられ、何不自由なく暮らしていた。しかし、母のきくが突然家出すると、その寂しさから、壽雄は落語や漫才などのSP盤を聞くようになり、笑いに目覚めていくー直弟子が故・桂歌丸をモデルに描く、傑作長編小説。
この町には怪人がいるんだよ。女の人と子供は殺されるから、気を付けなきゃいけないんだ。どことなく閉塞感を感じさせる小さな町に、怪物が生まれる。未解決の殺人事件は、人間の仕業だとは思えなくなった。都市伝説×コージーミステリーの野心作。